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NEWS加藤シゲアキ(37)が24日、都内で新作小説「ミアキス・シンフォニー」(26日発売、マガジンハウス刊)発売記念マスコミ発表会に出席し、文学界への思いを語った。
新作は女性グラビア週刊誌『an・an』で18年から22年まで全16回にわたって不定期連載されたもの。読者の熱い支持もあって書籍化となり、出版にあたって大幅な加筆、修正を加えている。
今作は愛をテーマとした作品で、エーリッヒ・フロム氏の『愛すること』にもインスパイアを受けているという。加藤は「愛」と設定した背景について「書いている期間に僕も30代を作品と過ごしたので。『愛だよな』って大人になって思ったんですよね。登場人物の深掘りしていく間に、あらゆる愛が浮かび上がってきたという形になります」と明かした。「小説は答えじゃなくて問いだと思っているので、この本を通してより問いかけをしていくし、その問いに読者自身が答えを出さなくても全然良い。読んだ人が愛だなと思ってくれたら良いし、単純に本として本で面白く読んで食えるだけでも十分。楽しんでもらえればというのが1番です」と呼びかけた。 加藤は12年に「ピンクとグレー」で小説家デビュー。20年に「オルタネート」で第42回吉川英治文学新人賞を受賞し、現役アイドル初の快挙を達成。同作と23年に発表した「なれのはて」が2作連続で直木三十五賞候補となるなど、実力派作家として名を高めている。今作での受賞の野望も「もちろんあります」と笑うが、作家業を続ける原動力もまた別にある。「文学界を盛り上げたいという思いがあって。書店も減ってますし、小説や文芸界が僕みたいな外様を受け入れてくれた感謝がある。どうにか力になれないか、というのがあって」と“恩人”を思った。1月にはチャリティー小説「あえのがたり」(講談社刊)を発売。「チャリティー小説を出したのもそういうことだったりする。文学賞はわかりやすく、盛り上がるお祭りだと思っています。そのために書いているわけではないですが、機会があれば、僕の作品を使ってどんどん盛り上げて欲しいと思う」と使命感をにじませた。