アニメーション『ガールズ&パンツァー 劇場版』(監督:水島努)ミリタリー生コメンタリー付き上映会が6日、東京・新宿バルト9で開かれ、考証・スーパーバイザーの鈴木貴昭氏、軍事評論家の岡部いさく氏、イタリア軍研究家の吉川和篤氏、ミリタリー監修の田村尚也氏と二宮茂幸氏、フィンランド軍研究家の齋木伸生氏、杉山潔プロデューサーが登場した。
“ガルパン”の愛称で親しまれているアニメ『ガールズ&パンツァー』。その劇場版となる本作は昨年11月に公開されるや、ファンの温かい声に支えられ、約半年たったいまだロングランを続け、興行収入が19億円を突破している人気作品。戦車を使った武道『戦車道』が大和撫子のたしなみという世界を描き、テレビアニメ放映後にも舞台となった茨城・大洗町は“聖地”として観光客が連日訪れるという社会現象も起こるなど、数々のメディアで紹介されている。
ガルパンに関係したスタッフで、そうそうたる面々が集まったイベントとなり、会場は遅い時間にもかかわらず満員と、熱気が漂う。登壇してそれぞれあいさつをしていくこととなったが、そのなかで齋木氏は今年2月5日のミリタリートークショー付き上映会と同じようにフィンランドの民族楽器・カンテレを持参しつつ、「そろそろ暑くなってきたということで…」と、継続高校のミカと同じチューリップハットに帽子を変えるという小ネタを挟み、観客は大受け!
そんな楽しげな雰囲気のなか、『ガールズ&パンツァー 劇場版』の上映がスタート。鈴木氏によると、冒頭の約3分間でガルパンのこれまでの流れを語るコーナーについては、「プレスコなんですよね」と、さっそく意外な裏話が飛び出す。
本編直後ではダージリンの紅茶に茶柱が立つという描写についても鈴木氏は、「紅茶に茶柱が立つのはあるらしくて、英国でもそんな言葉があるそうです」と、解説が加えられることに。
ゴルフ場での砲撃戦については、実際スタッフらでロケハンに行ったそうで、ダージリンたちが入っていたバンカーへ、杉山プロデューサーは、「打ち上げるバンカーがあるんですが、水島監督のみ入れて、中から見ると崖みたいだったそうですよ」と、証言。ちなみに、モデルとなった大洗ゴルフ倶楽部の反応については杉山プロデューサーによると、「面白がってくれた」と、好感触だったのだとか。なお、タイトルが出ているところにところどころキノコが見えるがこちらも、ゴルフ場の近くにたくさん生えていたのを参照にしたものだそうだ。
続けては、大洗の市街戦へ。トークは現実の大洗が実は埋め立てられていまの地形になっているという歴史に始まり、大洗町役場が砲撃戦でボッコボコになることへは、杉山プロデューサーは「町長に壊していいですかと確認をとりまして、そのとき一瞬止まったんですが、『改修するから壊してくれ』とおっしゃって頂いて」と、事前の打ち合わせがあったそう。劇中の大洗文化センターもかなりの砲撃を受けたため「ここまでやったら改装するんじゃ」というコメントまで飛び出すこととなった。
しかも、アイデア出しの段階では大洗マリンタワーもボッコボコにするという案も出ていたといい、鈴木氏は「話はあったんですけど、それはなかったですね」と、舞台裏を披露した。劇場版が公開されるころには、大洗町の方々のガルパンの認知度も高く「(劇中で)うちを壊してくれ!」という話も多かったそうだ。
その大洗市街戦で一瞬だけカチューシャが手旗信号を送るというシーンもあったが、こちらもソ連軍の手旗信号を研究してのものだったり、道路標識が40トンになっていたり、海から現れるKV-2についている昆布はCGだったりと、ネタの宝箱のような話題が続々と飛び出した。
※後編(ガルパン劇場版1年生チームの扱いやC-5Mスーパーギャラクシーのさらなる裏話が公開に)へ