starthome-logo 無料ゲーム
starthome-logo

81歳堺すすむ&78歳マギー司郎が渋谷さくらホール「1日5回チャップリン見た」/連載<4>


「歌って元気!笑って健康!秋の演芸フェスティバルVOL.1」に出演する堺すすむ(左)とマギー司郎

ギター漫談の堺すすむ(81)とマジックのマギー司郎(78)が、17日に東京・渋谷区文化総合センター大和田「さくらホール」で開かれる「歌って元気!笑って健康!秋の園芸フェスティバルVOL.1」に出演する。他におぼん・こぼん、桂宮治、紺野ぶるま、竹川美子ら。ともに半世紀以上の芸歴を誇り、今なおステージにあがり続けるレジェンド2人に聞いてみた。

◇  ◇  ◇  ◇

マギーは1980年(昭55)に日本テレビ系「お笑いスター誕生」で7週連続勝ち抜いて、ブレークした。

マギー「それまでは、ずっとアルバイトしてましたね。アルバイトといっても、いつマジシャンの仕事が入って来るか分からない。だから新宿の歌舞伎町でビラ配ったり、サンドイッチマンやったり、そういう感じでした。僕の師匠のマギー信沢っていう人は、おとなしい人でね。僕、あんまり怒られたりするの好きじゃないので。浅草の今、場外馬券場があるんですけど、そこに新世界っていうデパートみたいなのがあったんです。そこでマジックショップのディーラーをしてたんですよ。で、僕が17、18歳の頃にそこによく行ってて、そこが弟子入りのきっかけですね。それで、時々キャバレーの仕事があるので、カバン持ちをして歩いて。それで名前をいただきました」

3番弟子が「耳が大きくなっちゃった」でおなじみのマギー審司(50)。

マギー「手紙が来たんです。弟子にしてくださいと。それを鉛筆でね。普通、ボールペンじゃないかなと思ったんだけど、まあこういうのも面白いなあ。彼は3番目の弟子なんですけど、僕はあんまり何でもいいやって方なんで、弟子もいろいろ。いつ成長するか分かんないんですよね、芸事自体は、なんか、ばくちみたいなもんじゃないですか。だからダメっぽい人が急に成長したりもすると思うから、際どいですよね」

自身がそうだったように、弟子には厳しくしない。

「なんか弟子が悪いことをしちゃうんじゃないかって思った時には、もう僕が頭下げるしかないよね。なんか揺れ動いてる時期は、ずっと長いですよね。生活を全部のぞけないから、危なっかしいところはありますよね。あとはもう運命的なものかなと思って。一番上の弟子のマギー隆司が72歳なんですけどね。だから今は、健康だけ保てれば90歳くらいまでやってみたいなって思ってるんですけど。いろんな人との出会いがあって、やっぱりに救われてますよね」

堺には師匠以外でも、大阪時代に強い影響を与えてくれた人がいる。

堺「松竹新喜劇の藤山寛美さんですね。寛美さんと、僕の師匠の川上のぼる先生が同じ昭和4年生まれなんです。何かあると、とりあえず寛美さんのところに行って見るのが勉強でした。何とも言えない間、あれを覚えたくて」

テレビプロデューサーの澤田隆治一氏からも、津老い影響を受けた。澤田氏は朝日放送で「てなもんや三度笠」や「スチャラカ社員」を作って、後に東阪企画を設立して「花王名人劇場」や漫才ブームを仕掛けた。

堺「あの人は何かあると『すすむ、時間あるか』って言うから。『はい』って言うと『チャップリン(の映画)見てこい』って。『行ってきたか』って聞かれて『行ってきました』って答えると、『そうか、この後、何かあるか』って。『いいえ』って言うと、また『チャップリン見てこい』って。1日に5、6回、顔を合わせて『チャップリン見てこい』と。あの頃はね、何本立てだったかな、小さな映画館でチャップリンしかやってない映画館、そんなのがあったんですよ」

大阪・梅田新地の入り口にあった映画館で、チャップリンの映画を1日中見ていた。

堺「澤田さんは『見に行ってこい』って言ってもね、後は別に何を言うわけでもない。でも、何か違ったね。見に行かないと怒られるんですよ。沢田さんは朝日放送で、僕が川上のぼる先生の弟子になった頃から、その担当で番組を作ったりしていたんですよ。『俺、こんな偉い人の担当になってどうしようか』って言ってました。まだ若い自分、ABC朝日放送に入ったばっかりの時はラジオでしょ。それからテレビの時代になって『てなもんや三度笠』や『スチャラカ社員』を作った」

マギー「僕は、いろいろな人にお世話になりましたけど、制作会社の日企の赤尾健一会長ですね。元々、日本テレビのディレクターで、日企を設立して『お笑いスター誕生』をやられていました。怒らないんですけど、威圧感みたいなのはありました」

17日に「演芸フェスティバル」が開催される「さくらホール」は700人が入る。

マギー「それくらいのところで、よくやってますよね。僕らが始めた頃は、体育館とか住民会館とかでのステージが普通だった。多分後ろの人って、見えないじゃないですか。それを気にしていると、芸ができなくなるのかもしれないですね。よく視覚障害の方を相手にマジックをやることがあるんです。そこでもやる芸は同じなんです。芸人には分かってくれますよねっていう気持ちがどっかにあるんだと思うんですよね。最初はびっくりしたんですけど、目の見えない人が真ん中に50人いたりとかね。最初は気にしたんですけど、その人たちには分かるんですよ。若い時は気にしてびびりましたよ。でも、目が悪くても歩けるじゃないですか。そういう理解だと思います。僕、一番大きいところでは横浜アリーナでやりました。1万5000人です。でも、楽しいですよ。後ろの人は何とか理解しようとするし、その距離間も芸で伝えてるような気がするんですよ」

巨大会場には、大きなモニターがある。

マギー「だって、客席が異様なんです。真ん中から前の人たちはこっち見てるけど、後の人は全部上見てる。モニターが4面にあって見てる。空気感でいいんじゃないかなと。老人ホームの慰問に行くじゃないですか。そうするとベッドで横になってる人も3、4人連れてくるんですよ。なんだか分かんないけど空気感なんですよ。そこでなんか元気もらってるんじゃないかなっていう」

レジェンドの熟練の芸を同じ空間で感じて楽しむ。演芸を楽しむ基本だ。

(終わり)【小谷野俊哉】

◆堺(さかい)すすむ 1942年(昭17)11月23日、大阪生まれ。60年腹話術の川上のぼる門下に。ものまねギター漫談を確立。67年上京。76年放送演劇大賞声帯模写部門賞。80年代後半に「な~んでかフラメンコ」がブレーク。血液型A。

◆マギー司郎(しろう)1946年(昭21)3月17日、茨城県下館町(現筑西市)生まれ。63年上京。66年初舞台。68年マギー信沢入門。80年日本テレビ「お笑いスター誕生」7週勝ち抜き。81、82年放送演芸大賞ホープ賞。08年(平20)浅草芸能大賞。血液型A。

▼「歌って元気!笑って健康!秋の演芸フェスティバルVOL.1」 渋谷区文化総合センター大和田さくらホールで、9月17日午後3時開演。出演は堺すすむ、マギー司郎、おぼん・こぼん、桂宮治、紺野ぶるま、磁石、竹川美子、走裕介、や団、近江綾、河口こうへい、錦笑亭満堂、ゴンゾー、フランピアノ、ツーライス、ガンリキ。

    Loading...
    アクセスランキング
    game_banner
    Starthome

    StartHomeカテゴリー

    Copyright 2024
    ©KINGSOFT JAPAN INC. ALL RIGHTS RESERVED.