マーベルコミックのヒーローたちの活躍を描いた「アベンジャーズ」シリーズ最新作が現在公開中の映画『キャプテン・マーベル』。
「アベンジャーズ」シリーズに連なる「マーベル・シネマティック・ユニバース」では、初めて女性ヒーローが単独で主役となり、話題の本作。気になるけど、シリーズ観てないと懸念している方に朗々です。アベンジャーズ結成前の1990年代を舞台にしているので、本作シリーズ初見の方でも楽しめる親切仕様になっています。
お話は……
過去の記憶を失っている主人公のヴァース。現在は宇宙人の特殊部隊で働いてるんです。そんな中、敵のスクラル人を追跡するミッション中にやって来たのが、1995年のロサンゼルス。そこで出会ったのが、地球規模の危機に対応する為の組織=S.H.I.E.L.D.(シールド)の捜査官であるフューリー。
2人はお互いをどこまで信用して良いのか解らないまま、共にスクラル人を追う事になっていきます。その中で、ヴァースの記憶も断片的に判明。過去が明らかになっていきます。
そして、ヴァースは女性ヒーロー=キャプテン・マーベルへ!!
一寸先は闇!!
ただでさえ、秘密まみれな組織の人間であるフューリー。また地球人には想定外すぎる宇宙から落ちてきた女キャプテン・マーベル。2人の信用問題が本編の鍵を握る上、敵とされるスクラル人は遺伝子レベルで誰にでも姿を変えられる特殊能力付き!!記憶までインプットし、判別不可能という小賢しさ!!
真面目な天然発言連発のキャプテン・マーベルと皮肉屋なフューリーのデコボコ・コンビがアメリカに逃げたスクラル人を追うバディ刑事モノのような展開はユーモラス。 マーベル映画ではお約束のジョークを飛ばしながら、規格外のアクションを連発!!
果たして、2人はスクラル人を捕まえられるのか?!また、その裏にある陰謀とは?!主人公の過去に何が?!という一寸先も闇なストーリー。
お約束と小ネタ!!
古参のファンには、過去作品に登場した謎が明らかになったり、アベンジャーズ誕生のキッカケが語られるので、1秒も気が抜けません。
小ネタ満載の本作。オススメとしては、『ガーディアン・オブ・ギャラクシー』と『アベンジャーズ/インフィニティー・ウォー』は見返しておくとグッド!!
ちなみに、冒頭、主人公がレンタルビデオ店に不時着するシーン。主人公が手に取る作品は、人類が月面着陸を目指す映画『ライトスタッフ』。主人公が壊す立て看板は、アーノルド・シュワルツネッガー主演のアクション・コメディ映画『トゥルーライズ』。
豪華キャスト集結!!
主人公のキャプテン・マーベル役には、様々な賞を受賞した『ルーム』でアカデミー主演女優賞を受賞したブリー・ラーソン。記憶喪失になり、アイデンティティを探しながら戦う現在。90年代のまだ男性有利な社会の中でアメリカ空軍に入隊し、女性パイロットを目指していた過去。両方を見事に演じています。"男まさり"ではなく、あくまでも現実に立ち向かう女性として演じているのが素晴らしいです。
シリーズを通りして、ニック・フューリー役のサミュエル・L・ジャクソンも最新のデジタル技術で20歳若返った姿で登場。ちなみに、ラーソンとジャクソンは『キングコング: 髑髏島の巨神』でも共演済み。
その他、「シャーロック・ホームズ」シリーズから「ファンタスティック・ビースト」シリーズまで幅が広いんだか狭いんだか解らないフィルモグラフィの持ち主のジュード・ロウも出演。クリー人の特殊部隊スター・フォースの指揮官で主人公の師匠的ボジションを安定のカリスマ感たっぷりに演じてます。
さらに敵役も豪華で『ダークナイト ライジング』や『ローグ・マン/スター・ウォーズ・ストーリー』、『レディ・プレイヤー1』 など、どの映画でも魅力的な悪役を演じてきたベン・メンデルソーン。本作では、誰にでも姿を変えられる重要参考宇宙人=スクラル人のリーダーを演じています。人間に変身している時はラムズフェルド元国防長官を意識したアメリカ訛り。スクラル人の時はオーストラリア訛りで演じ分けたとの事。
アメコミ映画ながら、演技派のキャストが揃うのもマーベル映画の見所の一つ。
大作をまとめ上げたコンビ監督!!
メガホンを取るのは、マーベル映画では初の女性監督となるアンナ・ボーデンと、共に共同監督を務めるライアン・フレック。2人は『ハーフネルソン』などインディーズ映画界でコンビを組んできたコンビ監督。インディーズ監督に大作のメガホンを託すのもマーベル映画の定番ですね。
マーベル・ファンもまだ1作も観たことない人も楽しめる映画『キャプテン・マーベル』は現在、公開中です。
(C)2019 MARVEL
ギボログ★★★★☆(星4つ)
- AERA(アエラ) 2019年3/11号 (2019年03月04日発売)
Fujisan.co.jpより