
日本のカントリーギターの第一人者で、ブレッド&バター、泉谷しげる、細野晴臣らとの共演でも知られるギタリスト徳武弘文(とくたけ・ひろふみ)さんが死去したことが17日、分かった。73歳。同氏のアルバムなどを手がけてきたレコード会社、ヴィヴィド・サウンド・コーポレーションが公式サイトで発表した。
北海道・函館市出身。大学時代に「ブレッド&バター」のサポートギタリストを務めると、シンガー・ソングライター山本コウタローさんのグループ「山本コウタローと少年探偵団」に参加し、本格的に音楽活動をスタートした。74年に結成された泉谷のバックバンド「ラスト・ショウ」にも参加。その後もスタジオミュージシャンとして吉田拓郎、大瀧詠一さん、高橋幸宏さんら、多数の著名ミュージシャンのサポートを務めた。名前をもじった「Dr.K」の愛称でも知られ、08年には米国の伝説的ギタリスト、レス・ポール氏と共演し、名をはせた。
14年には旧知の細野と高橋さんをゲストに迎えたライブも開催。近年は闘病していることが伝えられていた。
ヴィヴィド・サウンド・コーポレーションは公式サイトで「日本の音楽界を長年にわたり支えてこられたギタリスト、徳武弘文さんが2025年5月14日、ご逝去されました」と報告。「ご生前のご功績を偲び、謹んでお知らせ申し上げます」と追悼した。また「徳武さんは、唯一無二のギタートーンと確かな演奏技術で、1970年代より数多くのアーティストのレコーディングやライブに参加。ロック、ポップス、カントリーなど幅広い音楽ジャンルで活躍され、日本のギターシーンを語るうえで欠かせない存在でした。弊社では、マーク・ベノとのツアー作品をはじめ、様々なセッションにご参加いただきました。アメリカン・ルーツ・ミュージックへの深い造詣と愛情に裏打ちされた演奏は、国内外のアーティストとの架け橋となり、多くの音楽ファンの心に深く刻まれています」と功績を伝えた。
同社は「その温かなお人柄と、音楽に対する真摯な姿勢は、共演者やスタッフからの信頼も厚く、失われた存在の大きさをあらためて痛感しております。ここに謹んで哀悼の意を表し、ご冥福を心よりお祈り申し上げます」としのんだ。