
北村匠海(27)が、映画「愚か者の身分」(永田琴監督、10月24日公開)に主演することが16日、分かった。綾野剛(43)林裕太(24)と、貧しさから闇ビジネスの世界に足を踏み入れてしまい、抜け出せなくなった3人の若者たちを演じる。
「愚か者の身分」は、作家西尾潤氏のデビュー作の実写化作品。北村はSNSで女性を装い、身寄りのない男たちを利用して“戸籍売買”で稼ぐ主人公タクヤを演じる。「失うものなど何も無くなった男たちが、それでも生きようとする映画です。林裕太さん、北村匠海、綾野剛さん、3つの世代の思いのリレーのように感じられた撮影期間。剛さんから僕へ、僕から裕太へ。その先に『裕太』は、『マモル』は何を思うのか。映画館で是非感じて欲しいで」とコメントした。
綾野は、タクヤを““闇ビジネス”に誘い戸籍売買の仕事を教えた兄貴的存在の裏社会の運び屋・梶谷を演じる。北村との共演は、23年のNetflixドラマ「幽☆遊☆白書」以来。「彼らに名前はあるのだろうか。彼らは自身を生きているのだろうか。いつから彼らは自分で自分を抱きしめなければいけなくなったのか。北村匠海が織りなす繊細なきらめきと、林裕太が生み出すみずみずしい輝き。そんな彼らの呼吸を抱きしめ続けた永田琴監督。光を奪われた者と、光を諦めた者。そして光を切り開く者の物語。ぜひ劇場でその光に触れて頂けたら幸いです」とコメントした。
林は、複雑な家庭環境で家族の愛を知らずに育ったマモルを演じる。「いっぱい食べろと言われると、生きろ!と言われている気がします。大丈夫と言葉をかけられると、本当に大丈夫な気持ちになります。この作品ができるまでにいろいろな人がマモルに居場所をくれました。人にしてもらったことを誰かにしてあげたい、そう思うことが生きようとする力につながるのだと思います。それを教えてくれた映画です。たくさんの人に届いてほしいです」とコメントした。
永田監督は「この数年、若者の深刻な貧困や犯罪を私自身も目の当たりにし、何か表現できないかと考えていたところ、西尾潤さんの原作と出会い、これだ! と企画しました」と企画の経緯を説明。「私にとって初となる男たちの物語を素晴らしい役者たちが彩ってくれています。経験に裏打ちされた深みと純粋さが同居し、画面に映った瞬間ハッとさせられる存在感を放つ北村匠海。芝居をどこまでも追求し物語に深みを与えてくれた綾野剛。等身大の繊細な表情で私の心をわしづかみにしてくれた林裕太。日本の社会問題をあらわにしつつエンターテインメントに仕上げた渾身(こんしん)の一作です」と自信を見せた。
今作は、Netflixドラマ「今際の国のアリス」シリーズや「幽☆遊☆白書」を手がけるプロデューサー集団「THE SEVEN」が、初の劇場作品として映画化。“3日間”の出来事を、3人それぞれの視点が交差するトリック感のある展開でエンターテインメントに仕上げながら、若者たちの貧困、世界に侵食される日本、闇ビジネスの深淵(しんえん)など社会的なテーマも織り込まれている。