俳優山田孝之、阿部進之介らがイベントプロデューサーを務める短編映画製作プロジェクト「ミラーライアーフィルムズ」と秋田市未来創造人材育成・プロモーション事業実行委員会がこのほど、同市内で「ミラーライアーフィルムズ AKITA文化祭」を開催した。「ミラーライアーフィルムズ シーズン6」で13年ぶりにメガホンをとった俳優小栗旬(41)をはじめ、同じく監督として参加した浅野忠信(51)、増田彩来(23)らもイベントに登壇するなどして盛り上げた。また、シーズン8の開催地が岡山県となることも発表された。
ウエルカムセレモニーでは山田や阿部、そしてプロデューサーの1人でもある伊藤主税氏も登壇した。秋田市でシーズン5と6を撮影した理由について、山田は阿部が主演・原案を務めた「デイアンドナイト」を例にあげつつ「秋田と僕たちがどちらともなくひかれ合っている」と話し、阿部も「秋田駅に降りると『ありがとう』という気持ちになる」と語って笑いを誘った。
伊藤氏は秋田市での取り組みをモデルケースにシーズン7を東海市で撮影することが決まっていることも紹介。シーズン8は岡山県で撮影することも初めて明かし「秋田のみなさんとの取り組みが東海市へつながり、そして岡山へと続いています。岡山では、地域連携事業として岡山県全域で撮影を行いさまざまな市町村が協力する取り組みとなる予定です」と述べた。
学生が撮影に参加することもプロジェクトの特徴となっており「最初は『勇気がなかった』『映画のつくりかたが分からない』と話していた学生たちが3月と11月のイベントでは中心となって運営をしてくれました。そういったケースを基に、岡山県では岡山フィルムプロジェクトを立ち上げ、実行委員会を組成、中核の学生たちが『起業』できる事を目標に、リーダーシップ向上に役立つ取り組みも予定しています。これからもミラーライアーフィルムズは誇りをもって映画の制作、クリエイターの育成を進めていきます。今後とも応援よろしくお願いします」とあいさつすると、会場からは大きな拍手が起こった。
シーズン6上映後のトークショーには小栗や浅野も登壇した。
小栗は山田から声をかけられたことが参加のきっかけだったと明かした。山田は「『シュアリー・サムデイ』を監督して以来で、次いつ監督するんだろう?という気持ちがあったので」とオファーの経緯を語った。
小栗は主演に藤森慎吾を抜てき。「初日のファーストカット撮影の時『ぼく、ただ歩くってしたことないかもです』って藤森君、手と足が一緒に動いちゃうぐらいの感じのガチガチさだったので、それはすごく面白かったです…(笑い)。でもそのあとはすぐに感覚をつかんでくれて本当に素晴らしい演技でした」と振り返った。また、怒りをぶちまけるシーンでは藤森がぎっくり腰になってしまったことなども明かした。
今回は小栗が「1/96」、浅野が「男と鳥」で監督を務めた。浅野は今後の監督業について「まだやりきれていないのでシーズン7、8とまた監督をして…」と語って笑いを誘い、小栗は「みんなに助けてもらいながら撮影できましたし、作品的に世の母親、女性たちを怒らせないところを探るのが重要でした。脚本家の三枝くんとお互いに脚本ができた段階で妻に読んでもらいました」と制作裏話も明かした。
また別のトークショーでは、若手カメラマンとしても注目を集める増田らが登壇。伊礼姫奈を主演に置いた短編映画「カフネの祈り」を監督し、増田は「初めて監督した作品ですが、自分が生きていく上で大切にしていきたいことや忘れたくないこと。そういうものを詰め込んだ、この先の道標になっていくような作品だと思っています。観てくださった方にも、そういう光になれたらうれしいなと思い、願いながら、祈りながら、作った作品です」と語った。
同プロジェクトは「だれでも映画を撮れる時代の幕が開く」をコンセプトに、山田と阿部、映画プロデューサーの伊藤氏らが発起人となって2020年に始動。年齢や性別、職業などを問わない自由で新しい映画製作を目指し、クリエイターの育成・発掘も目的としている。岡山県で行うシーズン8では岡山県フィルムプロジェクト実行委員会に参加を希望する学生の募集も開始。12月末まで応募を受け付けるという。
「ミラーライアーフィルムズ」ではこれまで俳優、映画監督、漫画家、ミュージシャンなどが監督した42本の短編映画を劇場公開。毎回、著名クリエイターの作品から一般公募作品まで多彩な短編映画が集まっており、シーズン7には監督として加藤浩次、加藤シゲアキの参加が決まっている。小栗らが参加したシーズン6は12月13日からヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国の劇場で2週間限定上映する。