「クオリティの高さがえぐい!」と話題なのが、佐々木蔵之介主演の連続ドラマ『マイホームヒーロー』(MBS/毎週火曜深夜0:59~、TBS/毎週火曜深夜1:28~)。愛娘の身を守るため、半グレDV彼氏を殺害した父・哲雄(佐々木蔵之介)が、ミステリー小説の知識をフル活用しながら迫りくる半グレ集団と心理戦を繰り広げる。
人気コミックを実写ドラマ化した本作で哲雄の愛娘・零花を演じたのが、今年約12年間所属した乃木坂46を卒業した齋藤飛鳥。マガジンサミットの独占インタビューに応じた齋藤が、乃木坂46の活動経験から得た一番の収穫を打ち明ける。
──乃木坂46のメンバーとして走り抜けた約12年間。その中で得た一番の収穫は何ですか?
私は乃木坂46の1期生で、中学1年からトータルで約12年間所属していました。むしろ収穫していないことがないというか、生きていくための術はすべて乃木坂で学んだと言っても過言ではないと思います。中でも、いい意味で「諦める」「高望みや期待はしない」という考え方を得たことは一番の学びです。乃木坂1期生という、誰も知らない誰からも期待されていない状況からスタートして、上手く行かないことや思い通りにいかないこともたくさん経験しました。
──地道に努力を続ける下積みを経験した、ということですね!
その下積みの時期があったからこそ、理想だけではやっていけない時もあるという現実を知ることが出来ました。諦めることによって開けた道も沢山あったので、その感情はネガティブなものではありません。もしこれが最初から人気があってバリバリとみんなを引っ張っていくような環境からのスタートだったら、浮足立って現実を見ないで突っ走るような人間になっていたと思います。
──約12年間続けたことを終わりにした際、燃え尽き症候群のような感覚には陥りませんでしたか?
確かに、卒業を意識した時は「これで終わりにしてもいいかも…」という気持ちにはなりました。中学1年から約12年間を乃木坂に捧げていたので、もはや乃木坂以外ないというか、それ以外の夢を抱いたことがありませんでしたから。未来のことなんて考える余裕もなくて、「私は乃木坂以外に何があるのだろうか…」という白紙の状態でした。
──卒業するにあたってどのようなことを考えていましたか?
卒業する際に特に考えたのは家族のことでした。私の両親は私が表舞台で活躍する姿を12年間程ずっと応援してくれました。卒業後は私が辞めたことを受け入れることが出来なかったようで、しばらくは齋藤飛鳥ロスになっていたそうです(笑)。幸いにも私はまだ25歳と若い。ならば両親のためにも、色々な事をとことんやってみようかな?と考えるようになりました。
──今ではテレビドラマや映画に俳優としての活路を見出していますね!
選んでいただくという重大さは、卒業後一人になって改めて身に染みて感じます。乃木坂で得た下積み時期の感情を忘れず、浮足立つことなく常に冷静でいなければいけないと肝に銘じています。これまでは乃木坂という看板があり、そのメンバーである齋藤飛鳥として指名していただくお仕事が大半でした。その大きい看板がなくなったのにも関わらず、私を指名して下さるのは本当にありがたいことです。
──出演作『マイホームヒーロー』が放送中で、視聴者の反応も上々です!
原作漫画好きのスタッフさんがいて、オファーをいただいた際には「絶対に面白いから受けた方がいい!」と言ってくれたので、原作漫画を読んでみました。凄く引き込まれて面白かったし、いざ出演してみると周囲から「やって大正解!」という反響をいただいたりして、そんな作品に出演できたことを光栄に思います。両親役の佐々木蔵之介さんと木村多江さんの息がぴったりで、このお二人ならば私をしっかりと引っ張ってくれるだろうと安心しながら現場に入りました。私の場合はほっこりする雰囲気のシーンが多いので、ピリピリしたシーンばかりの佐々木さんがホッと一息ついてくれたらいいなと思っていました(笑)。
──テンションを上げるとき、齋藤さんはどんなものから力を得ますか?
元気を出したいと思った時に、私はとびきり明るいものを見ようという気持ちにはならないタイプです。基本的に私は平坦な人間で他人から元気を求められることもないですが、自分の心を保つためにフラットな作品に触れることが多いです。よく読むのは安部公房の小説『砂の女』。大きな展開があるわけでもなく、でも非日常的で無の境地で読んでしまう。ふとした時に手に取ってしまう不思議な小説です。
──音楽から力を得ることはありますか?
気合を入れたい時に聴くのは昭和のJ-POP。昭和の時代に作られた楽曲の完成度の高さには聴くたびに驚かされていて、テンションも上がります。今の時代に比べてツールや技術が限られている分、モノ作りの醍醐味もあったのだろうと思ったりします。今日も楽屋で杏里さんの『悲しみがとまらない』をヘビロテしていました。