
時を忘れる静けさで、誰もが研究できる図書館。
図書館好きライターによる散策企画『ぶらり、図書館めぐり』。第2弾は、神奈川県横浜市の紅葉ケ丘に佇む「神奈川県立図書館」です。

桜木町駅から歩いて約10分。平日は19時まで開館しており、Wi-Fiやコンセントなどの設備も充実している4階建ての図書館。
利便性もさることながら、印象的だったのが、その“気品ある空間”。会話OKのスペースもある一方、全体としては落ち着いたオトナの雰囲気で、静かなる存在感を放っています。
前川國男館から本館へ—建築哲学を受け継ぎ、学びが広がる場所へ
神奈川県立図書館は、1954年に完成した旧本館(現・前川國男館)にその起源があります。建築家・前川國男が設計を担当し、彼の事務所に所属していた、後に図書館建築のパイオニアと呼ばれる鬼頭梓が家具のデザインまで徹底的にこだわり、手掛けたことで知られています。旧本館は「本をしまう場所」から「学び合う場所」へと図書館の概念を変革しました。
2022年に開館した新本館は、旧本館の特徴的なデザインを受け継ぎ、光と風を感じさせる美しい外観が印象的です。ホローブリック(中空レンガ)の意匠は、有孔木(ゆうこうぼく)パネルを用いて現代的に表現され、本館が掲げる「価値を創造する図書館」のコンセプトを体現する空間が創り出されています。

現在、前川國男館は再整備中で、2027年の再開館を予定しています。新たな姿でよみがえり、これからも訪れる人々にその魅力を伝え続けていくことでしょう。
心を整える静寂、読書と研究のための聖域
現代はタイパ重視・デジタル全盛の時代。だからこそ、純粋に「読むこと」や「学ぶこと」だけに集中できる空間は貴重になっています。
2階の「静寂読書室」では、音読・会話・PC作業すべてNG。読書灯付きのラウンジチェアが並ぶ落ち着いた空間は、まさに“本と向き合うための聖域”。時間を忘れてページをめくる、そんな贅沢がここにありました。

さらに、4階にはパーテーションで区切られた大部屋型の「研究ブース」と、一人貸し切りで使える「研究個室」も完備。

予約制の研究個室では、まわりを気にせず、ひとりだけの世界に没入することができます。

4階にはロッカーも完備されており、荷物を預けて手ぶらで読書に集中できる環境が整っています。快適で居心地の良い、まさに理想的な研究空間が広がっていました。
学びと交流が広がる場所、カフェに“部活”まで楽しめる図書館

一方、1階では、企画展示を楽しめるギャラリースペースと「猿田彦珈琲」やリフレッシュエリアがあり、開放的な雰囲気で人々を迎え入れます。
また、図書館スタッフが直接相談に応じてくれる窓口も充実。2階「レファレンスデスク」では調べ物の相談、4階「生涯学習相談デスク」では学び直しや資格取得、趣味の講座、ボランティア活動への参加などについてサポート体制が整えられています。

さらに、4階「学び⇔交流エリア」では、講演会やワークショップ、イベントが頻繁に開催され、交流の場としても賑わいを見せています。図書館を“学びを深める場”として活用できる連続講座「Lib活(リブかつ)」は、「Library(ライブラリー)」の中で「部活動」のように、同じ趣味を持つ仲間と、専門家の知見を取り入れながら交流を通じて知識を広げる、新しい学びのスタイルとして注目されています。
知的探求の旅へ— 神奈川県立図書館で過ごす、静かで豊かな時間
研究にも、読書にも、対話にも―
すべての「知りたい」に応えてくれるこの図書館は、まるで“知のラボラトリー”。
静かに、そして確かに、心が整っていく。そんな時間を求め、足を運びたくなる図書館です。
神奈川県立図書館
〒220-8585 横浜市西区紅葉ケ丘9-2開館時間
火曜日から金曜日 : 9時00分から19時00分
土曜日・日曜日・祝休日 : 9時00分から17時00分
電話番号:045-263-5900アクセス
JR「桜木町駅」北改札西口 徒歩10分
市営地下鉄線「桜木町駅」南1口 徒歩10分
京浜急行線「日ノ出町駅」徒歩13分
みなとみらい線「みなとみらい駅」けやき通り口 徒歩20分
ゆっくり作業できる楽園を発見。東京中央区・晴海図書館【ぶらり、図書館めぐり】https://t.co/HrxYfEDaWJ
—ガジェット通信(公式) (@getnewsfeed) March 17, 2025