
フジ・メディア・ホールディングス(FMH)は4月30日、都内で取締役会を行い、6月の株主総会をもって金光修社長(70)と、3人の社外取締役が退任する人事を発表した。また、フジテレビは組織の再生・改革に向けた8つの具体策を総務省に報告。「楽しくなければテレビじゃない」というモットーから脱却し、バラエティ制作局など制作部門の組織を解体・再編してアナウンス室は独立させるなど、企業風土の一掃に向けて動き出した。
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取締役会後、取材対応したFMHの金光社長は退任理由について、定年制の導入による任期満了と説明した。3月27日に発表された役員体制の変更では、株主総会を経て代表権のない取締役会長に就任予定だったが、「1人の権力が長く滞留するということに関しては制度として制限しておくべき。私の代でそれを導入した方がいいだろうということもあり、役員定年制を導入して本日に至った」と話した。
また、留任予定だった社外取締役の島谷能成氏(73=東宝会長)、齋藤清人氏(60=文化放送社長)、茂木友三郎氏(90=キッコーマン名誉会長)も同じタイミングで退任する。大株主の米投資ファンドのダルトン・インベストメンツから、金光氏らが「新経営陣として残る意図が理解できない」として、交代を求められていた経緯もあった。
元タレント中居正広氏(52)の性暴力に端を発する問題で、第三者委員会の調査報告を受けて、フジテレビは8つの具体的な再生・改革案を発表した。その1つ「編成・バラエティー部門を解体、アナウンス室の独立」は、大きなメスを入れた格好だ。同局の清水賢治社長(64)は「アナウンス室がイニシアチブを取れるように。従属的な関係性が問題を生んだと認識し、独立させます」と説明。キャスティングする側の編成と、される側だったアナウンス室の関係性を変えるべく、新たに番組との調整役を果たす「コーディネーター制度」を創設。起用時に慎重な過程を踏むことなどが想定される。
清水社長は、同局が長らく掲げたスローガン「楽しくなければテレビじゃない」からの脱却を宣言。「社内の一部で過度に重視した風土が根付いていた」と向き合い、「面白いものを作るのは大切なことですが、全てを犠牲にして作るというのは曲解された考え方。あらゆる犠牲の上に成り立ってはいけない」と語った。8つの改革案については「あしき慣習や文化を一掃する強い覚悟と決意のもとに、練り上げた」と強調し、「我々の覚悟をみなさんの厳しい目で見届けてください」と訴えた。