
クラシックカー愛好家としても知られる堺正章(78)が主宰するクラブロトンドの主催イベント「ラリー・フォルティッシモ」が3月14~16日、千葉を舞台に開催される。このほど日刊スポーツなどの取材に応じ、その熱い思いを語った。
23、24年と2年連続、都内で、クラシックカーの展示イベント「スーパーミュージアム」を開催してきた。今回満を持しての走行イベントとなる。「クラシックカーの愛好者は2タイプいます。鑑賞派と実際に走らせる派です」とし、自身は「車は走らせてこそ魅力だと思う」とした。走らせるにはリスクも伴う。「クラシックカーなので、走らせると壊れるんです」とほほ笑みつつ、「今回は事故が起こるかもしれないということも意識しなければならない」と気を引き締める。「みんな大人なので、無謀な運転をする方はいらっしゃらないと思うけど、『やらなきゃよかった』という結果にならないように頑張ってみようかなと」と覚悟も話した。
イベント企画の裏にはクラシックカー人気の低迷がある。「ちょっとでも盛り上げたい」とし、「クラシックカーの世界は今デリケートな問題を抱えていて、若者がいない」と嘆いた。若者の車離れもあり、その余波はクラシックカーにも及んでいる。「だから、若い方がいらっしゃった時はもう本当に大歓迎です」と笑顔を見せた。
クラシックカーの魅力は「職人の声が聞こえて来ること」とし「手作り感というか、試行錯誤を繰り返す歴史の中で、バランスを考えてこうした方がいいんじゃないかとかが、なんか聞こえて来るんです」と目を輝かせた。「当時の車は、おそらく技術の最高峰だったと思うし、デビュー感がものすごく強い。そういうワクワクを持っていて、深みや重さがある」と力説した。その一方で、今の車は「工業製品になっているなと感じてしまいます」と寂しさも口にした。
今回は千葉にこだわった。「千葉には都会もあれば、海や山などの自然もあって、楽しさがある」とし、「森田健作さんも大好きでしたし」と笑った。「射撃でよく行きますが、高速を下りたと同時に昭和になっちゃう。あの空気感が古い車とマッチするかなと。懐かしい日本を見ている感じなんです」という。「もちろん発展しているところもあるけど、古き良き日本を残してる部分もあるので、そういう場所を走ってみようかなと思っています」と続けた。
初開催ということで生みの苦しみもあるが、「皆さんの笑顔が見えた時、『やってよかった』という気持ちになるんでしょうね」と目を細めた。
自身の参加については「まだ、自分の中では決められていないんです」と苦笑い。「参加したいけど、僕は主催者なので、やっぱり皆さんを俯瞰(ふかん)で見て、『ここはちょっと』とかをやらなきゃいけないのかなとも思っています」。だが、「事務局からは走ってくださいという要請もあった」とし、「やっぱり古い車が集まるところに、普通の車で行くのもちょっとつまらないなとも思って…」と迷い中だ。
「恒例のイベントになればいいなというのが僕の理想で、これを3月にやって好評でしたら、また11月にやりたい」と意気揚々。そして、その目は将来も見据えている。「今回、千葉での開催ですが、今後要望があれば応えていきたい」とした。「もちろん、今回成功させることが重要だけど、見た方が『これなら、うちでもやってほしい』という風に感動してくださったら大変うれしいです」と声を弾ませた。
◆同ラリーはクラシックカーラリーに区分され、スピードではなく技術力を争うPC競技として開催。PC競技は「線踏み競技」とも呼ばれ、決められた区間を、設定時間にいかに近い時間で走行することができるかを競う。PC競技はいくつかの会場で開催され、最終的な合計ポイントにより順位が決められる。今回は計80区間、3日で約600キロの移動を予定している。また、今回参加車両の条件は「1969年までに製造された欧州車及び国産車」を規定。レプリカ車両、過度な改造車両、AT車は参加不可だが「ただし、主催者が例外的に認否する車両」は可としている。