北野武監督(78)が21日、横浜市内で行われた型XRエンターテインメント施設「IMMERSIVE JOURNEY」に出席。親交の深い東日本国際大学総長で早大名誉教授の吉村作治氏(81)が監修した、最新のVR(仮想現実)技術を駆使し、時代を超えたエジプトを旅するアトラクションを体験した。同監督は、吉村氏とはテレビ東京系の正月の恒例番組「たけしの新・世界七不思議」で長年。共演しているが「エジプトのミイラかと思った。クフ王かと思った」と吉村氏をギャグを交えて評し、笑わせた。
「IMMERSIVE JOURNEY」は、世界を巡る物語の旅を提供するエンターテインメント施設で12月1日から横浜に常設される。第1作として、4500年前の古代エジプトを舞台にした、クフ王とピラミッドにまつわるVRエンターテインメント作品「Horizon of Khufu」が提供される。世界10都市以上で100万人を動員した同作品は日本初上陸だが、その日本語訳監修を吉村氏が務めた。
北野監督は、実際に体験すると「技術、すごいね! バーチャルっていうのも、進化がすごいね。体感がもっとすごくなって、距離感がすごい」と驚いた。一方で「これを基準に考えると現実は一体、どうなるんだろう? いつのことだろう? あの画像、見せられると生きていることがイリュージョン」とまで絶賛した。
そして、1994年(平6)8月2日未明に都内でバイク事故を起こしたことを踏まえ「バーチャルに関しては、僕は昔、何十年か前に交通事故を起こして頭打っているんで、たまに朝、起きた時、病室に寝ているんじゃないかと目を薄く開けると、ホッとすることがある。そんな時期もあった。見たものと、脳で理解するのは、すごく大事」と答えた。その上で「これを見て、エジプトに行って再確認し、現実はすごいか、バーチャルがすごいか…見ておいた方が良い。良くできていると同時に人間の進化はここまで来ているのか? 当然。2つ見るべき…都合が良いのは、こちら」とアピールした。
吉村氏については「先生とは同世代。敗戦国でアカデミックな部分で乗り遅れた中、身を粉にしてやってこられた。先生は、興味を忘れることなく学者になって日本、アジア、世界的にもですけどエジプト文明に関わってこられた」と、その業績をたたえた。その上で「歴史的技術、研究もだんだん変わってきた。現地に行かずとも、VRが発展し…何千年、何万年の歴史の国も研究できる。それができるようになったのも、日本では先生が本当にタンカーの底に乗ってエジプトまで行って、宗教までイスラム教になって研究したことが、後を続く者にとっては良い道標になったと尊敬しております。ありがとうございます」と感謝した。