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青春バトルアクション『ポライト・ソサエティ』主演プリヤ・カンサラ インタビュー「7本分の映画が詰まっている様な感覚」


サンダンス映画祭で批評家、観客双方からの絶賛を浴びて、見事英国インディペンデント映画賞最優秀新人脚本家賞を受賞。あのバラク・オバマ元米国大統領の2023年お気に入り映画にも選出された新感覚の青春バトルアクション映画『ポライト・ソサエティ』が公開中です。


ロンドンのムスリム家庭に生まれ、スタントウーマンを目指してカンフーの修行に励む女子高生リア・カーンはいくつもの悩みを抱えている。学校では頭の固い先生や意地悪な同級生に目を付けられ、両親からも将来の夢を諦めて堅実な仕事に就くように説教される毎日。

唯一の理解者は芸術家志望の姉のリーナだったが、彼女は突然プレイボーイの富豪と恋に落ち、海外に移住することに。彼の一族に不審な点を感じ取ったリアが独自に調査を開始すると、その結婚の裏にはとんでもない陰謀が隠されていた――。はたしてリアは、彼女たちを枠に当てはめようとする厳しい社会の掟を蹴散らして、リーナと自分の人生を勝ち取ることが出来るのだろうか?

怒れる女子高生リア・カーン役の、新星プリヤ・カンサラさんにお話を伺いました!

――映画楽しく拝見させていただきました!カッコいいポーズでの撮影もありがとうございます!

日本でこうして皆さんに取材していただいて、アクションのポーズを求められることに驚きました!他の国ではあまり無かったので楽しいです。

――私もそうですが、日本の観客は美しい女性がカッコ良いアクションを繰り広げる作品が大好物だと思うんですよね…!プリヤさんはアクション映画はお好きでしたか?

たくさんの作品からインスピレーションを受けてきました。でも、まだまだ足りないと思います。例えば、『キル・ビル』(2003)なんて大好きなのですが、なぜ同じ様な女性のアクション映画がないのだろう?とも思ったりしました。ミシェル・ヨーさんの様に長年アクションのフィールドで大活躍されてきた俳優さんもいて、私も多くの刺激を受けてきたので、もっと観たいなと思います。

――本作はまさにプリヤさんが大暴れするアクション映画となっていますが、アクション以外にも様々な要素が詰め込まれていますよね。最初に企画・脚本を読んだ時はどの様な感想を抱きましたか?

まず、クレイジーだなと思いました(笑)。脚本を読みながら、何度も声に出して笑っちゃって、こんな映画観たことないなという印象を受けました。シーンによってはちょっとイメージできないシーンもあったんですよね。実際に読み合わせが始まってから、「こういうことなんだ」とカチっとハマっていった感じもあって。ニダ・マンズール監督の描く世界はとてもパワフルで。彼女自身が、若くして南アジアの女性監督の中で唯一無二の存在として活躍しているという点でパワフルでカッコ良いんですよね。自分が何を作りたいかが明確に分かっている方でした。

――「7本分の映画が詰まっている感覚」と言ったことをコメントされていますが、目まぐるしい展開は観客としては楽しいですけれど、主演としてはすごく大変だったでしょうね。

ちょっと大変でしたね。……いや、結構大変でした(笑)。でも、周りの方たちが私が物おじしない様な空気を作ってくれたおかげで意識せずに頑張ることが出来たんですよね。7本分の映画を撮る様に、次から次へと違うジャンルに飛び込めるなんて俳優冥利につきますよね。重要だったのは、ジャンルを混ぜているからこそ、キャラクターの整合性をとることでした。色々な状況に巻き込まれても、リアはリアなんですよねその日がSFでもホラーでもアクションでもコメディーでも毎日がリアではあるんです。

――アクションはどういう練習やトレーニングをされたのですか。

役をいただいてから撮影に入るまで2ヶ月以下だったんですよ。そこからコーディネーターの方にアクションを教えていただいて、動きを覚えるのとワイヤーのトレーニングもありました。撮影の半分ぐらいがアクションをしながら空中で会話するものでしたので、そこは苦労しました。でも、体は確かに疲れるんだけれど、頭では「楽しい!」が勝つから乗り越えられたのだと思います。ずっとアドレナリンが出ていました。

――衣装やアクセサリーがとても素敵でしたが、その反面色々な所に引っかかっちゃいそうですよね。

実際の衣装を着てのトレーニングも何度も行いました。本作では動きと衣装が連動することが必要でしたので、おっしゃる通りよく色々なところに引っかかっていましたね。後ろ蹴りをした時にスカートがヒラっと舞うのが素敵なんですけれど、細部まで意識して動く必要がありました。さらに衣装よりもジュエリーが大変で、重さもありますし、ちょっと気を抜くと指輪と髪の毛がからまってしまいます。でも衣装での妥協は一切したくなかったから、衣装さん、スタントマン、そして俳優がベストを尽くし、最高の絵を撮ろうと色々アイデアを出し合って頑張っていました。

――本作はそんなアクションに加え、姉妹の絆などストーリー面も素敵ですよね。プリヤさんはどう感じられていますか?

私には姉妹はいないのですが、家族、いとこ、友人に常に支えられているなと感じています。リアはアクションが大好きで変わり者の女の子ということで、学校では少し浮いた存在であったりしますが、自分の大好きなことを親しい人と話し合えること、共鳴しあえたり共感できることは何よりも幸せなことだと思います。観客の方にもそういう方がいらっしゃるから、このストーリーに親しみを覚えて、リアのことを応援出来るんじゃないかなと思います。

――アジア系の女性俳優の活躍が少しずつ増えてきて、これからももっともっと観たいななと思います。

ワクワクしますよね。それこそシスタフードだと思います。たぶん、すごく長い間私たちはそういうものを求めていたのに観ることが出来なかった。今はたくさんのアジア俳優が活躍出来るキャラクターや物語が綴られていて、これからどんなものを観られるのだろうと楽しみで仕方がありません。自分が恵まれていることも自覚しているし、この様なキャリアを作れてとてもラッキーだと思っています。私の映画を観て「こうなりたい」「こんなことがしてみたい」と思ってくれる方もいらっしゃるでしょうし、南アジアのコミュニティだけでなく、与えられるべき場所がまだ与えられていない全てののマイノリティのために私ももっと努力をしていきたいと思っています。

――今日は本当に素敵なお話をありがとうございました!

撮影:オサダコウジ

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