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石田ひかり、俳優デビュー39年「初めての体験」に感慨 「ルノワール」でカンヌ映画祭参加


第78回カンヌ映画祭で、早川千絵監督の新作「ルノワール」がコンペティション部門で公式上映され、満席となった会場では約6分間のスタンディングオベーションが送られた。主演の鈴木唯は、わずか2年の俳優経験で初のカンヌ参加を果たし、その純粋な演技が高く評価された。物語は1980年代後半の日本を舞台に、闘病中の父と仕事に追われる母のもとで育つ11歳の少女・沖田フキの日常を描く。高齢化社会を題材にした「PLAN 75」とは異なり、子供の視点から交錯する大人たちの人生と感情を温かく描き出している。

カンヌ映画祭のレッドカーペットに立った、コンペティション部門に出品された「ルノワール」の、左からリリー・フランキー、鈴木唯、早川千絵監督、石田ひかり(C)Kazuko Wakayama

フランスで開催中の第78回カンヌ映画祭で、最高賞パルムドールを争うコンペティション部門に出品された、早川千絵監督(48)の新作「ルノワール」(6月20日公開)の公式上映が17日、行われた。

12歳でカンヌ映画祭に初参加した主演の鈴木唯が演じた11歳の少女・沖田フキの母詩子を演じた石田ひかり(52)は、1986年(昭61)の日本テレビ系ドラマ「妻たちの課外授業 part2」で俳優デビューして以来、39年で初の海外映画祭への参加となった。91年の「ふたり」(大林宣彦監督)で映画デビューして34年。「海外の映画祭に参加するのは俳優人生で初めての体験。海外の観客の映画を見てやるぞという意気込み、クレジットひとつひとつに拍手が起こることに驚きました。映画に対する真摯(しんし)と温かさを感じました」と感慨深げに語った。

撮影当時、11歳で娘を演じた鈴木は、俳優を始めて、わずか2年でカンヌ映画祭に到達した。石田は、鈴木について聞かれ「唯ちゃんはまだ幼いので、深いところで本作のことを理解することはできない部分もあるでしょうが、ただただ自転車をこぐとか、そこに存在するということができるというところがとってもすてきだと思います」と純粋無垢(むく)な存在感を称賛した。

闘病中のフキの父圭司を演じたリリー・フランキー(61)は、審査員賞を受賞した是枝裕和監督(62)の13年「そして父になる」、最高賞パルムドールを受賞した18年「万引き家族」でカンヌ映画祭を経験している。「この映画のすばらしさが前評判として観客に伝わっていたと思うが、真剣に映画を見ていることが、ひしひしと感じられました」と上映中の様子を冷静に分析、説明した。

会場のグラン・リュミエールの約2300席は満席となり、エンドロールでは約6分間のスタンディングオベーションが起きた。リリーは「スタンディングオベーションをいただけるのはうれしいのですが、いつも座持ちがしないなと思っていたんです。でも、唯ちゃんがいると何分でもできるなって、楽しかったです」とちゃめっ気たっぷりに振り返った。鈴木の魅力について聞かれると「撮影当時、11歳で何かになりかけている、その一瞬の夏を監督が切り取ったからこその生々しさと彼女の演技力がすごくマッチしている」と評した。そして「演技だけでは、なかなか成立しない魔法の一瞬を早川監督が収めた、まれな映画だと思います」と絶賛した。

「ルノワール」は、日本がバブル経済真っただ中だった80年代後半の夏を舞台に、闘病中の父と仕事に追われる母と暮らす11歳の少女・沖田フキを主人公に物語を展開。マイペースで想像力豊かなフキは、空想にふけりながら、それぞれに事情を抱えた大人たちと触れ合う。子供特有の感情を細やかに描写するとともに、フキが関わる大人たちの人生の、ままならなさや人間関係の哀感を温かなまなざしとユーモアを持って描き出す。高齢化社会が深刻化し、75歳以上の高齢者が自ら生死を選択できる制度「プラン75」が施行された、近未来の日本を描いた「PLAN 75」とは、ひと味違った作品だ。

鈴木が、役柄と同じ当時11歳で多数の候補者の中からオーディションで主演に大抜てきされた。フキが出会う大人たちを中島歩(36)、「PLAN 75」に引き続き河合優実(24)、さらに坂東龍汰(27)と、各年代の実力派俳優が演じた。日本、フランス、シンガポール、フィリピン、インドネシアの国際共同製作で、24年7~9月に国内、同11月には海外で撮影が行われた。

◆「ルノワール」1980年代後半のある夏。11歳の沖田フキ(鈴木唯)は、両親と3人で郊外の家に暮らしている。時には大人たちを戸惑わせるほどの豊かな感受性を持ち、得意の想像力を膨らませながら自由気ままに過ごしていた。時々、垣間見る大人の世界は刺激的だけどなんだか滑稽で、フキは楽しくて仕方ない。だが、闘病中の父圭司(リリー・フランキー)と仕事に追われる母詩子(石田ひかり)との間には、いつしか大きな溝が生まれていき、フキの日常もいや応なしに揺らいでいく。

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