“令和の野球少女”が本格派女優へと脱皮しつつある。池田朱那（22）。4月クールのテレビ朝日系連続ドラマ「東京タワー」では、自分の家庭教師と母の不倫現場を目撃して一変する学生の娘役を熱演。家庭教師役のTravis Japan松田元太（25）に「バラされたくなかったら私とも寝て」と迫るなど鬼気迫る演技は“怪演”だと話題になった。今夏には2度目の主演映画「威風堂々～奨学金って言い方やめてもらっていいですか？～」公開も控えるなど成長を続けるホープに、今の気持ちを聞いた。【松尾幸之介】
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池田が最初に注目を集めたのは2019年に公開されたゲームアプリ「八月のシンデレラナイン」のCM。小学1年から中学1年まで7年間励んだ野球経験を生かした美しいスイングや投球が話題となり「稲村亜美超え！？」「フォームがきれい」などとSNSをにぎわわせた。
2022年のABC高校野球ショートドラマ「ふたりの背番号4」で主演としてユニホーム姿を披露するなど野球絡みの役もこなしつつ、NHK大河ドラマ「いだてん」や「青天を衝け」などにも出演して演技を磨いた。
役に対しては共演者のインタビュー記事などを読んでイメージを膨らませるほか、台本などにも描かれない背景を自身で想像して徹底的に感情移入させる。セリフは基本的には「書いて覚える」といい、シンプルにノートに書き起こすこともあれば、日記風に落とし込む時もある。もともと書くことが好きで、ノート200ページ以上にわたって小説を書き起こすことも趣味のひとつ。「完全オリジナルです」と笑う独自メソッドで演技にも没入してきた。
コツコツと出演作を増やし、23年公開の「17歳は止まらない」で映画初主演。演技力には磨きがかかってきており、今回の「東京タワー」でも、松田からはカットがかかる度に「怖いよ～！」と声をかけられたと明かした。
母役のMEGUMI（42）とは日常の悩み事も相談するようになるなど撮影を通じて仲を深めた。「肌の悩みとかを聞いてもすぐに答えが返ってきてすごいんです。MEGUMIさんは男勝りなイメージを持たれていると思いますけど、実際はすごく女の子で。私の方ががさつなぐらいです（笑い）。先にクランクアップした時は『1人は寂しいよね』と言って撮影が終わるのを1時間くらい待ってくれていたんです。普段は残って周りと話したりしないタイプの人だったので、うれしかったですね。余計に好きになっちゃいました」。
人柄も変わり、恐ろしい逆襲にも動く娘役となったが、自身は「逆襲タイプではない」と明かした。「こう見えてなよっとしているので、相手の顔色をうかがって、気を使いながら譲っちゃうかもしれないです。戦えないですね」。ドラマでは年下男子と大人の女性という年の差恋愛もテーマのひとつ。「私は自分よりも年上の年齢差は全然大丈夫ですね。15歳、20歳上とかでも。誰かを裏切らなければ何だっていいんです。幅広く受け入れているって書いてください（笑い）」。
直近では6月8日放送のフジテレビ系「世にも奇妙な物語'24 夏の特別編」にも出演し、夏の主演映画のほか、今後もメインキャストクラスのオファーが多く舞い込んできているという。やはり「最初は野球が大きかった」というが、今後はさらに幅広い役への飛躍も目指す。
「野球関連のリポーターとかもやってみたいですし、今後も役者としてそうしたお仕事に関わることは目指していきたいです。西川美和監督の作品に出ることも目標のひとつで、いつかは形に残るような賞もとれるように。そのためにいろんな方の目にとまるよう、この先も頑張っていきます」。これからも全力投球で、役者としての“令和の本格派”を目指す。
◆池田朱那（いけだ・あかな）2001年（平13）10月31日、群馬県出身。幼少期は野球のほか、柔道にも励み、得意技は大外刈り。野球のポジションはショート。中学では男子の硬式クラブチームに入るほど周囲にも期待されていたが、チームメートのレベル感などを感じ、もうひとつの夢であった女優の道へ進むことを決断。中学2年時に「女優になるなら東京に行こう」と母親と試しに向かった原宿ですぐにスカウトを受け芸能界入り。ドラマ、映画、舞台のほか、イオンモールやWELLA「COLOR STUDIO」の広告などにも出演。父も野球経験者。2学年上の兄は群馬・高崎健康福祉大高崎の野球部出身で同期の湯浅大（現・巨人）と三遊間を組んだことも。NiziUの大ファン。身長155センチ。血液型O。
