
東日本大震災から今年で14年。
宮城県塩釜市出身のプロスケーター、阿部直央が手掛けるチャリティスケートボードイベントDon't Forget Party(ドントフォーゲットパーティ)2025が、3月9日、板橋区板橋に位置する室内スケートパークDiorama Skate Lounge(ジオラマスケートラウンジ)で開催された。
なお、この日集まった募金は宮城県庁の子ども・家庭支援課に寄付される。

このイベントは自らも被災した阿部が、昔の人が伝えようとした津波の恐ろしさを、世代を越えて伝え続けていきたいという願いを込めて、震災の翌年である2012年から定期的に開催され、今年で12回目を迎える。
※昨年は開催されず、2020年はコロナ禍の影響で中止となった。
参考:「千年続くように…」スケーター阿部直央の考える東日本大震災“Don't Forget Party”
http://magazinesummit.jp/hobby_sport/1404198180326
【OUKA SKATEGAMEで一足早い桜を】

昨年は宮城県仙台市にある榴岡公園スケートパークで開催されたが、今年は阿部が現在活動の中心となっている東京での開催となった。
イベントではフラットトリックのみの大会(手すりやボックスなどを使わず、シンプルに技のみで競う)OUKA SKATEGAME 2025が開催され、イベントを通してMCの阿部から震災当時の話や、今後気をつけてほしいことなどが語られ、3月11日の14時46分には黙とうを捧げるよう呼びかけられた。
OUKA Skateboardsは阿部が主宰するスケートボード団体。イベントを中心にスケートボードに関する活動を幅広く展開しており、「OUKA」という名前は、人生の華やかなひと時をイメージし、一瞬でも咲き誇り散っていく“桜花(おうか)”の儚さの中に見る覚悟とバイブスを表現している。
スケートゲームのイベントでは、老若男女がさまざまなトリックを繰り出し、会場は大いに盛り上がりを見せ、Don't Forget Partyの会場にひと足早い桜が咲いた。
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OUKA SKATEGAME 2025は年間を通して予選が各地で開催され、各クラス上位2名は10月26日に埼玉県のSKIP FACTORYで開催される決勝戦に出場できる。
※3月9日時点
この決勝で優勝すると男子はImperial Skateboard、女子はPLUG Skateboardから1年間のスポンサー権が授与される。
【女子小学生以下クラス】

日本のスケートシーンのレベルの高さを物語るかのようにOUKAスケートゲームでも女子小学生以下のクラスでありながら、組み合わせによってはフリップなどの回し技を連続で返し続ける見応えのある対戦も繰り広げられた。

女子小学生以下、準優勝者「スズキ ネネ」

女子小学生以下、優勝者「ナガハマ ニキ」
【女子オープンクラス】

女子オープンクラスは終始和やかムード。
各々がスケートゲームを楽しんでいる姿が印象的だった。



女子オープン優勝者と準優勝者「ウエハラ アイラ(左) ヨコミゾ マイ(右)」
【男子小学生以下クラス】

初戦からキックフリップやヒールフリップからの複合技の応酬が繰り広げられ、女子同様にハイレベルな戦いとなった。


男子小学生以下、優勝者と準優勝者「サカイ ヤマト(右) ツツミ ヤマト(左)」
【男子オープンクラス】

男子オープンクラスは応募者多数で急遽出場枠を増やしての開催。
SNSで巷を騒がすヤングガンから、熟年のオヤジスケーターまで幅広い層のメンツが出場し会場を沸かせていた。



男子オープン優勝者と準優勝者「コバリ ルイ(左) キミジマ リュウノスケ(右)」
【桜花のように咲き、謳歌し続ける】

OUKA Skateboardsのコンセプトは「桜花のように…」。
仙台出身の阿部にとって、3月11日という日は避けては通れない。だからこそ、彼はこの日をあえて「パーティ」という形でイベントにして謳歌し、語り継いでいく。
取材を通して彼の人柄と、芯を持った思いに集まった人たちと同じ時間を過ごせたことは何よりもの宝物となった。
プロスケーターとしての彼なりの伝え方に、深いリスペクトを送りたい。
写真・文:小嶋勝美(スケートボード放送作家でスケーター)