
みんなの銀行のバンキングシステムを開発しているバックエンドエンジニアの梶原です。
「今月こそ節約するぞ」と意気込んで家計簿アプリを開く。なのに、月末になると決まって赤字。「なんで家計簿をつけてるのに、使いすぎちゃうんだろう?」――そんな家計簿をつけても赤字続きだった私が、ある日気づいたんです。
「月ごとの反省」がダメなら、「今日使えるお金」だけを意識する仕組みを作ればいいんじゃないか、と。
この記事では、ズボラな私でも1年以上続けられ、ついにはお弁当作りまで習慣になった「がんばらない予算管理」の仕組みを、アプリの設定とあわせてご紹介します。
家計簿を毎日見てたのに
家計簿アプリを毎日欠かさず見ていました。それでも支出は一向に減りません。「見える化すれば節約できるはず……」と思っていたのに、なぜか使ったあとにしか反省できない。
結局気づいたのは、家計簿が教えてくれるのは過去の支出だということ。今この瞬間に「あといくら使えるか」は、どこにも書かれていませんでした。頻度の問題ではなく、タイミングの問題だったんです。
それに、意志の力だけで「今月こそ節約するぞ」と頑張る方法は、私の経験上ほとんど続きません。続くのは、頑張らなくても自然とそうなる仕組みか、続けること自体が少し楽しい仕組みだと思っています。
そこで、みんなの銀行の目的別にお金を分けられる「ボックス(貯蓄預金)」機能とデビットカードを組み合わせて、「毎日の自動お小遣い制」を作ってみました。思った以上に続けられていて、我慢している感覚がほとんどなく、なんだかゲームみたいで楽しいんです。
なぜ「月次」ではなく「日次」なのか
「今月の予算はいくら」と意識している方は多いと思います。お給料も引き落としも月単位なので、自然なことですよね。でも、「今日の予算はいくら」と日々意識している方は、意外と少ないのではないでしょうか。
私たち人間は、結局のところ「今日どう過ごすか」の積み重ねで生きています。だからこそ、「今月はあと3万円使える」と言われても実感が薄いですが、「今日使えるのはあと1,500円」と言われれば、今この瞬間のリアルな情報としてピンときますよね。
管理する期間と、実際に判断をする期間のズレ。これこそが、月次予算が挫折しやすい本当の理由なんだと思います。
「だったら日次で管理すればいい」と思われるかもしれませんが、それが広まらなかったのは、これまでの銀行口座に「手軽に日次リセットできる仕組み」がなかったからだと思います。
さらに、日次管理には月次にはない強力なメリットがあります。それは、「失敗した時のダメージが圧倒的に小さいこと」です。
月次予算は一度崩れると「もう今月はいいや……」と諦めてしまいがちですが、日次ならもし使いすぎても、翌日にはまっさらな状態でリセットされます。この「明日になれば、すぐ挽回できる」という安心感こそが、無理なく続けられる一番の理由です。
やっていることは2つだけ
仕組みはとてもシンプルです。
日常予算以外のお金は「Saving(貯蓄預金)」に置いておき、生活費として毎月使う分を動かすだけで、この仕組みが今日からスタートできます。
毎月の運用は、以下の2ステップだけです。
①毎月1日に、Saving(貯蓄預金)から「今月の予算」ボックスへ、その月に使う分を自動振替する。
②毎日、「今月の予算」ボックスからウォレット(普通預金)へ、「1日分の予算(私の場合は1,500円)」を自動振替する。
あとは、その日のウォレット残高(1,500円 + 前日までの残り)の範囲内で暮らすだけです。
ポイントは、変動費だけを「日割り」にすること
「家賃や保険などの固定費」は別で管理し、食費や日用品、趣味のお金など「自分の心がけ次第で変わる変動費」だけをこの仕組みに乗せています。
イメージとしては、デジタル版の「毎日少しずつ、お財布にお金を入れる」システム。昔ながらの暮らしの知恵を、アプリ機能を使って再現している感覚です。
お財布の中身が減っていくのがリアルタイムに見えて、「空になったら今日の買い物は終わり」。これを、ウォレットとデビットカードでスマートに実現しています。
金額そのものより、この「構造」が大事だと思っています。1日単位に区切ると、今日うまくいったかどうかがはっきりわかります。すると、毎日がちょっとした小さな勝負みたいになるんです。
毎日が小さな勝負になる
一番面白かったのは、結果がその日のうちにわかることでした。予算内で収まった日は、使わなかった分がウォレットに残って少しずつ増えていきます。その数字を見るのが素直に嬉しくて、「今日は勝った!」という気持ちになります。
逆に使いすぎた日は残高が減るので、一目で「今日はやりすぎたな」とわかります。家計簿だと気づきが遅れがちですが、この仕組みなら即日フィードバックがある。今日の結果が今日のうちに返ってくるから、「明日はもう少し抑えよう」という気持ちが自然と湧いてきます。
ウォレット残高は、ゲームのスコアのようなもの。節約を我慢と感じるのではなく、ゲームを攻略している感覚に近いです。
実際にこの仕組みを始めてから、毎日お弁当を作るようになりました。オフィス近くでランチを食べると最低1,000円はかかるし、帰りにコンビニにも寄りがちだったのですが、お弁当に変えると、その日の残高がきれいに残ります。残高が積み上がっていくのを見ると嬉しくて、自然と続けられました。
コンビニでも「これ、今日の予算から出していいかな」と一瞬考えるようになり、仕組みを作ったことで、なんとなくコンビニに寄る習慣が減ったのも意外な収穫でした。仕組みが先で、行動があとからついてきた感じがしています。
開発者の視点:なぜ「みんなの銀行」の仕組みなのか
「これ、他の銀行でもできるんじゃない?」と思われるかもしれません。私が試した範囲では、他のサービスでは「使う口座 → 貯蓄」という一方向の自動振替しかできないことが多く、この仕組みの肝である「予算を区切る → 毎日使う分だけ口座に戻す → そのまま支払う」という往復の流れをスムーズに自動化するのが難しい、というのが現状です。
その点、みんなの銀行はボックスからウォレットへ、毎日1円単位で自動振替が設定でき、それをそのままデビットカードで使えるのが強みです。「予算を区切る → 毎日使う分だけ口座に戻す → そのまま支払う」という処理の連動が一本の線でつながります。開発者として自分の理想とするお金のデータフローを組み立てたとき、この組み合わせが最もスムーズに実現できました。
そして日々の支払いをデビットカードに集約するのも、ただ口座を揃えるためだけではありません。デビットカードは即時決済なので、使った瞬間にウォレットから引き落とされ、残高がそのまま「今日の支払いの結果」になる。
クレジットカードだと支払いと引き落としの間にタイムラグがあって、口座残高と日々の支出が直感的に結びつきません。ボックスで予算を区切るだけでなく、支払いをデビットカードに寄せるところまでがセットなんです。
これはキャッシュレスの弱点を埋める仕組みでもあると思っています。お財布から現金が減っていく「痛み」を感じないまま支払いが終わるというキャッシュレスの怖さに対し、この仕組みなら「お財布から減っていくのが見える」感覚を取り戻すことができます。
セットアップ手順
設定はすべてアプリの中で完結します。
STEP1:「今月の予算」ボックスをつくる
まずは、今月の生活費(予算)を入れておくためのボックスを作成します。目標金額を設定しておくと、使うほどにボックスの残高が円グラフで減っていくのが視覚的にわかって便利です。

図1:目標金額を設定し、「今月の予算」ボックスを作成
STEP2:月初の振り分けを自動化
毎月1日(お給料日など)に、貯蓄預金のSavingから「今月の予算」ボックスへ、生活費全額が自動で移動(振替)するようスケジュール設定します。

図2:毎月の自動振替設定スケジュール画面
STEP3:毎日の補充を自動化
ここが一番の肝です。「今月の予算」ボックスから、毎日、1日分の予算(私の場合は1,500円)が、自動で普通預金のウォレットに移動(振替)するようスケジュール設定します。大切なのは、自分に無理のない金額を選ぶこと。実際に調整しながら、自分にぴったりの続けやすい額を見つけてください。

図3:毎日指定した金額をウォレットへ補充する設定画面
STEP4:支払いをデビットカードにまとめる
日常の支払いはすべて、(バーチャル)デビットカードで行います。これで、ウォレットの残高がそのまま「今日使えるお金」になります。

図4:ウォレットの残高を(バーチャル)デビットカードで利用する画面
大きな買い物のときは
当然、1日分の予算(1,500円)では足りない買い物もあります。その場合は、予算ボックスからウォレットへ手動で補填します。
そのとき、予算ボックスの残高が目に見えて大きく減るため、「今月の残りはあとこれだけか」と使う瞬間に実感できます。お金を支払う前に「今月の残り」が視覚的に見えることは、衝動買いを抑えるのに意外なほど効果があります。
カバー機能を応用した「翌日の自動引き締め」
基本の仕組みはボックスとデビットカードだけで十分に機能しますが、もう一つのハックとして、残高不足時に一時的に自動で立て替えてくれる、プレミアムサービス(※1)の会員が利用できる「カバー」(※2)という機能を応用するのも面白い仕掛けです。
ウォレットの残高以上に使ってしまった時に、画面上にマイナス表示(-¥320)がされます。この「マイナス」が視覚的に効くんです。「今日はやりすぎてしまったな」という感覚がストレートに伝わってきます。

図5:カバー機能適用により、ウォレットの残高がマイナス表示になっている状態
しかも、翌朝の自動補充が、まずマイナスになったウォレットのカバー返済に優先して充てられるため、使いすぎた分が自動的に「翌日の予算」から差し引かれます。自分で必死に我慢しようと意識しなくても、仕組みそのものが翌日の予算を自動で引き締めてくれるという自律的なループが作れます。
カバー機能は、急な残高不足に備えるだけでなく、ウォレットのマイナス表示によって「使いすぎ」を視覚的にフィードバックするためのトリガーとしても非常に優秀です。
※1 プレミアムサービスは、月額600円(税込)のサブスクリプションサービスです。ATM出金手数料や他行宛振込手数料の無料回数が付与されるほか、貯蓄預金金利やデビットカードのキャッシュバック率がアップするなど、日常の銀行取引をよりお得に利用できます。
※2 カバーは、プレミアムサービスの追加オプション(無料)で、ウォレット(普通預金)に残高がなくても、自動で足りない分を立て替えるサービスです。後払いサービスのように使えて、デビットカードでの支払いやATM出金を最大5万円までカバーします。
仕組みにしたら続いた
この方法を続けて感じたのは、節約は意志の強さだけで続けるのは難しい、ということかもしれません。
毎日の結果が見えて、なんとなくゲーム感覚で攻略したくなる仕組みの方が、私には合っていました。気づけばお弁当作りが習慣になっていて、使いすぎを「頑張って止めた」というより、「いつの間にか止まっていた」という感覚です。
家計簿では止まらなかった使いすぎが、毎日小さなゲームに変えることで、自然とコントロールできるようになりました。同じようにお金の管理で悩んでいる方がいたら、まずは気軽に試してみる価値はあると思います。
最初の一歩だけでも十分効果があります。「今月の予算」というボックスを作って、毎日決まった金額をウォレットへ移す設定をするだけでも、驚くほど残高の見え方が変わります。
今回ご紹介した「日次予算管理」という考え方は、どのようなツールや家計簿アプリでも応用可能です。お金の使いすぎに悩んでいる方は、ぜひ「今日の予算」を意識することから始めてみてください。
筆者紹介
梶原 大輔
みんなの銀行のバンキングシステム開発を担うゼロバンク・デザインファクトリーのバックエンド開発を担当。2023年12月の入社以降、ことら送金の保守から請求書払い・事業性サービスの新規開発まで幅広く経験し、現在は複数のマイクロサービス(レコード、ことら送金、リンクス、請求書払い)の保守運用を担っている。AI駆動開発などを通じたスクラム運営の改善に取り組みつつ、プライベートではみんなの銀行を活用した無駄遣い削減の方法を日々模索している。
(執筆者: みんなの銀行)
