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ガレッジセールのゴリこと照屋年之監督(52)が22日、東京・TOHOシネマズ新宿で行われた監督作「かなさんどー」公開記念舞台あいさつに登壇。「乗っかり商売、させてもらいます!」と、公開前に「SHOGUN 将軍」で日本人初のゴールデングローブ賞助演男優賞を受賞した浅野忠信(51)に感謝した。一方で、浅野がロケ先の沖縄が大好き過ぎるあまり、病人役ながら朝から泳いでしまう、自由人ぶりに困ったと明かした。
「かなさんどー」は、照屋監督にとって18年「洗骨」以来、6年ぶり3本目の長編映画。沖縄県伊江島を舞台に、松田るか(29)演じる主人公知念美花が、堀内敬子(53)演じる母町子が亡くなる間際に助けを求めてかけた電話を取らなかった、浅野演じる父悟の命が危ないと聞き、7年ぶりに島に帰る物語。
沖縄で1月31日に先行公開され、前日21日から全国公開がスタートした。照屋監督は「やっとです。映画は2年前にできあがった。映画はわが子…出産に2年かかった」と感慨深げに振り返った。そして「一生懸命、どの映画も皆さん、作られている。血と汗、努力の詰まった作品。それが(公開前の)良いタイミングでゴールデングローブ賞。乗っかり商売、させていただきます。テレビ前で叫びましたもん…浅野さん、ありがとう! と」と浅野に感謝した。
浅野は、オファーを受けた理由を聞かれ「ストーリーが、ものすごく面白かった」と即答。さらに「沖縄にいつも癒やされていて、恩返しできること、ないかなと。沖縄のドラマに出させていただこうかと思ったら、この台本がきた」と沖縄好きだと強調した。照屋監督から「(コメントが)メディアに流れるから数分後、沖縄のテレビ局から、キャスティングできるんだ? と電話きますよ」と突っ込まれると、浅野は笑顔で「ロケでも癒やされて…朝から泳いでしまった。楽しかった。(演じた)ダメなお父さんのままでいられた」と笑った。
浅野が演じた悟は、年齢を重ねるとともに認知症を患い、残りの命が限られている役どころだった。照屋監督は「(役が)病人で余命、出てるんですよ…でも『泳いでしまいました』と…。さらに、入院服で、1人でスーパー行ったと…自由人なんです、この人。病人なんですけど(演じる)数分前、泳いでいますからね」と笑った。
主演の松田は地元・沖縄の方言であいさつ。「方言が使えたのが、すごくうれしいです。上京してしばらくたって、消そう消そうとしているので、真ん中に立ててうれしい」と喜んだ。映画のタイトルにもなった琉球民謡「かなさんどー」の歌唱シーンについては「沖縄民謡を歌ったことがなかったので、実際に歌ったらどうなるかと思ったら耳が慣れていたのか…。県民性を感じた」と手応えを口にした。
堀内は、演じた町子が照屋監督の母をモデルにしたと聞き「プレッシャーを感じた。(監督の)お父さんが大好きだったと聞いたので、家族を大事にしよう、大事にしようと考えた」と役作りを振り返った。そして「大事なシーンでリハーサルで涙が出て、本番で止まってしまった。1人にしてもらい、気持ちを作らせてもらった」と感謝した。