テノール歌手秋川雅史（56）が、第108回「二科展」（彫刻部）で4年連続で入選した。
07年に「千の風になって」が大ヒットした秋川は、子どものころから地元愛媛の西条祭りに毎年参加し、装飾されている木彫刻に魅力を感じていた。10年に訪れたドイツで出会った作品がきっかけで彫刻活動を本格的にスタート。
これまでに「木彫楠公像」（21年）「木彫龍図」（22年）「木彫蛙と蛇」（23年）と3年連続で二科展に入選。今年は「木彫ヘラクレスオオカブトとギラファノコギリクワガタ」で4年連続の入選を果たした。
二科展は4日から16日まで、東京・港区の国立新美術館で開催。
◆秋川のコメント 木彫刻を始めて14年。二科展に初入選してから3年がたち、今回4年連続の入選を目指して作品を作り上げました。初入選の「木彫楠公像」と翌年の「木彫龍図」はどちらも1作品に3年かけて作り上げました。
しかしそれ以降、二科展に応募するには完成までに1年で仕上げる必要がありました。他の作品も並行して制作しているため、そちらに割く時間も考えて期限までに完成する物を考えました。
昨年は蛙と蛇の対決を彫ってみましたが、これがとても面白くやりがいがあったため、今回も「対決」をテーマに何か作品を作れないか考えてみました。子供の頃からの永遠の興味の対象である、カブトムシとクワガタムシが戦ったらどちらが強いのか、という姿を作品にしたら面白いのではないかというアイデアが湧いてきました。
私は現在ヘラクレスオオカブトをブリードしています。ブリード歴はもう10年以上。そのフォルムは知り尽くしています。ヘラクレスオオカブトはキングオブインセクト（最強の昆虫）と言われていますが、その「最強」は大きさや強さだけでなく、ツノのフォルム、流線形の美しさも意味していると思っています。
対するは世界一長さのあるギラファノコギリクワガタ。そもそもこの2匹の昆虫は生息地域も違い、本来自然界で対決する事は絶対にありません。特徴も異なる者同士が自分の特技をいかして戦う、まさに“異種格闘技”であります。
秋川の彫刻といえば本物そのものと言われるよう、今回も写実にこだわってみました。かつて日本画家、竹内栖鳳が「動物を描けば匂いまで描く」と言われましたが、私は、見た人が思わず手を伸ばし捕まえたくなるような“超写実主義”を目指してみました。
