令和のシンデレラストーリーを予感させる新星が現れた。女優池端杏慈(17)が、FANTASTICS八木勇征(27)主演映画「矢野くんの普通の日々」(15日公開、新城毅彦監督)で、実写映画初出演にしてヒロインに抜てきされた。このほど取材に応じ「リアルな演技ができる女優に」と未来像を語った。
圧倒的な透明感をたたえた美少女の表情が輝いた。出演決定時を「お母さんがお風呂出たばっかりだったんですけど『何それ!』と飛び出して来た」と笑って振り返り「うれしすぎて今でも実感がわかない」と喜ぶ。女優経験は22年、綾野剛主演のTBS系日曜劇場「オールドルーキー」7話、同年アニメ映画「かがみの孤城」声優の2作だけだが、昨年から若手女優の登竜門的存在でもある、大塚製薬「ポカリスエット」CMに起用され露出が急増。勢いそのまま、演技3作目にしてオーディションで大役を得た。
役柄は自身と同じ高校2年生で、八木が演じる不運なクラスメートに直球の恋心を抱く。17歳らしく胸キュンする笑顔、心配性の乙女顔、生命の危機での切ない表情を演じ分けた。長セリフ、心の叫びのアフレコもこなし「台本を覚えるのは苦手ではないんです」。一方「いっぱい感情が変化するので、喜怒哀楽を表現するのが難しかったです」と課題も冷静に分析した。
初々しい失敗談も。「八木さんが本番前に涙を流して感情を作っていた時、春だったので『花粉症ですか?』って聞いちゃった時があって。そうしたら八木さんが『これは次のシーンのために感情を入れているんだ』と言ってて。『ヤバイ、恥ずかしいこと聞いちゃった』って」と照れたが「台本に書いてなくても自分で感情を作って事前に出す、というのはすごく大事なんだなと、現場で学びました」と教えも得た。
憧れの女優は杉咲花。「日常生活を切り取った役を自然に演じるってスキルがいる。映画の『市子』も見たんですけど、キャラクターがあるけど、つかめない、けどすごく自然。そういう役柄が演じられたら、と思いました」と意気込む。アクションにも興味津々だ。綾瀬はるかのNHKドラマ「精霊の守り人」(15年)や、大好きな韓流ドラマ「マイネーム:偽りと復讐」主演のハン・ソヒの演技を見て「立ち向かっていく女性の姿ってカッコイイ」と胸を高鳴らせる。ティーンの輝きと女優への夢をあふれさせた「アンジ」。今、走りだす。【大井義明】
◆池端杏慈(いけはた・あんじ)2007年(平19)9月8日生まれ。東京都出身。ティーン誌「ニコラ」(新潮社)21年オーディションで1万人超の中からグランプリとなり、今年5月まで専属モデル。女優デビューのTBS系「オールドルーキー」では、病気から立ち直って車いすテニスを志す難役を演じた。昨年から務める「ポカリスエット」CMキャラクターでは、史上初となる椿とのダブルヒロイン。中学時代はバトミントン部で、体育祭リレーメンバーにも選ばれる運動神経の持ち主。名前の由来は「慈悲の心をもった、優しい子に育って欲しいという意味も込めて付けたとお母さんが教えてくれました」。身長165センチ。
◆矢野くんの普通の日々 田村結衣さんの同名漫画が原作。超不運体質な男子高生、矢野剛(八木)はいつもケガまみれ。心配性なクラス委員長の吉田清子(池端)は、ほっとけない気持ちが恋心に? 共演にTravis Japan中村海人、白宮みずほ、新沼凛空、伊藤圭吾、乃木坂46筒井あやめら。