第37回日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞(日刊スポーツ新聞社主催、石原音楽出版社協賛)で作品賞、監督賞、主演男優賞の3冠に輝いた「侍タイムスリッパー」の舞台あいさつが発表から一夜明けた28日、大阪市内で行われた。
この日の舞台あいさつは「ロングラン御礼年忘れ侍祭り」と題し、俳優陣が劇中の衣装を着て登壇。冒頭で、安田淳一監督(57)が前日27日に考えた寸劇を披露した。助監督の山本優子を演じ、実際に撮影現場でも助監督を務め刀、小道具を管理した沙倉ゆうの(45)は「『侍タイムスリッパー』作品賞、監督賞、主演男優賞、良かったぁ~」と日刊スポーツ映画大賞3冠獲得を喜んだ。一方で「でも…主演女優賞は、沙倉ゆうのだと思うんやけどな~」とツッコミ、会場を沸かせた。
寸劇終了後、安田監督が「出てくるの、メチャクチャ恥ずかしい」と言いながら登壇。司会から「昨日、皆さん、ご存じですよね?」と声がかかり、観客から祝福の拍手が沸き起こると「日刊スポーツ映画大賞で作品賞、監督賞、そして主演男優賞をいただきました。本当に皆さんのおかげです」と感謝した。
「監督賞もうれしいし、主演男優賞も泣けました。でも、1番うれしかったのは作品賞。掛け値なしに思っているのは、応援していただいている、お客さんの力でいただいた賞」と感謝。「とにかく(製作費を)回収しようと思っていただけで、賞をいただこうとか、これっぽっちも考えてもなかった。賞らしい賞を取ったことがなかった。カテゴライズが商業映画になった途端に、いいんかなと思う賞ばかりもらう」と驚いた。
舞台あいさつの最後には当初、登壇予定がなかった主演の山口馬木也(51)もサプライズで駆けつけた。「皆さんにひと言、お礼が言いたくて。仕事が早く終わったものですから、新幹線に乗ったら…と思ったら、止まっていたので、制限速度を守って車で来ました」と、やや息を切らせながらあいさつ。「おこがましいですが、キャスト皆さんをを代表して、あの賞をいただいたと思っています」と感謝した。
8月17日に“インディーズ映画の聖地”と呼ばれる東京・池袋シネマ・ロサ1館のみで封切られて4カ月。全国での公開館数は355館に拡大し、興行収入は25日時点で8億1700万円を記録した。一方で、28日からの公開館数は96館と減少傾向にあった。沙倉が「これでお正月興行も、ちょっと安心やね」と、日刊スポーツ映画大賞3冠受賞を受け手の、上映の継続、さらなる公開の拡大を期待すれば、山口も締めのあいさつで沙倉に続いた。
「今回の日刊スポーツ(映画大賞)で、作品賞、監督賞、主演男優賞をいただきまして…。(公開)100日を超えたあたりから、僕は、ちょっと寂しい思いをしていた。皆さんの側から、ちょっとずつ離れていった気がしていた。こういう賞をいただいたことで、もう少し、この映画が皆さんのお側にあってくれるのかなと…」
そして、最後に「重大なことを言います。皆さま、良いお年をです」とあいさつし、場内を笑わせた。安田監督も「この大きな会場で、見ようと思ってくださって本当にありがとうございます」と、涙声で感謝した。