ギター漫談の堺すすむ（81）とマジックのマギー司郎（78）が、17日二等強・渋谷「さくらホール」で開かれる「秋の歌って元気！笑って健康！園芸フェスティバルVOL．1」に出演する。他におぼん・こぼん、桂宮治、紺野ぶるま、竹川美子ら。ともに半世紀以上の芸歴を誇り、今なおステージーにあがり続けるレジェンド2人に聞いてみた。【小谷野俊哉】
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マギー司郎が生まれたのは、茨城県北西部の下館。現在は筑西市になっている。
マギー「もうほんと、東京に近いところですね。芸人になろうとは思ってなかったんですけど、家出ですね。僕が出てきた頃ってSL（蒸気機関車）ですからね、（煙で）真っ黒になりながらね。東京に出てきたのはただ憧れて出てきたっていうだけで、芸人になろうっていう気じゃないんです。何でもよかった。16歳でした」
家出して、憧れの東京にやって来た。
「その後に、なんか生きなきゃしょうがないじゃないですか。それでバーテンダーのアルバイトをしながら、昼間は暇なので広告でマジックスクールの看板があったんですよ、募集みたいな。そこに行って少しマジックを勉強して、バーテンダーをしながら3畳間で生活していました。練習すると道具を買わされるじゃないですか。3畳間なんで、半年か1年くらいで荷物が増えるんですよ。で、寝るとこがなくなって、これで何かご飯食えたらいいかなと思って、昔の電話帳を見て、片っ端からプロダクションとか芸能社に電話して。そしてなんか面接していただいたのが、巣鴨の芸能事務所」
電話帳で見つけた芸能事務所の面接にこぎつけた。プロのマジシャンへの第1歩を踏み出しかけた。
「『仕事が発生したら電報を打つからね』って。で、ある時、電報が来たんですよ。で、その電報が、京浜急行の生麦っていう駅があるんですけど、そこの『生麦ミュージック劇場に行かれたし』って書いてあった。ミュージック劇場なのでライブハウスかなと思って行ったんです。そしたらストリップ劇場だったんですね。そこが始まりですからね。で、キャバレーとかお祭りとかずっと回ってて。それでたまたま『お笑いスター誕生』っていう番組が。はい、それが45年くらい前だと思うんですけどね」
1980年（昭55）に日本テレビ系「お笑いスター誕生」に出演したマギー司郎は、7週連続勝ち抜き。10週勝ち抜きのグランプリこそ逃したが、茨城弁なまりのしゃべりの面白さでブレークした。
「その頃はとんねるずさんとかも、まだ高校でたばっかりくらいの時ですかね。輝いてましたよね、あの頃ね。僕らは芸人としてのキャリアはあるんですけど、一番怖かったのは素人の方とやる時。飯が食えない状況なんだけど、一応プロじゃないですか。お祭りとかキャバレーに行って、面白くてウケる素人さんと一緒になるのが怖かったですね。プロダクションなんかでも『素人よりも成績悪いと仕事減るんじゃないの』とかっていう時代でしたよね。僕らの年代の人は、とんねるずさん見て、びっくりしたんですよね。新鮮だし、爽やかだし」
ブレークした時は34歳になっていた。
マギー「だからギリギリでしたよ。その時で15年くらいは下積みしていたんですからね。だから、それがきっかけで何とか生きられたって感じですかね。テレビに、少し出るようになりました」
その頃、日本テレビ系「歌まね合戦 スターに挑戦」の審査員をしていた堺は、ものまねに対する歌手の考え方に直面していた。同番組は「スター」と「挑戦者」が、歌でものまねを競い合った。
堺「その頃はね、歌手がものまねをして『もう冗談じゃない、なんで俺がものまねしなきゃいけないんだよ』っていう、悪い風潮があった。美川憲一さんは『私のものまねやってるコロッケっているんだけど、あれなんとかならないの』って言ってたわけ。それで、『美川さんがステージやテレビに出ていない間にも、僕らはテレビ、ラジオで美川憲一っていう名前を発信してるんですよ。それが歌手にとってプラスじゃないですか』って言ったんです。そうしたら『そうね』って納得してくれました。持ちつ持たれつの世界なんですよね」
（続く）
◆堺（さかい）すすむ 1942年（昭17）11月23日、大阪生まれ。60年腹話術の川上のぼる門下に。ものまねギター漫談を確立。67年上京。76年放送演劇大賞声帯模写部門賞。80年代後半に「な～んでかフラメンコ」がブレーク。血液型A。
◆マギー司郎（しろう）1946年（昭21）3月17日、茨城県下館町（現筑西市）生まれ。63年上京。66年初舞台。68年マギー信沢入門。80年日本テレビ「お笑いスター誕生」7週勝ち抜き。81、82年放送演芸大賞ホープ賞。08年（平20）浅草芸能大賞。血液型A。
▼「歌って元気！笑って健康！秋の演芸フェスティバルVOL.1」 渋谷区文化総合センター大和田さくらホールで、9月17日午後3時開演。出演は堺すすむ、マギー司郎、おぼん・こぼん、桂宮治、紺野ぶるま、磁石、竹川美子、走裕介、や団、近江綾、河口こうへい、錦笑亭満堂、ゴンゾー、フランピアノ、ツーライス、ガンリキ。
