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毎熊克哉(37)が22日、東京・ユーロスペースで行われた主演映画「初級演技レッスン」(串田壮史監督)初日舞台あいさつで「思いが深い」と口にして、同劇場との深い縁を明かした。
毎熊は、串田壮史監督の20年の長編映画初監督作品「写真の女」を同劇場で鑑賞したその場で、同監督から「縁があったら、やりましょう」と言われたのが、今作で主演するに至った「おそらく始まり」と明かした。そして「(ユーロスペース)に帰ってこられたのは、うれしく思う」と感慨深げに語った。
劇中では、全身黒ずくめのミステリアスな演技講師・蝶野を演じた。岩田奏(16)が演じた、父を亡くした子役俳優・一晟(いっせい)に即興演技を実演させ、導いていく不思議な体験をさせる謎の男の役どころだ。「分かりやすい映画ではないと思う。ここが見どころで面白いとは言いにくいけど、何か心に残る映画になると思う。マニアックな映画の気もしているけど、応援してもらえるとうれしい」と呼びかけた。
大西礼芳(34)も、ユーロスペースへの思いを語った。京都造形芸術大(現京都芸術大)在学時に出演した11年の映画「MADE IN JAPAN こらッ!」(高橋伴明監督)の初日舞台あいさつが、同年10月1日に同劇場で行われ、登壇していた。「私もユーロスペースは思い入れが深い。学生の時のデビュー作を上映していただいて、それ以上ぶり。10年以上前だと思います。今日、見ていただいた時間を過ごせて、幸せ」と振り返った。
今作では、一晟の学校の教師・千歌子を演じた。学校で演劇教育の必須科目化の是非を迫られた中、蝶野と出会い、奇妙な体験をする役どころで「自分のつらい過去に目を背けてきた女性が、お芝居を通して、それを何回も繰り返すことによって自分のものにした。この映画を通して得た気持ちを、今後、芝居する上で大事にしたいと思った」と、目に涙を浮かべつつ語った。
岩田は「僕はユーロスペースは1回、来たことがあって。友達がコントをしたことがあった。こういう形で来ることになるとは…さっき、思い出した」と言い、笑った。
毎熊は、所属事務所アルファエージェンシー代表取締役の万代博実さんが11日に肺がんのため74歳で亡くなり、17日に公表されたばかりだった。それでも、壇上では悲しみを見せることなく、立派に舞台あいさつを務め上げた。