今年の夏は、「おさるのジョージ」が話題のようでございます。8月9日からは東京・松屋銀座で「おさるのジョージ展」が開催。NHKでも「おさるのジョージ」関連の特番が放送、絵本雑誌のMOEでも今月、特集が組まれております。
「おさるのジョージ」は、アメリカの絵本作家マーガレット・レイとハンス・レイの夫妻によって生み出されたキャラクターでございます。
アメリカでは1941年に「Curious George」というタイトルで発刊(日本では1954年)、世界中で半世紀にわたって、親から子へと親しまれてきた人気絵本でございます。2008年からは、「NHK Eテレ」でTVアニメもスタート。多くの子どもたちから支持を得ております。ちなみに、絵本も日本だけで約550万部を売り上げております。
この機会に、「おさるのジョージ」の原作絵本をチェックしてみようと思われている大人絵本ファンの方、多いと思います。そこで今回は、絵本を読む前に失敗しないための「おさるのジョージ」絵本のトリビアをご紹介!
まず、一番大切なのは読む順番でございます!実は本国で出版された順番と日本で出版されている順番が違うのでございます。
その前に、ご説明しておくことが…
おさるジョージの原作絵本には、「ひとまねこざる」と「おさるのジョージ」、このふたつのシリーズが存在いたします。「この違いは何?」「ひとまねこざるって何?」という方、多いのではないでしょうか…。そもそも、「おさるのジョージ」とは、「ひとまねこざるシリーズ」を原案とした絵本シリーズ、およびアニメのタイトルなのでございます。ちなみに、英語版のタイトルは同じようでございます。
さらにご説明すると、作者のレイ夫妻の死後、1998年より作品を原案にした「おさるのジョージ」シリーズがヴァイパー・インタラクティヴによって制作されています。で、日本語題がレイ夫妻の作品が「ひとまねこざる」、ヴァイパーの作品が「おさるのジョージ」となっております。
さらに!「ひとまねこざる」シリーズは、書式は縦書で、主人公表記は「じょーじ」。「おさるのジョージ」シリーズは、書式は横書で主人公表記が「ジョージ」となっております。
で、本題の順序の件ですが・・・
本国アメリカでは、1941年に、おさるのジョージの絵本の第一作「ひとまねこざるときいろいぼうし」が出版。人気を呼び1947年に2冊目の「ひとまねこざる」が発売になっております。
しかし、日本では逆なのでございます!1954年にまず「ひとまねこざる」が翻訳出版。続いて1956年に「じてんしゃにのるひとまねこざる」1966年に、「ひとまねこざるときいろいぼうし」が発売されているのでございます。
なので「ひとまねこざる」(1954年)⇒「ひとまねこざるときいろいぼうし」の順で読むと、「???」となる可能性が大なのでございます。別の話かと思いきや、まったくもって続きの話なのでございます。
今、映画でも、ヒットしたらその前の世界を描くエピソードゼロ的な作品がありますが、その感覚を楽しみたいという方は、それでもかまいませんが、そういう映画のように元々、そういう順序で作られていないので、できれば、「ひとまねこざるときいろいぼうし」から読まれてたほうがよいかと…
去年、「おさるのジョージ」が実写映画化される話も話題になっておりました。映画「シュレック」や「ナルニア国物語」シリーズのアンドリュー・アダムソン監督が監督&共同脚本の候補に挙がっておりました。こちらの動向も気になるところでございます。
(文:N田N昌)