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鶴瓶が伝えたいこと…今の世の中、ちょっとした幸せがなさすぎるんじゃないか?と思うんです


笑福亭鶴瓶が6年ぶりに主演を務める映画「35年目のラブレター」は、読み書きができない主人公が愛する妻に初めてラブレターを書くまでを描いた感動作です。この作品は実話に基づいており、奈良市に住む西畑保さんの人生を題材にしています。鶴瓶はこの映画を通じ、「普通の幸せ」を見直すことの重要性を訴えかけています。また、彼にとってこの作品は、弟子・鉄瓶の落語を元にした偶然の縁や、妻役の原田知世との初共演など、多くの運命的なつながりをもたらしました。映画では「読み書きのできない演技」を楽しみながら自然体で演じ、多くのファンにメッセージを届けたいとしています。映画の公開は3月7日で、感動を共有することが期待されています。

満面の笑みを浮かべる笑福亭鶴瓶(撮影・江口和貴)

笑福亭鶴瓶(73)にとって、6年ぶりの主演映画「35年目のラブレター」(塚本連平監督、3月7日公開)は運命の作品だ。12番目の弟子鉄瓶(46)の創作落語の題材となった実話の映画化。初共演となった妻役の原田知世(57)と図らずも巡り合っていた縁。自らが飛躍するきっかけとなった80年代のMBSの人気番組「突然ガバチョ!」スタッフとの再会。そんな、かけがえのない作品には、現代の日本の人々に届ける意義があると信じている。

★弟子・鉄瓶の創作落語&共演

「35年目のラブレター」は、読み書きができないことを隠して結婚し、露見した日から“手”となり支えてくれた最愛の妻にラブレターを書こうと65歳から夜間中学で学び、70歳で渡した奈良市の西畑保さん(89歳)の実話だ。塚本連平監督(61)が20年初めにドキュメンタリー番組を見た妻から話を聞き、直筆のラブレターを目にして映画化を企画。21年に西畑さんとの対面、取材も実現し、脚本作りを進めた。

同年に、鉄瓶が市井の人々を取材、創作した「ノンフィクション落語」の第1作として西畑さんを題材にした「生きた先に」を披露。同監督がその存在を知ったのは、23年に鶴瓶を主演にキャスティングした後だった。西畑さんはすし職人として腕を磨き、妻皎子(きょうこ)さんと娘2人を育てた。劇中のすし店のシーンには、鉄瓶が常連客の吉村役で出演し、鶴瓶との師弟共演も実現した。

「僕も『ノンフィクション落語』に近いことをやっていたんですけど、鉄瓶が『やっていいですか?』って言うから『自分でやりい』って。周りは『いいですよ』と言うたんですけど、いまだに聞いていない。弟子が作った落語を聞くの、しんどいんですよね(笑い)。映画の話が来た時、鉄瓶がしよったヤツやなぁと思ったんですけど、弟子が勝手にドキュメンタリーを見て作った話を、俺がやるとは思えんでしょ。メッチャすごい縁でっしゃろ?」

★妻役・原田知世との巡り合わせ

鶴瓶は72年2月に6代目笑福亭松鶴さんに入門して半世紀。原田は82年のフジテレビ系「セーラー服と機関銃」への主演と主題歌「悲しいくらいほんとの話」でデビューして43年。ともに芸歴は長いが意外にも初共演。ただ、それ以前に図らずも縁があった。

「六本木のサウナで、誰も見てないから(師匠松鶴の十八番の落語)『らくだ』の稽古、ずっとしていたんですよ。薄い壁の向こうで原田貴和子さんと知世さん(の姉妹)が『あの声、鶴瓶さんよね』と言うて聞いてはったって。全然、お付き合いのない頃よ。そこで裸の縁ができた…向こうも裸でしょ(笑い)。後で知世さんから聞いたんだけど、そんなことってある?」

原田と共演し、これまでにない感覚を味わった。

「信じられないやろうけど、主役の人と会うたら、めっちゃ気遣うんですよ。その気遣いもないって言うんか、笑うても、2人で雪つかまえるシーンでも、『あっ、原田知世さんだ!』という緊張感がない。(演技が)もっと自然にできる。この人いいなとか、印象に残ったことがないくらい全てが自然。一緒にご飯食べに行きましょうって行っているんですよ。めいごさんと貴和子さんとも。みんな自然ですよね」

★「ガバチョ!」スタッフと再会

撮影現場では、数十年ぶりの再会にも恵まれた。撮影と編集とをつなぐ「スクリプター」を務めた黒木ひふみさんは、元個人事務所のスタッフだった。

「たまたまなんですけど『突然ガバチョ!』とかやっていた時、作った『オフィスまどか』に入っていた社員なんですよ。『お前、何や?』と言ったら『TK(タイムキーパー)です』って。だから身内が、そこ(撮影現場)にいてたというか。何十年かぶりに黒木に会うて、僕もアホなんで『お前、何でTKやってるんや?』って聞いたら『鶴瓶さんに言われたんですよ』って。『お前、TKやれ』って大分、前に言うたらしいですよね。それが今、本当にベテランに…良うなっていましたね。こいつ、すごいなと。そういうつながりも出てくるんやって。おもろいもんですね」

★生身の体で感じたものを表現

奇跡のような縁で結ばれた映画で演じたのは、落語家が磨き上げた唯一無二の技である言葉の原点・読み書きができない人物だ。難しくなかったのだろうか。

「読めない、書けない演技をしようという気がない。日々、撮影現場を楽しもうと思うから、たまたま行って、そうなる。セリフは覚えていますよ。でもキッチリ台本を覚えたセリフじゃない。日常のしゃべっている会話なんで、うーとか、えーとか言う流れは許してもらえる。それは“俺の間”やと思っている」

役の大枠を落とし込んで撮影現場に立ち、生身の体で感じたものを表現する。その瞬間を生きる自分と、役をオーバーラップさせた芝居は設定、背景を細かく突き詰めて役作りする俳優が「役を生きる」と口にする以上に役を生きている。

「俺の本質を一番、知っているのは笹野高史さん。『いいかげんやから、本当に何も考えていないんですよ。必死に考えていないから、すごい』って言うてはったから、そうかなぁと」

★お披露目直前…思わぬ困難も

公開前から、専門家や業界筋の間で作品に対する評価は高い。3日に都内で行われたお披露目試写会は、大切な作品を広く世に示す晴れ舞台だったが直前に思わぬ困難に見舞われた。女性トラブルで引退した中居正広氏(52)と親交が深く、自宅のバーベキューに参加したと報じられた。2日のMBSラジオ「ヤングタウン日曜日」で「歴史に残るとばっちり」と自ら口にし、世論も同情する中、壇上で自ら「バーベキュー嫌いですか?」と言い、食べるポーズで笑いを取った。一連の件について多くは語らないが、作品を送り出す世間への思いを口にした。

「字、書かれへんとか読まれへんというのは普通のことじゃないんですけども、夫を支え、妻を愛して、という普通のことを淡々と描いた映画なんです。感動すると言っていただきますが…今の世の中、ちょっとした幸せがなさすぎるんじゃないか? と思うんです。世間の人って、あっちこっちに目がキョロキョロしすぎやね。集中して夫、家族の良さをもう1度、見直すことが、実に大事です」

そして映画を待つ人々に向け、思いの丈を語った。

「要所要所に当たり前の幸せが流れている、この話が実話で今、この日本で映画化され、スクリーンに映し出されるのは本当に幸せなことやと思うんです。もう1回、嫁はんとしゃべろうかなとか、家族ともういっぺん会うてみようかなと思えるような映画。ぜひ自然に(劇場に)来て幸せを受け取っていただきたい」

▼皎子役の原田知世

私は今回、鶴瓶さんとご一緒できて、幸せで。演じるにあたって、ただ皎子さんが保さんを見つめたように、ずっと見て感じること、それだけでいいのかなと思って、鶴瓶さんのそばにいました。そうすることで、自然と皎子さんに近づいてきたような…。撮影期間って1カ月くらいなので、実は短い時間ですけど、私にとって、とても濃い時間。保さんと皎子さんの長い人生を、その時間に自分も体感したような、とても不思議な感覚がありました。

◆笑福亭鶴瓶(しょうふくてい・つるべ)

本名・駿河学(するが・まなぶ)。1951年(昭26)12月23日生まれ、大阪出身。京産大に進むも中退し、72年2月14日に笑福亭松鶴に入門。「突然ガバチョ!」などの司会で人気を得て、86年に東京進出。フジテレビ系「笑っていいとも!」レギュラーで全国区の人気者に。00年に上方お笑い大賞。03年に東西、協会を超えた「六人の会」結成。09年の初主演映画「ディア・ドクター」で日刊スポーツ映画大賞など国内映画賞の主演男優賞を総なめ。170センチ、77キロ。血液型O。

◆「35年目のラブレター」

保(笑福亭鶴瓶、重岡大毅)は貧しい家に生まれ、読み書きができないまま大人になり皎子(原田知世、上白石萌音)と運命的に出会い結婚。定年を機にラブレターを書こうと決心する。夜間中学に通い5年が経過し、形になろうとした頃、皎子が病魔に襲われる。

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