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「下品」嫌ったキダ・タローさん 阪神は「熱狂的すぎて苦手」「モーツァルトよりもショパン」


キダ・タロー氏(20年6月)

「浪花のモーツァルト」こと、作曲家キダ・タロー(本名・木田太良=きだ・たろう=)さんが14日午前6時13分、大阪府内の自宅で亡くなった。15日、所属事務所が発表した。93歳。在阪テレビ各局のテーマソングや「かに道楽」などのCMソング、坂田利夫さんの出ばやしなど実に数千曲を手がけ、毒舌トークも人気だった。葬儀・告別式は、近親者のみで終えた。

  ◇  ◇  ◇

「わたし、下品が嫌いなんです」。生前、よく聞いた言葉だった。テレビや、ラジオ(ABCラジオ「フレッシュ9時半!キダ・タローです」は73~89年放送)で、歯に衣(きぬ)着せぬ物言いで、勝手気ままな“芸風”のイメージが強く、関西を象徴するキャラクターができあがったが、自らを「わたし」と言うことが多く、上品さを失わなかった。老若男女に愛された理由のひとつだった。

プロ野球では近鉄ファン。阪神は「あまり好きではない」と言っていた。理由を聞けば「あまのじゃく言うのもあるけど、阪神ファンはよう熱狂的言われますやろ。上品じゃない。そういうのは苦手なんです」。熱心なあまり、行きすぎた行動も目立った阪神ファンを「上品」と思えなかったのも理由のひとつだった。

しかし、サービス精神が旺盛で、阪神タイガース音頭を手がけたこともある。そんな縁から、阪神タイガースが優勝へ近づきながら、大失速して2位に終わった08年シーズン。「優勝記念音頭作りませんか」とお願いすると、「優勝したら考えましょう」と即答してくれたことがあった。

ABCテレビ「探偵!ナイトスクープ」生みの親、松本修プロデューサー(当時)が名付けた「なにわのモーツァルト」。これをめぐっても、感謝しつつも「モーツァルトよりもショパンが好き。あの繊細さ、あのピアノのタッチ」と話していたのは有名だが、これもネタに転化して、誰も傷つけることなく、きれいに笑わせていた。

長らく、ABCラジオのパーソナリティー仲間だった中村鋭一さんが亡くなった際には、中村さんを「畏友(いゆう)」と表現した。親友でも、盟友でもなかった。言葉選びにも、見識の深さがあった。

また、共演者には「礼儀正しさ」を求め、礼節さえ失わなければ、若年者の“行きすぎ”も許した。懐の深さも格別。「アホの坂田」「かに道楽」、多くのテレビ音楽…数え切れない楽曲を生み出したキダさん。音楽の才だけではない、唯一無二の存在感。関西芸能界の宝だった。【芸能担当=村上久美子】

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