劇場アニメーション『LUPIN THE IIIRD 次元大介の墓標』上映イベントが9日、東京・新宿バルト9で開かれ小池健監督、音楽を担当したジェイムス下地氏、脚本を担当した高橋悠也氏、浄園祐プロデューサーとともにサプライズゲストとして石川五ェ門役・浪川大輔が登壇した。
本作は2014年に大人向けの『ルパン三世』として制作され、同所で上映後、順次、期間限定上映された作品。秘宝「リトルコメット」を狙い東ドロアに潜入したルパン三世と次元大介の物語が描かれ人気を博した。
トークショーではまず、浄園プロデューサーが小池監督を起用した理由として以前から大ファンだったということや、脚本に高橋氏を迎えたことへ、小池監督が「リアルな作品描写がほしいなというのと、いままでルパンとかかわっていないし、フラットな形で関わってもらえる人が欲しかった」と、話すなど起用理由などから始まることに。
そして、「考えていたルパンをやりつくした?」と問われた浄園プロデューサーは「全然足りてないです」といい、その意欲から『LUPIN THE IIIRD』シリーズ第2弾として、2017年2月4日から『LUPIN THE IIIRD 血煙の石川五ェ門』を劇場公開することを発表。スタッフは本日登壇の小池監督、ジェイムス氏、高橋氏がそのまま担当するとのこと。さらに、『次元大介の墓標』を5000枚以上超えた原画で描くといい、テレコム・アニメーションフィルムのトップアニメーターである友永和秀氏、横堀久雄氏、滝口禎一氏、そして小池監督も原画に参加しているという。
時系列的にはルパンたちとの信頼関係がまだ完全ではない状態だそうで、小池監督は「ギラギラと描きたいと思います」と明かすと、高橋氏は、「もっとエッジの効いたものをやりたいとおっ持っていて、『次元大介の墓標』はPG-12でしたが、今回はR-18ぐらいなものを目指して脚本を書きました」と、かなり攻めているそう。
一方、五ェ門といえば音楽では尺八が思い浮かぶがジェイムス氏は、「そこを避けるかどうするかというので、尺八を使わないで、どう和を感じさせるかというか……」と、考えあぐねているよう。浄園プロデューサーは、「小池さんはこれ用にキャラ表を1から書き直してきたんです」と、小池監督の気合の入り具合を話しつつ、「斬って斬って斬りまくる。過去、五ェ門が斬った数は1作品では過去最高になると思いますよ」と、アピールした。
そんな、新作の話題を熱量高く盛り上がっているなか、いきなり、「緊張しています」という浪川の声が場内に響くことに。これは登壇者と観客全員が知らなかったサプライズでの登場となった。浪川は裏で監督たちの熱いトークを聞いていたそうで、「『期待できますね!』という話を聞いて、本当に帰ろうかなと思うくらい緊張しました」と、演じる方としてはハードルが上がるものだったのだとか。
ここで小池監督に浪川にどんな五ェ門を求めるかと質問があがり、「渋さは欲しいですけど、若くてギラギラしている五ェ門でしょうか。嫌われるぐらい高飛車な感じで見得を切るというか」と、打ち合わせが始まり、これに浪川は、「僕まだ台本ももらってなくて、いまここから作っていく感じです(笑)」と、率直な状況を話して観客を沸かせた。
高橋氏は『血煙の石川五ェ門』へ、「去年放映したルパンシリーズで2クール分やらせて頂いて、そんなに五ェ門のセリフを書ける回が書けなかったんです。ですから、自分のたまっていたものをぶつけて、今まで1番五ェ門のシーンが多いものになります」と、アイデアが詰め込まれるそう
その1つとして、高橋氏は、「五ェ門が刀を抜く意味、抜くという行動を大切に作りたいと思っています。抜いたら最後斬りまくるみたいな感じで。抜く、抜かないのところに五ェ門の哲学を込めました」と、テーマを語ると小池監督は、「スパっと斬って終わる殺し方ではないし、ギリギリで命をしのぎを削り合ってるという描写がしたいと思っています」と、うなずいた。
これらクリエイターの話を受けて、浪川は現状でどう演技していくかと問われ、「声優としてしゃべるならば、みなさんが求めているもの、まずはクリエイターのみなさんが求めているものを100%出してやるというのが大事なことだと思っています。みなさんのお話を聞いて、刀を抜くまでってとっても大事なことだなと思いましたし、セリフが少ないから五ェ門ではないと思うんですよね。しゃべり始める前の何を思って、何を考えてその言葉が出てくるかという前が大事なのかなと思っているんです。まだ僕は次のお話を読ませて頂いてませんが、次のものはそこが制御ができない五ェ門なのかなというのがいまのところのイメージになりまして、それをどう抑えこんで、だんだん知っていって、みなさんお知っている五ェ門になっていくというのを演じられたらいいのかなと感じています」と、胸の内を話し、これに小池監督は「ばっちりですよ!」といい浄園プロデューサーも「だいたい合ってます」と、見事言い当てた感じだった。
イベント終盤にはルパン役の栗田貫一からのメッセージが読み上げられ、「『次元大介の墓標』に続き、小池監督が描くハードボイルドなルパン三世が戻ってきます。今回の主役は石川五ェ門。まだ収録前ですが、特報映像を観ただけで興奮しています。これからチーム一丸となって仕上げていきますので、よろしくお願いします」と、期待を寄せているようだった。
最後に浪川は、「みなさまの声を聞けば聞くほどプレッシャーになっていますけど、僕がやるべきことを一生懸命、あとは自分だけだなというのを感じました。『次元大介の墓標』から約2年経って、こうやってみなさまが集まって、次の発表をできるのは本当にすごいことだなと思いました。五ェ門の方も公開して2年後にきょうみたいな形でできるように、『次元大介の墓標』を追い越せという気持ちで、最後まで集中していきたいと思います。収録頑張っていきます!」と、気合を入れていた。