
俳優中村雅俊(74)秋野太作(82)田中健(74)岡田奈々(66)が21日、都内で「The 50th Anniversary 俺たちの旅 スペシャルコンサート」の制作発表会見に出席した。1975年(昭50)10月から日本テレビ系で1年間放送された連続ドラマ「俺たちの旅」は、三流私大生のカースケ(中村)とオメダ(田中)、カースケの先輩のグズ六(秋野)の青春物語。岡田はオメダの妹の真弓を演じた。
コンサートは9月16日に大阪・オリックス劇場、同18日に福岡市民ホール、同24日に東京・昭和女子大人見記念講堂、同27日に東京・武蔵野市民文化会館、同30日に宮城・仙台サンプラザホールで行われる。
中村は「『俺たちの旅』のコンサートをやるということで、これは1つの奇跡じゃないかと思います。50年前に放送していた青春ものドラマのコンサートや、いろいろなアクティビティーをやるというのは、驚くとともに奇跡に近いんじゃないかと思う」。秋野は「映画も撮ってるんですけど、どっちがどっちなのか、こんがらがっています。何で、私がコンサートに出るのか、自分でも分からない。この豪華のメンバーの端っこで、尻馬に乗ってひと言、発させていただきたい」。
田中は「どういうコンサートにしたいかというと、お祭りにしたい。50年支えてくれたファンとお祭りをしたい。去年亡くなった西田敏行さんの口癖が『老いを楽しもう』。老いを楽しみたい」。岡田は「このドラマ『俺たちの旅』と同じように、私の芸能生活も50周年。その年に久しぶりに歌わせていただくことになりました。今からドキドキ、緊張しています」と話した。
4都市で5公演というツアー内容を聞いた時のことを、中村は「誰だ、そんなことを言ったのはと思いました。50年もたって忘れかけていた記憶が、よみがえった。コンサートやることも奇跡だけど、この3人(中村、秋野、田中)が生き残っているのが奇跡、それで4人でできるのが奇跡。俺たちもすごいなと思いながらも、多分見に来る人たちもいろなことがあったり、いろいろいな思いを浮かべて、一緒に懐かしんでもいいんじゃないかと。年を取って思うんですけど、たまに古い友達とする昔話って、すごく楽しいんですよね」。
秋野は「僕も歌うの? という感じでした。でも、僕だけ降りるわけに行かないですからね。この間、カラオケ行って久しぶりに歌ったら声が出ないんだ。全然、声が出ない。出るのはせきばっかり。これから鍛えて、当日に間に合わせようと、頑張ります」。田中は「3人一緒にできるなんて、めちゃめちゃうれしかった。3人一緒になるとすごいエネルギーになる、合体人間みたいな感じ。なんか楽しいことができそう」。
岡田は「私は出演させていただいたんだけど『俺たちの旅』の大ファンなんです。今回は45年ぶりにステージに立たせてもらうことになるんです。デビューから5年間、アイドル活動させてもらっていたので、どうなるんだろう。まだ、カラオケにも行ってないし、何とかやらせてもらおうと思っています」と話した。
歌う曲について、田中は「僕は挿入歌の『生きる』というのがあるんです。レコーディングして、ライブでは歌ったことがない。それを歌わせていただきます、いい曲です」。
中村は「俺は飽きるほど歌ってます。『俺たちの旅』と『ただお前がいい』を50年間、歌っています」と笑った。そして、両曲の作者で、東京・大阪・福岡での公演のゲスト出演が決定している小椋佳氏(81)について「ひとつ自慢があって、旅の前に『俺たちの勲章』というドラマを松田優作さんとやったんです。プロデューサーも脚本も同じ。その歌をやるときにプロデューサーに『(吉田)拓郎さんに歌を作ってもらえないですかね』と言って作ってもらった。それで『今回は、小椋佳さんに作ってもらえないですかね』って言って、少し貢献したかなと、ひそかに思っています。俺たちの旅って、歌も要素としては大きい存在。実現したことは内心、すごく当時、喜んでいました」と話した。
岡田は「私の4枚目のシングルの『青春の坂道』を劇中歌にして、特別に作っていただいた回があるんです。カースケに恋をして、歌詞の『君』を『あなた』に変えて撮り直しています」と振り返った。
会見の前にドラマにもよく登場した、吉祥寺サンロード商店街で撮影を行った。中村は「3人で肩車したところに行ってみたけど、全く記憶にありませんでした。50年ていう歳月はこんなものなのかと思いました。ただ、あの1年間、すごく楽しかった」。秋野は「そろってサンロードを歩くなんて、当時は考えもしなかった。人生って長生きしているといろいろな事があるんだなと。吉祥寺とか井の頭公園とか聞くと、心の奥につながりがあって、縁と言うんですかね、人ごとではない風景が今でも浮かんでくる。別にふるさとじゃないんだけど、そんな感じがしています、この街には。頭の隅によみがえります」。
田中は「特に井の頭公園の駅。あそこに行くと、いつも心の風景が。いつもカースケとけんかしてましたから。今日もサンロードをていて、なぜか中村君は当時、げたを履いていてカランコロンと、あれが響いてよかった」。岡田は「当時撮影していたのを見ていたとおっしゃる方がいて、すごいなと。その時代から見てくださっている人がいるんだと思いました」。
来年1月には中村が監督を務める映画「五十年目の俺たちの旅」が公開される。中村は「みんなが喜んでくれて、すごいプレッシャーがあったけど、いい映画が撮れた。公開までに編集とかを頑張ります。1人で歌うことが多かったけど、みんなで歌える喜びもある。ひょっとしたら小椋佳さんもね」と話した。【小谷野俊哉】