
元SKE48で元et-アンド-の野島樺乃(23)が、本格的にソロ歌手として踏み出した。
自身の完全書き下ろし歌詞によるソロデビュー曲「One」をリリース。これまでの経験を重ね合わせた楽曲への熱い思いを明かした。「誰かを元気づけられる」歌手を目指し、がむしゃらに再スタートを切る。【玉利朱音】
◇ ◇ ◇
15年にSKE48に加入し、6年間活動。卒業後はボーカルグループet-アンド-のリーダーを務めた。同グループは約3年半活動し、今年3月末に解散。ソロ歌手として新たなスタートを迎え「今は期待と不安が混在していますが、忙しく刺激的な毎日を楽しく感じています!」と前を見据える。
ソロデビュー曲のリリースに向けて自らSNSを活発化させ、YouTubeも新たに開設。「アーティストの方はごまんといて、その中で芽を出すというのはすごく難しいことだと痛感してます。とにかく継続で、リリース前後に少しでもSNSを盛りあげていけるよう、慣れないパソコンをカタカタしながら編集してます」と照れ笑いした。
ソロデビュー曲「One」は夢を諦めない強い心を表現したエールソング。2025プレナスなでしこリーグ1部 YouTube配信公式テーマソングに決定しており「なでしこリーグが掲げるビジョンや、選手の方の言葉、チームの雰囲気などを見て『めちゃくちゃ熱い!』って感じました。ピッチで痛みすらも感じさせないようなプレーをしている姿にすごく心を打たれました」と話した。
初めて歌詞を全て書き下ろし、特に苦戦したという2番は「1日考えて1行しか思いつかないこともありました」と苦笑い。自身の経験やなでしこリーグに重なる思いなどが反映されており「歌詞の『ぼやけてる夢の在処 陽の目より風浴びた堪えるほどほお伝う涙』の部分は、特に自分の経験から書きました」という。
野島はSKE48時代に「AKB48グループ歌唱力No.1決定戦」第1回大会で優勝し、秋元康氏によるオリジナルソロ曲「夢の在処へ」と贈られた。「その曲を歌っていたときは“夢”がしっかり輝いてたんです。けど、いろいろな現実に向き合うことが多くなったなかで、大きな夢を言うだけでも怖くなったり、目先がぼやけて自分がどこに向かって進んでいるか分からないな、と思うときがあったんです」と吐露した。
自身の率直な経験も詰め込みながら、目指したのは「プレッシャーを与えない」エールソング。「『頑張れよ!』みたいな曲というより、大丈夫だよって背中をさするように、皆さんのあと1歩を後押しできたらと思って書きました。日常的に聞いてもらえたらうれしいです!」とした。
13歳でSKE48に加入し、今年で芸能活動10年を迎えた。「10年前から応援してくださるファンの方々は、笑い話で『樺乃ちゃんも年取ったねえ』って。お互いねって感じです(笑い)」と時の流れをかみしめた。「10代から20代という人生の中でも濃い時間を見てきてくれたファンの方々は、きっと私と同じくらい私のことを理解してくれているんじゃないかな」と信頼を寄せる。
今後のビジョンについては「この1、2年で東名阪ツアーをしたいです。SKE48卒業のときにソロライブをした会場『名古屋 ボトムライン』にまた足を踏み入れたいなって思ってます」と意気込んだ。
一方で「ソロアーティストとして走り出して、日常的に1人だな、孤独だなと思う瞬間はありました」と回想。だからこそ、「『この子の曲を聞くと1人じゃないと思える』みたいに、泣いている人のそばにいて、誰かを元気づけられる歌手になりたいと思っています」と願いを込めた。
歌で寄り添い、優しく背中を押せるシンガーへ。あらゆる経験を糧に、成熟した歌声を響かせる。
◆野島樺乃(のじま・かの)2001年(平13)9月6日生まれ、愛知・瀬戸市出身。15年にSKE48に加入。19年「第1回 AKB48グループ歌唱力No.1決定戦」グランプリ。21年6月に卒業し、同7月からボーカルグループ「et-アンド-」のリーダーとして約3年半活動。特技はカラオケ95点以上ビブラート100回。164センチ。血液型O。