杉元佐一の名言
「俺は不死身の杉元だッッ!」
1巻2話『ウェンカムイ』
アシリパと初共闘時、矢傷を負い逆上したヒグマに決死の形相で放った啖呵。
この後も何度も登場する、『ゴールデンカムイ』屈指の決め台詞です。
戦争で地獄を見た人間にだけ備わる悲壮な覚悟、泥臭い生への執着に圧倒されました。
「人を殺せば地獄行きだと?それなら俺は特等席だ」
1巻2話『ウェンカムイ』
「人を殺したら地獄に落ちる」と自戒するアシリパに向けたモノローグ。
既に手を血に染めているからこそ穢れなき少女の分まで殺人を代行できる……。
「不死身」の異名が宿す業が、重たい説得力を持ちますね。
「誰から生まれたかよりも何のために生きるかだろうがッ」
26巻255話『切り裂き杉元』
北海道に亡命した切り裂きジャックことマイケル・オストログ。
娼婦の私生児の出自を卑下し、身勝手な動機から女子供を嬲り殺した男を、杉元は一喝します。
尾形・月島など不幸な生い立ち故に人格を歪められたキャラクターが多い一方、ウイルクの本性を知ってもなお信念を曲げなかったアシリパが象徴するように、人の生き方の指針と成り得る台詞でした。
親や家庭環境に恵まれなかった読者の心に響くのではないでしょうか。
「相棒の契約更新だ」
20巻192話『契約更新』
同胞を裏切った父・ウイルクの真意が知りたいアシリパ、梅ちゃんの目を治す為に金塊を求める杉元。
再び目的が一致し、網走監獄を目指す事になった際の台詞です。
まだまだ杉元とアシリパバディの活躍が拝めると、狂喜したファンも多いのではないでしょうか。
「アシリパさんを見てると 俺のなかにも子供の頃に確かにあったようなきれいな部分がまだ残ってるんじゃないかって想えて救われる」
21巻203話『似顔絵』
尾形を追跡してきたヴァシリに対し、凪いだ眼差しで打ち明けた本音。
長旅の中でアシリパの純粋さに触れ、遠い昔に失ってしまった童心の欠片を取り戻した杉元。
救われたから助けると決めた、恋愛の枠に落とし込めないストイックな関係性が尊い……!
アシリパの名言
「道理があれば 私は杉元佐一と一緒に地獄へ落ちる覚悟だ」
22巻215話『流氷の天使』
自分を戦いに巻き込むまいと杉元が一人で行ってしまうのを危惧し、刺青人皮の暗号の解き方を伏せた際の独白。
初登場時から貫いた不殺の信念を捨て、相棒と運命を共にする決断を下すシーンは、守られるだけの子供じゃない彼女の成長と二人の絆を感じて胸が熱くなりました。
「私は新しい時代のアイヌの女なんだ」
1巻12話『カムイモシㇼ』
アイヌコタンに帰郷したアシリパは、父に授けられた名の由来がアイヌ語の「新年」……転じて「新しい時代の始まり」であると告げ、まっすぐな瞳で杉元に宣言しました。
従来のアイヌ女性のように刺青はせず、家で機を織るより狩猟を好み、未来を切り開く知恵と力を持った少女の誇り高さに痺れます。
「弱い奴は食われる」
1巻1話『不死身の杉元』
人肉の味を覚えウェンカムイと化したヒグマを警戒し、弱肉強食の掟を説いて杉元に退却を促すアシリパ。
幼い少女の口から出たとは思えない、シビアすぎる世界の真理に戦慄しました。
「ああ?杉元が死んだらあ?ヒンッ!!死ぬな杉元ッ!!」
3巻25話『ユク』
「俺が死んだらどうする?」と杉元に聞かれ、泣き上戸のアシリパがブサカワの極みの変顔で返した言葉。
水風呂からサウナの如しシリアスとギャグの緩急がウリの『ゴールデンカムイ』において、爆笑を誘った名場面です。
顎に梅干しを作り、ずびずび鼻水までたらしたアシリパさんの顔芸が愛しいですね。
「全てが終わったら……杉元の故郷に連れて行け 私も干し柿を食べてみたい いいな杉元?」
10巻100話『大雪山』
杉元の思い出話を聞き、彼の故郷の名物・干し柿に興味を示して発した言葉です。
二人が初めて交わした前向きな約束が叶うかどうか、ぜひ見届けてください。
白石由竹の名言
「俺は脱獄王だ 誰に捕まろうが煙のように逃げてやるさ」
1巻7話『脱獄王』
刺青人皮の写生中、杉元に「第七師団に捕まって殺されるよりマシだろ」と脅された際の言葉です。
脱獄王を自称する逃げ足の速さは伊達じゃないと、このあと速攻で証明します。やりますね。
「クーン……」
4巻35話『求愛』
アシリパが仕掛けたキツネの罠にひっかかった際のセリフ。
木の股に挟まりじたばたもがく醜態と、シュールな表情が哀愁を誘いました。
あざとカワイイ鳴き声が腹立ちますね!
「あんたが当直の時に脱獄しちゃうよ?」
9巻84話『獄中』
過去回想にて、囚人を厳しく取り締まる看守を挑発する白石。さすが脱獄王、有言実行の男!
三枚目の道化役に見慣れていると、ニヒルな笑みの落差にドキリとします。
土方歳三の名言
「いいか小僧共 この時代に老いぼれを見たら生き残りと思え!」
6巻55話『鰊七十郎』
用心棒の売り込みに行った先で、自分を老人と侮った無礼な若造を斬り捨てた時のセリフです。
激動の幕末を生き抜いた新選組副隊長の台詞は貫禄が違いますね。
「生き残りたくば死人になれ」
3巻21話『亡霊』
新選組時代を回想し、「戦力になったのは死ぬ覚悟ができていた者だけだ」と断言した際のセリフ。
死人になる覚悟がなければ到底生き残ることなどできない、金塊争奪戦の苛烈さが集約されています。
鶴見中尉の名言
「不死身で寿命のロウソクの火が消せぬというのなら 俺がロウソクを頭からぼりぼり齧って消してやる」
2巻16話『死神』
駐屯地で尋問中、しらばっくれた杉元の頬を串刺しした際のセリフ。
ギョロ目を剥いた恐ろしい表情のドアップ、死神の執念深さをほのめかす脅迫はまさホラー!多くの読者を震え上がらせました。
「我々の戦争はまだ終わっていない」
2巻13話『憑き神』
和田大尉の部下に命じ、武器弾薬を無断で持ち出したことがバレた際のセリフ。
和田に叱責された鶴見は衝動的に彼の指を食いちぎり、きっぱり断言します。
記憶の戦場に取り残された鶴見中尉以下第七師団の心の叫びが伝わってきて、やりきれない気持ちになりました。
尾形百之助の名言
「祝福された道が俺にもあったのか……」
11巻103話『あんこう鍋』
自分と母を捨てた花沢中将の寝込みを襲い、自害に見せかけ殺した際の独白。
陸軍重鎮の妾の子として生まれ、その出自を卑下し続けた尾形。
望まれて生まれた異母弟・勇作への嫉妬と羨望、闇深い拗らせっぷりに絶句です。
「血に高貴もクソも そんなもんありませんよ」
17巻164話『悪兆』
ヴァシリと狙撃対決中、過去を回想した尾形。正統な血筋の勇作を(おそらくわざと)持ち上げる鶴見中尉を冷めた目で眺め、辛辣な皮肉を放ちます。
誰の血も同じ赤、死んでしまえば同じ肉……勇作への劣等感を秘めた、虚無的なスタンスにぞくっとします。
鯉登少尉の名言
「銃を下ろせ これは上官命令だ 私は鶴見中尉殿と月島軍曹を最後まで見届ける覚悟でいる」
23話231話『出産』
身重の体で逃避行を繰り広げるインカラマッと谷垣を追い詰め、銃を突き付けた月島を止める鯉登。
樺太の旅を経て人間的に成長し、鶴見中尉と月島の行く末を見届けると言いきった、男らしさに感動しました。
「ちんちんぬきなっもしたなぁ」
10巻98話『薩摩隼人』
鯉登少尉初登場時の衝撃発言。薩摩弁炸裂の褐色イケメンに沸き立った人は手を挙げてください。
網走監獄の典獄・犬童に変身した鈴川が本人か確認する為、あえて方言で世間話を振った機転に感服。
ちなみに「ちんちん(以下略)」は「だんだん暖かくなってきましたね」という意味です。
月島軍曹の名言
「だって……何かとんでもないことを成し遂げられるのはああいう人でしょう?私は鶴見劇場をかぶりつきで観たいんですよ 最後まで」
21巻210話『甘い嘘』
鶴見中尉が部下に命じ少年時代の自分を誘拐させ、尾形に花沢中将を殺させたと知り、動揺露わな鯉登少尉に返した言葉。
人たらしのカリスマを演じる鶴見中尉の悪辣さを痛感した上で、なお「鶴見劇場」を終幕まで見届けたいと述懐する……これぞ(厄介)ファンの鑑ですね。
「生きてることくらい伝えたらどうだ!!どんな気持ちであんたを待ってるか……どうしてそんな残酷なことができるんだ!!」
19巻185話『再会』
樺太旅の途中、都会に憧れ故郷を捨てた女性・スヴェトラーナと邂逅した月島。
夢破れた気まずさから帰省を渋る彼女を、珍しく感情的に一喝します。
心の支えだったいご草ちゃんの生死さえわからず、悩み続けた彼だからこそ、スヴェトラーナの自己本位な振る舞いに怒りを抱いたのでしょうね。
谷垣源次郎の名言
「そうだ勃起だ!!チカパシ!!」
21巻209話『ケソラプ』
樺太を去る間際、友人エノノカとの別れを惜しむチカパシ。
谷垣は恩人・二瓶鉄造の形見の猟銃を彼に託し、ここに残るように諭しました。
独り立ち、それもまた勃起と解釈し、チカパシを激励する姿が最高にカッコイイ……!
「俺は少女団のお荷物です……ッ ブヒイッうまく……踊れない!!」
16巻155話『ヤマダ曲馬団』
樺太に渡った月島一行。サーカス団の少女たちにまじって踊ることになるものの、谷垣1人だけテンポが遅れ、フリフリの衣装を着たまま舞台裏で打ちひしがれます。
「私達は何を見せられてるんだ……」と全読者を困惑の坩堝に叩き込んだ迷シーン。
ちびっ子によしよしされながらブタのように咽び泣く谷垣、その傍らに立ち尽くす月島の虚無顔にもご注目ください。
家永カノの名言
「そのおなかの神秘的な曲線は あなたを食べても私には作り出せない」
23巻229話『完璧な母』
刺青囚人の1人にして同物同治のサイコパス・家永カノが、臨月のインカラマッを診察してうっとり囁いた言葉。
殺人ホテルの経営者として好みの男を拷問・惨殺していた家永。
若さと美しさを求める動機の根底には、妊娠中に階段から転落死した、母への憧憬がありました。
殺人鬼の異常性と命を賭して出産を手助けする使命感、両方を兼ね備えた台詞です。
牛山辰馬の名言
「お嬢ちゃんいい女になりな 男を選ぶときは……チンポだ」
6巻52話『無い物ねだり』
家永が経営するホテルに宿泊中、お互いの正体・目的を知らないまま、酒場で相席した杉元たちと意気投合。
「紳士なチンポが付いてる男を選べよ」とアシリパに語って聞かせます。
身も蓋もない言葉ですが、「確かに……!」と納得させられちゃいますね。
二瓶鉄造の名言
「猟師の魂が勃起する!!」
3巻23話『猟師の魂』
エゾオオカミ最後の一匹・レタラを狙い、猟師の魂を奮い立たせた二瓶鉄造。
杉元・アシリパの連携の前に惜しくも敗れ去るものの、その精神は「勃起!!」の決め台詞と共に谷垣に受け継がれ、マタギの心を呼び覚ましました。
海賊房太郎の名言
「どこか暖かい東南アジアの小さな島で俺は王様になる!!果物作ってよその国に売って 通貨には俺の顔が刻印されたりな!!子供をたくさん作って俺の家族の国を作るんだ 良いだろ?俺は王様になる!」
24巻236話『王様』
物語後半に登場した刺青囚人の1人、海賊房太郎が壮大な野望を語るシーン。
親兄弟が疱瘡で全滅した房太郎は、東南アジアの小さな島を買い上げ、大家族の国を作りたいと思い描いていました。
金塊を求める動機の中では最もポジティブ、我欲全開でむしろ好感が持てます。最終回の白石の行動にも影響を与えた立役者でした。
辺見和雄の名言
「ああ……この人に殺されたい よしこの人を殺そう だって僕が求めていたのがこの人ならば 僕なんかに殺されたりしないはずだ」
5巻39話『ニシン漁と殺人鬼』
ニシン漁に参加していた刺青囚人の1人・辺見和雄は、人命救助の為褌一丁で冷たい海に飛び込んだ杉元の不死身ぶりに感動し、この人に殺されるなら本望だと悶々妄想。
倒錯した理屈をこねて恍惚としました。運命の人を求めてさすらい続けた純情な変態のモノローグ、強い。
キロランケの名言
「お前ら俺にかけろ」
7巻61話『蝦夷地ダービー』
アシリパの協力者兼白石の大親友・キロランケは、ヤクザが取り仕切る蝦夷競馬を観戦して豪語します。
生粋の馬好きにして怖いもの知らずの博打打ちの自信に満ち溢れた、実に痺れる台詞。競馬場で言ってみたくなりますね。
江渡貝弥作の名言
「いかに生前の姿を活き活きと再現できるか 剥製屋の腕の見せ所ですね」
8巻71話『職人の鑑』
鶴見中尉に見初められ偽の刺青人皮の制作を依頼された、剥製工房を営む若き職人・江渡貝弥作。
エキセントリックな言動ばかりが注目されがちですが、プロフェッショナルのこだわりを感じさせる発言はすこぶるカッコイイ!
都丹庵士の名言
「どうせオマケの人生だ 少しでもあんたの寿命の足しになれば…… 行け……!!俺はここで橋を守る」
30巻294話『静寂』
最終決戦の地・五稜郭において、土方一派に与する全盲の脱獄囚・都丹庵士は、身を挺して橋に立ち塞がり敵を食い止めました。
最期まで土方への忠誠を貫いた勇姿が魂を揺さぶります。
姉畑支遁の名言
「絶対にやってみせる!!ここまでの事は今日のためだったのかもしれない……もしもヒグマと交われたなら……醜い私はこの世界とひとつになれる気がする」
12巻112話『ウコチャヌプコロ』
動物への愛情が極まって獣姦に命を賭けてしまった脱獄囚・姉畑支遁が、湿原で邂逅したヒグマとの交尾に臨んで放った言葉。
初登場時は暴走特急の変態と思わせ、野生動物との交わりに世界の真理を見出す姿は、謎の感動を呼びました。
ソフィアの名言
「舐めるんじゃないよ 子分たちより先に逃げ出す親分がどこにいる」
19巻181話『アムールトラ』
ウイルクの元同志の女傑・ソフィアは、集団脱獄時に鎖を手に巻き付け、看守に戦いを挑みました。
子分を見捨てはしないと言いきりしんがりを守る、あくどい笑顔に惚れてしまいます……!貫禄はラスボス級。
ヴァシリの名言
「獲物の生き死にを決めるのは狙撃手の私だ」
17巻162話『狙撃手の条件』
尾形と狙撃手対決中、白樺の林に身を潜めたヴァシリはライフルを構えて静かに宣言しました。
狙った獲物は外さない狙撃手の矜持が込められた、冷徹なフレーズが最高にクール。
宇佐美上等兵の名言
「いいえ犯人の精子です!!」
23巻238話『好きな人に』
鶴見中尉シンパ筆頭・宇佐美上等兵は、刺青囚人の1人、マイケル・オストログの犯行現場で精子を見付けました。
自分もマスターベーションを行い射精し、犯人の行動パターンを推理する執念深さにはお手上げ。
この衝撃的エピソードを経て、宇佐美には「精子探偵」の称号が授与されました。
インカラマッの名言
「谷垣ニシパはラッコの肉を食べたせいにしていいです……」
12巻116話『青い目』
占いで人の心を惑わす魔性の女・インカラマッ。
幼き日の初恋を忘れられず、ウイルクと谷垣の間で揺れ動く彼女は、ラッコ鍋の匂いが立ち込める小屋で谷垣を押し倒し関係を結びます。
ラッコ肉が精力剤であるのはアイヌの常識。男のズルさを許す、誘い文句にドキリとしました。
永倉新八の名言
「かかってこいや薩摩の芋侍がぁ!!」
30巻297話『五稜郭脱出』
五稜郭脱出時、鯉登少尉と対峙した永倉新八。新選組随一の剣豪と謳われた刀気は老いてなお衰えず、傲然と踏み構えて気炎を上げます。
好々爺然とした振る舞いに見慣れているからこそ、最強ジジイの風格に惚れ直す名シーン。
ウイルクの名言
「アシリパの幸せを祈っている 誰かに戦わせ安全なところで生きる無責任な娘ではなく 茨の道を自分で選び幸せを掴もうとする人間になってほしい ソフィアのように……」
27巻267話『断絶』
アシリパの父にしてアイヌを嵌めた裏切り者・ウイルク。
娘を金塊争奪戦の泥沼に、ひいては革命の大義に巻き込んだ『ゴールデンカムイ』の元凶ともいえる人物ですが、アシリパへの愛情は本物でした。
父の願いを受けたアシリパは杉元と共に地獄に落ちる決意をし、ひたすら前へ突き進みます。
人斬り用一郎(土井新蔵)の名言
「いや このままでいい 楽に死ぬのは申し訳ない 天下国家のためにと大勢殺した 俺は勤皇派の道具だった アイヌとは人間という意味だそうだ 俺はこの土地に流れ着いて人間として生きた 自分だけ申し訳ない」
16巻154話『残り時間』
刺青囚人の1人、耄碌した人斬り用一郎。嘗て新選組と刃を交え、今なお凄まじい剣技を誇るものの、最終的に土方に引導を渡されます。
死に際に思い返したのは、蝦夷に流れ着いて初めて得た、愛する人の面影でした。
幕末の亡霊・土方に看取られ、人間として死ぬことを選んだ用一郎。対照的な生き方と死に様に魅せられました。
岩息舞治の名言
「自己表現です 絵や歌や文章なんかで自分を表現するのと同じこと 私はこいつで誰でもぶん殴るのです 小さい頃から私という男を知ってもらう唯一の方法として選んだのが 暴力でした」
15巻143話『スチェンカ』
杉元たちが樺太で出会った刺青囚人の1人。集団で殴り合い最後まで立っていた者が勝利するロシアの伝統競技・スチェンカの王者で、暴力こそ最高の自己表現だと断言します。
変態だよ全員集合な脱獄囚の中ではトップクラスに好感の持てる人物として描かれており、杉元と熱い友情で結ばれました。
フチの名言
「ウワリカムイ ピリカノ エンテクサマ エンプキネ ヤクン ピリカヌワプ ハプルヌワプキワ カムイ キリサム エポンペサンケ クスネナ」
(お産の神様が見守ってくだされば 良きお産 穏やかなお産をして 神様のかたわらに赤子が授けられる)
23巻231話『出産』
アイヌコタンに逃れてきたインカラマッの出産を手助けした際の台詞。
19歳の時から赤子を取り上げ続けてきたフチは、お産の神様の加護を得ているから、今回もきっと成功すると皆を諭します。
数十年の知恵と経験に裏打ちされた名言は、確かな説得力を持っていました。
チカパシの名言
「ひとりで立つ……これも勃起だね?谷垣ニシパ」
21巻209話『ケソラプ』
エノノカの許婚として樺太に残る決断をしたチカパシは、長い間自分と旅を続けた谷垣に、そう言って念を押します。
孤児のチカパシにとって谷垣は父にも等しい存在。別れの寂しさをグッと堪え、晴れ晴れと顔を上げる様子に成長を感じ、目頭が熱くなりました。
門倉看守部長の名言
「俺は元看守だぞ あいつのことは顔より肛門のシワのほうがよく知ってるくらいだ」
18巻172話『阿寒湖のほとりで』
阿寒湖のほとりに逃げ込んだ毒使いの刺青囚人・関谷。
牛山を騙して毒を盛った彼の捜索中、きっぱり断言した門倉に連れのキラウシは怪訝な顔。
この迷言のせいでのちにさんざんいじられるとは本人さえ予想外だったはず。
ネットでも「尻の穴ソムリエ」と騒がれました。
キラウㇱの名言
「お前だって無職で貧乏だろッ 肛門ほじりジジイ!!」
18巻174話『湖の中心で突っ走る』
アイヌの知識と土地勘を買われ土方一行に加わったキラウㇱ。
尻の穴ソムリエ・門倉が何かトンチキな行動をとるたび、尻穴関連の罵倒を吐くのがお約束です。
関谷と解毒剤を巡り賭けをした際も、身ぐるみ剥がれた門倉の中傷に怒鳴り返していました。
坂本慶一郎の名言
「走って走って走り続けよう 誰かが俺達の息の根を止めるまで」
11巻102話『稲妻強盗と蝮のお銀』
刺青囚人の1人・稲妻強盗こと坂本慶一郎。運命の女・蝮のお銀と強盗を繰り返し、第七師団に追われている最中に睦言を囁きます。
破滅的な生き方しかできない男女の逃避行を、ぜひ見届けてください。
菊田特務曹長の名言
「その制服は持ってろ 軍帽もな お前に力を与えてくれる 物ってのは持ち主の力が移るんだ 他人が使っていた物を身につけると持ち主の強さを取り込める」
28巻276話『エビフライ』
家族が全滅した故郷を捨て上京した杉元。街で偶然見かけた彼を、花沢勇作童貞防衛作戦にスカウトした菊田特務曹長は、良き兄貴分として様々なことを教えてくれました。
勇作の替え玉としてお見合いに送り出した杉元と別れる際は、気前よく軍帽と制服を与えて激励しています。
有古一等卒の名言
「自分は何も考えてないのに 自分以外が俺をアイヌとして扱う なんかアイヌとか面倒くさいなって……でも親父が作るマキリは代々伝わる文様だから やっぱり伝えておきたかったんでしょうね」
28巻272話『イポㇷ゚テ』
有古力松は和名、アイヌとしての本名はイポㇷ゚テでした。
死に際に過去を回想した有古は、父親の形見のマキリに想いを馳せ、複雑な心中を吐露。
アイヌのアイデンティティと時代の流れの板挟みとなった、青年の苦悩が胸を打ちます。
花沢勇作の名言
「兄様はけしてそんな人じゃない きっと分かる日が来ます 人を殺して罪悪感を微塵も感じない人間がこの世にいて良いはずがないのです」
17巻165話『旗手』
尾形の異母弟・勇作が、共に出征した旅順攻囲戦にて、「人を殺しても何も感じない」と告白した尾形を抱き締めて叫んだ言葉。
当時の尾形はこの台詞を自分の存在の否定と受け取りましたが、勇作は純粋に兄を想い、ことあるごとに卑下する彼に心を痛めていました。
直後に悲劇を生む、兄弟のすれ違いが切なすぎる……。