東宝が23日、都内のTOHOシネマズ日比谷で2025年ラインナップ発表会を開いた。席上で、市川南取締役専務執行役員(58=エンタテインメントユニット映画本部長)は、2024年は年間興行収入(興収)が、1932年(昭7)の創業以来、初めて900億円を超える見込みであると明らかにした。
東宝は24年に29本の作品を配給した。興収トップが「名探偵コナン 100万ドルの五稜星」(永岡智佳監督)で158億円。「劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦」(満仲勧監督)が116億4000万円で続いた。「劇場版 SPY×FAMILY CODE: White」(片桐崇監督)が63億2000万円で全体の4位に入った。
実写も好調で「キングダム 大将軍の帰還」(佐藤信介監督)が、全体3位の80億3000万円。「ラストマイル」(塚原あゆ子監督)が全体6位の59億1000万円(上映中、22日時点)を記録した。市川氏は「毎年、この席でお伝えしていますが、年間興収の目標500億円は21年連続、600億円超えは13年連続」と説明。「52・5%がアニメ。アニメの50超えは19年からなんですけれど、今年は実写比率が高い年になりました」と続けた。
その上で、1月に立ち上げた新レーベル「TOHO NEXT」も13本(ライブニューイング作品含む)配給していると説明。双方の興収を合わせ「910~920億円を見込んでます」と説明した。
これまでの東宝の年間最高興収は「君の名は。」(新海誠監督)「シン・ゴジラ」(庵野秀明総監督、樋口真嗣監督)を公開した、16年の854億円だった。市川氏は「歴代1位の成績になります。16年の854億円を超えることがあるんだろうかと思ったら、初の900億円到達の年になった」と語った。
吉田充孝執行役員(53=エンタテインメントユニット映画本部 映画営業、同宣伝各担当兼映画本部映画営業部長)は「業界全体で2000億円強…当社だけ見れば素晴らしい」と感想を口にした。その上で、業界全体の年間興収が前年度10%減の2000億円程度になるとの見込みを示した。その上で、上位6作品の興収の合計527億円が、自社の年間興収の58%、業界全体では26%を占めていると説明し「いかに突出した成績で業界を支えたか」と語った。
東宝が“独り勝ち”した要因について聞かれると、吉田氏は「他社のラインアップが少なく、東宝に寄りがちかなと。東宝の安定した強さが出た」と説明した。