5日に米大統領選を控えた民主党候補のカマラ・ハリス副大統領(60)が2日、米NBCの人気コメディー番組「サタデー・ナイト・ライブ」の冒頭にサプライズ登場してコントを披露し、物議を醸している。ハリス氏は、生放送で自身のものまねを披露するコメディアンのマヤ・ルドルフ(52)と共演し、鏡像の分身として自身を演じた。
ハリス氏を演じるルドルフが、楽屋の机を前に座って「私と同じ立場の人と話せればいいのだけれど。黒人で南アジア系の女性で。大統領選に出馬している、できればベイエリア出身の」と話した後、鏡の方を見ると、鏡の中にハリス氏本人が笑顔で登場。2人は同じダーク色のスーツを着ており、髪形もそっくりだった。鏡の中の相手に向かって満面の笑みを浮べながら、「カマラ、会えてうれしいわ」と互いに声をかけあっている。
ハリス氏は、「私はただ、あなたならできるって思いださせるためにここにいるの。あなは、あなたの対立候補ができないことができる。扉を開けることができる」と、もう一人の自分に向かって語りかけるシーンもあった。
接戦が続く中、お笑い番組に出演することでより多くの層にアピールすることが狙いとみられるが、連邦通信委員会(FCC)のブレンダン・カー委員は3日、X(旧ツイッター)でハリス氏の番組への出演は「均等時間」の法令違反に当たる可能性があると警告。「これはFCCの均等時間規制を回避しようとする明白で露骨な試みだ」「他の資格のある候補にも均等な時間を提供すべき」と非難した。
FCCの均等ルールでは、ラジオ局とテレビ局に対して公職の候補者の対立候補にも平等な時間を提供することを義務付けている。
NBCは、警告を受けて共和党のトランプ前大統領にもハリス氏が番組に出演した短い時間と「均等な時間」を提供する予定だと述べている。
ハリス氏は選挙戦終盤でメディアへの露出を増やしており、テレビ以外にもポッドキャスト番組などにも出演し、若者層からの支持獲得を画策している。(ロサンゼルス=千歳香奈子)