「働き方改革」が叫ばれている昨今、仕事へのやりがいを見つけることが必然となる時代に突入しています。そんな中、今回は三度の転職を重ねた末に「天職」として障がい福祉サービス企業「オールケアライフ」を起業した同社代表取締役・鎌倉義雄さんに注目。直撃インタビューを敢行し、障がい者福祉事業の魅力や、自身の経験を活かして取り組んでいる従業員のキャリアプランなどについて語っていただきました。
オールケアライフ代表取締役・鎌倉義雄さんインタビュー
「オールケアライフ」は、重度の障がいのある人を積極的に担当する福祉サービスを提供。生活介護、居宅介護等、放課後等デイサービス、相談支援、研修事業などを手掛け、その取り組みは先進事例として全国から見学者希望者が訪れるほど業界内で注目を浴びています。
重度の障がい者向けの福祉サービスの社会的意義について、鎌倉さんはこのように語ってくれました。
「福祉ってなかなか発展ができてないのが現実何ですね。今、医療と福祉の間に入る重症児者の方々が本当に困っているんです。私たちとしては『福祉とは困っている人を助けること』だと考えていますので、その思いが現在のサービス形態につながりました」
まさに「天職」に巡り合ったといえますが、それまでの道のりは紆余曲折があったといいます。
鎌倉さんは1964年に大阪府に生まれ、ごくごく一般的な家庭で育ちました。大学時代にホテルのアルバイトが楽しくなり、学校を辞めてしまうくらい夢中になってしまったそうです。その後、大工だった父親から「サラリーマンにはなるな」と教えられて育ったこともあり、27歳までフリーターとして過ごしていたそうです。
「27歳で初めて化粧品メーカーで正社員として働くことになりました。お客様に喜んでもらう、必要としてもらえることがやりがいとなっていました」
しかし、利益を重視する上司と意見が合わず、10年間勤めた後に退職。その後、IT企業に入るも長くは続かず、転職を繰り返すことになりました。
そして、浄水器メーカーに就職した時に「天職」に出会う大きなきっかけが生まれます。そのメーカーが介護事業を始めたのです。
「介護の現場を見に行った時にトラブルが起きたのを見たのですが、ちゃんと『報・連・相を徹底しましょう』といったルールを決めると綺麗に収まっていくんですね。その時、お客様に必要とされることにやりがいを感じていた化粧品会社での仕事、福祉に不可欠なITの会社で働いたこと、自分の仕事の人生がズバーッとつながった気がしたんですね。それが楽しくて楽しくて。自分の気持ちに正直でいられると、仕事が本当に楽しく感じられるんです」
介護という「天職」に巡り合った鎌倉さんですが、本当にやりたいと思ったのは障がい者を対象にした介護福祉サービスでした。結局、またも経営者と衝突することになってしまいます。その時、知人から掛けられた言葉が起業へとつながりました。
「その方から『応援するから自分で事業をやってみたらどうだ?』と言われ、当時はお金なんてまったくなかったのですが、応援してくれる人がいるならやってみようかと思いました。逆境の時に応援してくれる人が出てきてくれること、それが結果的に『天職』につながっていくのかなと今は感じています」
こうして始まったのが「オールケアライブ」です。
「福祉とは困っている人のお役に立つことで、その対価をいただいて仕事として成り立たせるのが福祉事業。そういう意味では、普通のお仕事と変わりはないという認識があります」
鎌倉さんは日々の業務にやりがいを感じる一方、大きな夢に向かっても動いています。キャリア形成がしにくいといわれる福祉業界で「自社からたくさんの社長を生み出そう」というのです。
「今、当社から8社が分社独立しています。今後5年で30社の分社し、30人の社長をつくりたい。従業員にやりたい仕事があれば、お客様のお役に立てることと事業として成立することを条件に、社会ベンチャーとしてチャレンジできる環境を整え、大勢の社長をつくっていきたいと考えています」
自身が転職を重ねることで「天職」に巡り合えたからこそ、鎌倉さんは従業員のキャリア形成にも熱い思いを持っています。その気持ちが強固な組織をつくることにもつながっているのです。
その熱い仕事観と革新的なキャリア形成プランは、今後ますます福祉業界で注目されることになりそうです。
- 健康
Fujisan.co.jpより