
93歳にして初主演を果たしたジューン・スキッブによるオレオレ詐欺師に立ち向かうおばあちゃんを描いた前代未聞のスロー・アクション・コメディ『テルマがゆく! 93歳のやさしいリベンジ』が6月6日(金)よりTOHOシネマズ シャンテ他で全国公開となります。
トム・クルーズの「ミッション:インポッシブル」に背中を押され、おばあちゃんがオレオレ詐欺師からお金を取り戻す、93歳まさかの冒険を描いた本作。映画の初主演としては史上最高齢。2013年に『ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅』でアカデミー賞®助演女優賞ノミネート、スカーレット・ヨハンソンの初監督作『Eleanor the Great』でも主演を務めるなど超“遅咲き”ながら今絶好調のジューン・スキッブが、電動スクーターでのカーアクションや、銃撃などアクションもすべて自身でこなしています。
テルマの愛すべき孫のダニエル役は、フレッド・ヘッキンジャー。2024年は本作以外に、『グラディエーターⅡ 英雄を呼ぶ声』、『クレイヴン・ザ・ハンター』、アカデミー賞作品賞ノミネートの『ニッケル・ボーイズ』と話題作に立て続けに出演、いま最も勢いのある若手スターです。今回はフレッドさんに作品の魅力や撮影の思い出についてお話を伺いました。

――本作とても楽しく拝見しました!まずは本作の脚本を読んだ時の感想を教えていただけますでしょうか。
まず、「ジョシュ・マーゴリンって何者だ?」と思いました。「こんなすごい脚本を書くやつがいるのか、天才だ」って。本作が長編デビュー作だけれども、700本くらい裏で秘密裏に脚本を書いたんじゃないかと感じたよ(笑)。ジョシュは映画作家としても素晴らしいけれど、人間としても素晴らしい人なんだ。
脚本の中に、人間味とユーモアがあって、それぞれのキャラクターに対する愛情を感じて、コメディやアクションなど様々なジャンルを組み合わせているのに、登場人物に整合性がとれている。読んですぐに、ぜひこの作品に関わりたいと思いました。
――本作は監督ご自身の体験がベースになっていますが、作品に入る前に監督とはどの様なお話をしましたか?
自分の子供の頃の体験を具体的にたくさん話してくれました。それと同時に、「僕が感じた通りを演じてほしいのではない、自分の体験にぴったり沿っていなくても大丈夫だよ」とも言われました。俳優の芝居におまかせしてくれるけれど、必要なリソースを全部与えてくれるということにすごく感動しました。俳優をすごく信頼してくれているんだなと思いましたし、作品を引っ張っていくリーダーとして、何をやりたいのかが明確に分かっている。だからこういう素敵な作品が作れるのだなと実感しました。

――テルマとダニエルが本当に家族の様な空気で、それはフレッドさんとジューンさんご自身がとても親しくなったからなのかなと想像するのですがいかがですか?
ジューンさんとはすぐに仲良くなりました。人間として素晴らしい方ですごく尊敬しています。最初はテルマ役のスタントも用意されていたんです。製作陣もジューンのことや安全を考えてのことだったのですが、彼女自身が嫌がって「自分でアクションをやりたい」と。本当にすごいアクションスターでした。それも、ただのアクションではなくて「テルマだったらこうするだろう」と考えてアクションをつけるんです。
――すごいですね!まだ交流も続いていらっしゃるのでしょうか?
数週間前にも会ったばかりです! 彼女はロスに住んでいて、僕はニューヨークに今住んでいるんですけれど、お互いの街に行った時はランチでもディナーでも食事をします。去年彼女が撮影でニューヨークに来ていた時も、毎週土曜日にディナーが出来てすごく嬉しかったです。
そうだ、映画が公開になったタイミングでジューンと、モデルとなっている本物のテルマが対面したんです。テルマが「私が本物のテルマよ」と言ったら、ジューンが「いやいや、私が本物のテルマよ」というやりとりがあって(笑)、すごく素敵でした。

――素敵すぎる人生の先輩たちですね。
リチャード・ラウンドトゥリーさんともお会いすることが出来て本当に光栄でした。(編集部注:リチャード・ラウンドトゥリーさんは本作の撮影後に逝去)
一緒のシーンは一瞬だったのだけれど、現場でお会いすることが出来て、非常にラッキーだったと思います。本当に素晴らしい紳士的な方で。彼は、『黒いジャガー』や『シャフト』といった、アクションをバリバリやるキャラクターを多く演じてきたけれども、本作では彼自身の優しい面が滲み出ていると思う。彼自身もこういったキャラクターを演じることを熱望していたそうで、今でも彼がいないことが寂しくて仕方が無いです。
――ダニエルは将来どう生きれば良いのかと悩んでいる中で、テルマや周りの人からパワーをもらって自分自身を見出していきますよね。フレッドさんにとってそういう存在はいらっしゃいますか?
僕の進む道というか、船の舵取りをしてくれた様な存在は何人かいました。自分が見えなくなってしまう時があったのですが、友人に冷静にアドバイスをもらって、方向が見えることもあります。僕自身も子供時代に祖母と仲が良くて、よく一緒に映画を観ていました。なので、本作も、脚本が素晴らしかったことももちろんですが、祖母にこの作品を観て欲しいなと思ったことも、出演の理由の一つです。最近は、お年寄りが共感出来る様な作品ってあまり無いですよね。実際に、祖母がこの映画を観てくれて、すごく感動的だったし、観てもらった日は特別な日になりました。
――今日は楽しいお話をどうもありがとうございました!

『テルマがゆく! 93歳のやさしいリベンジ』
らないはずのある日、一本の電話がテルマの運命を変える。「おばあちゃん、オレオレ。事故を起こしてしまったよ!」刑務所にい
るという愛する孫を助けるため、テルマは急いで保釈金の1万ドルをポストに投函する。しかしそれは無情にも、オレオレ詐欺だ
ったのだ……。落胆する娘夫婦を見て、居ても立っても居られないテルマは、詐欺師たちからお金を取り戻す、93歳ミッションイ
ンポッシブルの遂行を決意! 旧友の老人ベンを巻き込み、電動スクーターでロサンゼルスの街を駆け巡る、大冒険に出発す
る!果たしてミッションは成功するのか……!?
監督・脚本:ジョシュ・マーゴリン
出演:ジューン・スキッブ、フレッド・ヘッキンジャー、リチャード・ラウンドトゥリー、パーカー・ポージー、クラーク・グレッグ、マルコム・マクダウェル
2024年/アメリカ・スイス/英語/99分/シネスコ/5.1ch/カラー/原題:Thelma/日本語字幕:種市譲二
配給:パルコ ユニバーサル映画 公式サイト: https://www.universalpictures.jp/micro/thelma 公式X: @thelmagayuku
作品コピーライト:© Courtesy of Universal Pictures