第一弾予告編が解禁されるや否や大反響を起こした『トランスフォーマー/ONE』。 トランスフォーマー映画最新作ですが、本作のユニークなポイントはオプティマス・プライムとメガトロンの若き(?)日を描き、しかもこの2人がもともとは親友だった!という設定のもとに描かれるアニメーション大作。さらにオプティマス役のクリス・ヘムズワースをはじめスカーレット・ヨハンソン等の声優参加も話題。トランスフォーマー伝説の新たな幕開けを感じる本作。この作品にかける熱い思いを、プロデューサーであるロレンツォ・ディ・ボナヴェンチュラ氏にインタビューしました。ロレンツォ・ディ・ボナヴェンチュラ氏は2007年の『トランスフォーマー』からずっとこのシリーズにかかわってきた、映画版トランスフォーマーの育ての親ともいうべき人物です。
【聞き手:杉山すぴ豊】
アメキャラ系ライターという肩書で、アメコミ映画の情報発信を劇場パンフや雑誌「SCREEN」「ヤングアニマル」「DVD&動画配信でーた」等で展開。アメコミ映画のイベントや東京コミコンのMCも担当。
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Q:『トランスフォーマー』シリーズは実写映画でヒットしていると思うのですが、今回アニメ映画に踏み切った理由を教えてください。というのも僕の中では、「トランスフォーマー」アニメーション(カートゥーン)というのは子供向きで、実写版というのはヤングアダルト~大人向けというイメージがあったのですが、今回アニメーションということで基本的には子供が楽しめる映画なのか、それともこれまでの実写ファンも楽しめる映画にもなっているのかお聞きしたいです。
そこは実はかなりの時間をかけて考えたところでもありました。作る前もそうですし、実際に制作している時もそうでした。ファミリー層にも、全体的な一般の方々にも皆さんに魅力的なトーンとはどんなものだろうと。そういう事を探しながら作っていきました。結果的に、「トランスフォーマー」のファンの方であれば、年齢に限らず楽しんでもらえると思います。本当にこれまでこのロボットたちを観た事がないような形で掘り下げているし、ストーリーも年齢に縛られていないと思います。幼すぎるからとか、歳を重ねてすぎているなども一切無く、誰もが気に入ってくれるようなバランスを見つけたんじゃないかなと自負しています。これは別に、妥協して見つけたバランスではないんです。製作過程で見出したバランスになります。カートゥーンと今回の作品の違いですが、それはやっぱり、キャラクターたちの感情面というものに、より対峙している、あるいはそういったものを描いている作品だと思います。それってすごく色んな意味で大人なことだと思うので。
Q:今までの『トランスフォーマー』と比べて本作のユニークな点はなんでしょうか?
一番のポイントは全てのトランスフォーマーのオリジンの物語として今ではオプティマス・プライムと呼ばれているオライオンパックスと、今ではメガトロンと呼ばれているD-16、この二人の感動的な友情の物語を中心におきました。今回2人は劇中、大親友なのですがそれが最終的に敵となるわけです。ですから、この物語というのはこのキャラクターたちについて、そして彼らに何が起きるのかというのを描いた作品です。アクション映画や、アドベンチャー系の映画というのは、これまでもよくキャラクターをベースにして、キャラクターを大事にした作品ですとアピールしている作品も多いのですが、実はそうではないこともありますよね。でも『トランスフォーマー/ONE』は違って、本当にキャラクターをしっかりと描いたキャラクターものとなります。とてもエモーショナルな作品に仕上がりました。
Q:今、“エモーショナル”という言葉が出ましたが、今までのトランスフォーマーは、トランスフォーマーと人間の交流ということでエモーショナルな部分を作ってきたかと思うんですが、今回は人間が出ない中エモーショナルな物語を作るというのは結構チャレンジなことかと思いました。その辺りは上手くいったと思いますか?多分、サイバトロン星に人間はいないですよね・・・?
まさにその通り、人間はいません(笑)人間はいないんですけれども、人間というものがいないからこそ、今回非常に面白かったと思っています。通常、人間のキャラクターに与える性格、資質、個性をロボットに与えることができたからです。そうするとまた今までとは違った関係性、ロボット間の力学というのが描けました。そのおかげで感情面を掘り下げることが出来たんです。彼らの感じていること、怒りや喜びを含めて。それが他の作品と違うところだと思います。結果的にいままでの作品よりもより深くキャラクター達について知ることができるような作品になったと思います。
Q:まだ本編を観ていなくて予告映像のみを観ての質問ですが、すごくメガトロンが良い奴に思えて、彼がヴィランになっていくのが切ないなと思うのですが。
そうですね。これはこの映画について最も重要な質問をしていただきました。この映画は、意図的にこの二人の素晴らしい友情関係が壊れていってしまう、その悲劇を感じてほしいと思っているからです。彼らは敵同士になるわけですよね、その悲劇を感じてほしい。なのでやっぱりそれを観ている我々は胸が痛くなるし、最終的にはエンディングとして観客も満足のいく、とてもとてもほろ苦い、そういう終わり方があります。ほろ苦い部分というのはもちろん友情というものがどうなのるのか、その結果がほろ苦いということです。それに即してどのくらいお互いこの二人が何を失ったのか。喪失したものの大きさというものを感じられる終わり方をしているからです。
Q:監督のジョシュ・クーリーについてお聞きします。『トイ・ストーリー4』でおもちゃ映画を撮った監督がおもちゃが原作の『トランスフォーマー』の監督を行うのが非常に面白いなと思いました。ジョシュ・クーリー監督を起用した1番のきっかけはなんでしょうか?
僕も『トイ・ストーリー4』大好きです。とても素晴らしい作品だと思ったし、アニメーションの4作目でそういう作品を作ることができる、今までと同じくらい素晴らしい作品を作ることが出来た訳で、それってすごく難しいことだと思うんです。またその映画を観ていても、彼はやっぱりすごく人間らしさみたいなものを感じるんです。その人間性の大きさが僕らにとってとても重要なポイントでした。と同時に、馬鹿馬鹿しいユーモアみたいなものも持ち合わせていました。それもすごく楽しいことです、というのも今回の作品ではシリアスな部分もあるので、それだけにホッと息が抜けるような軽妙な笑えるシーンや変わったアイディアがあると良いなと思ったからでした。実際に彼に会ってみるとまさに僕らが望んでいるものを彼は全て持ち合わせていました。脚本は、元々監督が参加する前にある程度開発していたのですが、彼に脚本を読んでもらった時に、僕自身がこういう風に読み取ってもらいたいなと思った通りに、まさにその通りに彼はこの作品を読んでくれたし、更にそれを良くするアイディアを持っていてくれていました。だからすごくスムーズに彼でいこう!と決まりました。
Q:監督の話題が出たところでお聞きしたいのですが、実写版『トランスフォーマー』の映画といえばマイケル・ベイ監督でした。ベイ監督は今回のアニメーション映画を観て何か感想は言っていましたか?
マイケル・ベイは全編観ています。心から、この映画を気に入ってくれました。大好きだ、めちゃくちゃ楽しかったと言っていました。特に映画のユーモアやアクションも最高だと言ってくれたし本当に今回の監督の仕事ぶりに満足していました。
Q:出演についてお聞きします。今回クリス・ヘムズワースのオプティマス・プライム役も話題です。彼を起用した1番の理由はなんだったんでしょうか?
オプティマス・プライムは、この作品の中では若い男性です。そういう青年らしさ、まだ大人になりきれていないというような資質が必要でした。なので、ピーター・カレン(註:今までのオプティマスの声を担当していた)よりは若い方が必要でした。もちろん我々はピーターが大好きだしこれからもオプティマス・プライムを実写版では演じ続けてもらうことになっているんですけれども、クリスはまさに私たちが求めていたものを持っていました。例えば、自分はロボットものだけになってしまう事には少し懸念がありました。やっぱり観ていて楽しい、それから本当にユーモアのセンスがある、そういった作品にしたかった。そんな中でクリス自身がとにかく素晴らしいユーモアの持ち主だし、同時に声質としてもとても強いものがある。それはやっぱりアニメーションを作っている時のとても大事なものでもあるので。それを彼は持っていました。
Q:将来的にクリス・ヘムズワースの声が、オプティマス・プライムの成長と共にピーター・カレンに引き継がれていくのでしょうか?
(大笑い)これについてはかなり先の話になるので、正直なところは分かりませんが、“もしかしたら・・・”というのが僕の答えです。すぴさんのそのアイディアはとても良いなと思います。
Q:「ONE」の意味は最初のトランスフォーマーという意味ですか?それともオプティマス・プライムが唯一無二のトランスフォーマーという意味なのか、「ONE」に込められた意味を教えてほしいです。
「ONE」が象徴するところは、全ての始まりというところです。この物語はオリジンでもありますし、ここから全てが始まった。この映画を作っている中で重要なことの一つは、「トランスフォーマー」を観た事がない方も楽しめるような映画にすることでした。だからこそ、「ONE」となります。これが始まりだから。何もトランスフォーマーについて知らなくても楽しいし、トランスフォーマーについて何か知識があれば、知らない方が気づかないイースターエッグみたいにオマージュを沢山発見できると思います。今までのトランスフォーマーの物語、歴史に関わるものも仕込まれていますし、ビジュアル的にも、「あれ?47話で観たあれじゃない?」みたいなものも隠れているそうです。僕たち作り手としても、全く知らない方でも詳しい方でも楽しめるような作品を作るというのは非常に楽しかったです。
Q:このアニメのフランチャイズは実写版のトランスフォーマーに繋がっていくのでしょうか?
実写版の映画で皆さんが観た事のあるキャラクターが、直接的に関わりがある、あるいは直接的な関係があるキャラクターというのは出てくるわけですけれども、ただ、難しいのは今回の物語というのはすごーく昔、過去の話になるんですね。何十億年という前の物語になるので。そしてまた、サイバトロンという惑星で物語が展開しますけれども、“トランスフォーマー”という言葉は“変身する”という言葉でもありますが、その名の通りサイバトロンという非常にビジュアル的にも今までに見たことがないような舞台で語られる物語となっております。
Q:フランス(註:アヌシー国際アニメーション映画祭)で上映されてとても大好評だったと聞きとても楽しみです。僕はスパイダーマンのアニメーションがアカデミー賞を獲った時に「やった!」と思ったのですが、『トランスフォーマー/ONE』も是非アカデミー賞を獲ってほしいなと思っています。自信はありますでしょうか?
そうですね。自信ということを聞かれましたが、もしそういう事になったら、大変嬉しいことですよね。そういう風になったらすごく最高なことだと思います。すごく素敵なことだと思います。ただ、この作品は、もちろんオスカーを受賞するために制作した訳ではありません。ファンの為に作った作品だし、作品に触れた事がない新しいファンの方々に向けても作った作品ではあります。これからこの映画をアニメーションだからという理由できっと観てくれる小さな子供たちを含めトランスフォーマーに対して恋に落ちてくれる、全く新しい世代を想いながらも作った作品です。
Q:本当に楽しみです。最後にずっとトランスフォーマー映画に関わったてきたプロデューサーとしてのご意見をうかがいたいのですが、マーベルやバットマン、スター・ウォーズなど、世の中に色々なフランチャイズがある中で“トランスフォーマー”というのがここまで長く愛される一番の理由は何だと思いますか?
ある意味ですごく答えが簡単でもあるし、ある意味ですごく難しい質問だと思います。というのも、何故こんなに長く愛されるというのははっきりとは分からないからなんです。例えば友人の4歳の息子さんが今トランスフォーマーにめちゃくちゃハマっているんですが、そのハマり方を見ていた時に、「ああ、こういうことなんだな」って、合点がいくところがありました。車がロボットに変身して、それが個性みたいなものを持っていて、そういったものに魅了されている過程を見ていたんです。思うに、やっぱり年齢に限らず、そこが一番魅力的なコンセプトの一つなんじゃないかなって思います。元々トランスフォーマーを作り出した方々は、トランスフォーマーを手にする人が誰だとしても、その人の想像力を大いに喚起してくれる、そういう物語、あるいはキャラクターを生み出したのだと思います。繰り返しにはなりますが、トランスフォーマーがこうして長く愛されているその理由の一つというのは、想像力を駆り立ててくれるところ、資質、それがあるからこそ人はトランスフォーマーを楽しむし、またトランスフォーマーのところへ戻ってくるんだと、いう風に思います。
とても楽しいインタビューでした。
僕がバンブルビーのフーディを着てインタビューしたらすごく喜んでくれました。
ロレンツォ・ディ・ボナヴェンチュラ氏トランスフォーマー愛にあふれるトークとなりました。
実は話題になっている『G.I.ジョー』と『トランスフォーマー』のクロスオーバーについて聞いたら今まさにどんな話にしようか、キャストをどうしようか、沢山のアイデアをテーブルの上に並べて話し合っている状況だそうです。ただ楽しみにしてくださいと。
というわけでこれからますます楽しみが広がるトランスフォーマー・ワールド!
まずは『トランスフォーマー/ONE』を日本でも盛り上げましょう!
⠀⠀⠀⠀⠀新次元の始まりを目撃せよ‼
◥◣#トランスフォーマー特番 配信決定◢◤/(火):
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—『トランスフォーマー』公式 (@tf_autobot) July 11, 2024
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