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【日本アカデミー賞】監督が愛車まで売り払った自主映画「侍タイムスリッパー」が最優秀作品賞


映画「侍タイムスリッパー」が第48回日本アカデミー賞で最優秀作品賞を受賞しました。監督の安田淳一は、自主制作映画として2600万円の製作費を個人で資金調達し、この歴史的な快挙に涙を浮かべました。作品は、幕末から現代にタイムスリップした侍が、時代劇撮影所で「斬られ役」として生きるという物語で、多くの観客に支持されました。安田監督の弟子で助監督を務めた沙倉ゆうのと主演の山口馬木也が観客への感謝の意を伝え、映画が彼らのキャリアの重要な一部であると述べました。

最優秀作品賞に選ばれトロフィーを掲げる映画「侍タイムスリッパー」の安田淳一監督(撮影・横山健太)

<第48回日本アカデミー賞授賞式>◇14日◇東京・グランドプリンスホテル新高輪

全国1館から380超へと拡大公開し、日刊スポーツ映画大賞で作品賞、監督賞、主演男優賞の3冠を獲得した「侍タイムスリッパー」が最優秀作品賞を受賞した。安田淳一監督(58)が愛車まで売り払い、2600万円もの製作費を捻出して製作した、自主映画の時代劇が歴史的な快挙を成し遂げ、授賞式会場は歓喜と驚きに揺れた。

安田監督は、最優秀作品賞のブロンスを掲げると涙をこらえられなかった。「本当に驚いております。最後まで物事を諦めるなと言って昨年亡くなった父、どこかで誰かが見てくれると言ってくれた(俳優の)福本清三さんに見せたかった」と喜びをかみしめた。

劇中で助監督の山本優子を演じ、実際に撮影現場でも助監督を務めた沙倉ゆうの(45)は「みんなの作品。みんなに助けてもらって、思いが詰まった作品を作り上げることができたのが、うれしくて幸せ」と歓喜した。1人11役以上を務めた安田監督を支え、撮影現場でも助監督として刀、小道具の管理を担当。「みんなとできたのが最高に幸せでした」と感謝を繰り返した。

落雷によって幕末から現代の時代劇撮影所にタイムスリップし、140年後の現代を「斬られ役」として生きていく会津藩士の武士・高坂新左衛門を演じた山口馬木也(52)は「心臓が飛び出るかと思った」と口にして、目を潤ませた。「たった1館から始めた小さな光…お客さまのおかげでキラキラした場に立てております。何度も足を運んでくださったお客さんに聞いたら『キャラクターに会いに行く気分で行く』と言ってくださる」と観客に感謝。「この映画が与えてくださったことが、折に触れ自分の帰る場所になります」と「侍タイムスリッパー」が今後の俳優人生の原点になると位置付け、涙した。

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