2022年10月1日に79 歳で惜しまれつつこの世を去ったアントニオ猪木。日本を代表するプロレスラーにして実業家、政治家としてリングの内外で伝説的なエピソードを数々残してきました。偉人、カリスマ、挑戦者、変人、異端児、最強、英雄・・・果たして巨星・アントニオ猪木とは一体どんな人物だったのか？そして我々にとって、アントニオ猪木とはいかなる存在だったのか？ 新日本プロレス創立50 周年を記念し製作されたドキュメンタリー映画『アントニオ猪木をさがして』が10月6日より全国公開となります。
「元気ですか！？」「馬鹿になれ！」、誰もが一度は耳にしたことのあるアントニオ猪木の発した【言葉】の数々を切り口に挑み続けた男・アントニオ猪木の真の姿に迫っていくドキュメンタリー映画である本作の豪華出演者も話題に。
その中の一人、現在新日本プロレスのリングで壮絶な闘いを繰り広げているオカダ・カズチカ選手に映画についてお話を伺いました！
――まずは本作をご覧になった感想を教えてください。
元気が出ました！毎日色々なことがありますけれど、とにかく元気になれるメッセージがつまっているなと感じました。猪木さんは人にパワーを与える言葉をたくさん発信していらっしゃるなと思っていましたが、この映画を観て改めて感じました。
――本当に貴重な映像の数々が収められていましたね。
「ブラジルにこういう感じで行っていたんだ」とか、僕も初めて知ることが多かったです。波瀾万丈な人生で、たくさん成功していますし、たくさん失敗していて。でもここまで失敗している所を見せても良いんだ！って。それが猪木さんのダイナミックさでもあり、カッコ良い所だなと思います
――猪木さんは海外にも影響を与えている方ですよね。
僕は、試合の為イギリスに滞在している時に訃報を受けたのですが、猪木さんには今の新日本の試合をいつか見て欲しいという想いがあったので、それが叶わないんだととても残念に思いました。でもその後、試合で追悼の10カウントゴングをした際に、イギリスの皆さんも一緒に猪木コールをしてくれて、海外にまでその影響は届いているのだと偉大さを実感しました。本当にすごい方だなと。
――本作にはとても豪華な皆さんが出演されていますが、オカダさんがご覧になって印象に残っている方や言葉はありましたか？
人によって、猪木さんという存在の捉え方が違うんだなということが興味深かったです。有田（哲平）さんや安田（顕）さんというプロレスファンの方、猪木さんを感じている棚橋さんの捉え方、「この方は猪木さんのこういう部分に元気をもらっていたのか」とそれぞれ違うんですよね。特に棚橋さんは猪木さんに引っ張られすぎない様にしていたんだろうなと思いますし。 “神様”みたいな存在なんですよね。その神様が発している言葉から元気をもらう。ここまでのスーパースターはもう現れないのではないかと思います。
――オカダさんのようなスーパースターのお一人からしても、そう思われるのですね。
プロレスの技術でいうと今の方がレベルは上がっていると思うのですが、今のプロレスラーには出来ないダイナミックさというか、観ている人を巻き込んでいく力がすごいんですよね。強いだけではダメなんだなと。僕は強いだけの人間なんで（笑）。こんなすごいレスラーは生まれてこないと思いますし、“次のアントニオ猪木”を目指すのもおかしいのかなと。レスラーはそれぞれの個性や強さを追求していくことが大事だなと感じます。
――猪木さんの試合を見ていて、オカダさんはどんな所に惹かれますか？
表情ですね。戦っている時の表情が観客を惹きつける。何十年も前の試合を見ていても、アツくなれる。やられている時の表情もすごく良いんですよね。映像で見てもこれだけアツくなれるのですから、当時の試合を生で見ていた方々は一生猪木さんのファンなのだろうと思います。
――オカダさんは猪木さんとどんなお話がしたかったですか？聞きたかったことなどあれば教えてください。
やっぱり試合を見てもらって、ダメ出しされたかったですね。僕の想像ですけれど、“良い”と思っていてもダメって言うと思いますし、ずっと「アントニオ猪木」でいてくれるんじゃないかと。生前、対談をさせていただいたことがあるのですが、杖をついた状態で「元気ですかー！俺が一番元気じゃないか（笑）」なんて言いながら部屋に入ってきて、すごいですよね。後輩にそういった姿を見せることって、普通は抵抗があると思うんです。でも、そうやって全てを見せてくれる猪木さんに感動しましたし、YouTubeなどでも発信していて、そこに生き様のカッコ良さが現れていると思います。
――おっしゃるとおり、なかなか出来ないことですよね…！多くの方に観ていただいて、それぞれの感想を聞きたいです。改めて『アントニオ猪木をさがして』というタイトルが素敵だなと。
良いタイトルですよね。みんなで猪木さんを探す映画だなと思います。僕は見つからなかったんですけどね。映画を観て余計分からなくなってしまって。探しても見つからないですよ、猪木さんは（笑）。でも、見つかる人もいると思いますし、その見つかった猪木さんは人それぞれ違うと思います。だからたくさんの方に観てもらって、たくさん感想を話してもらいたいです。エンドロールには写真の数々と共にあのテーマソングが流れるのですが、それもテンションがめちゃくちゃ上がりました。映画の最後にあの曲を聴いたら、みんな胸張って映画館を出てくるだろうなって。大音量で聴いていただきたいので、ぜひ映画館で観て欲しいです。
――大画面、大音量が絶対的におすすめですよね！今日は素敵なお話をありがとうございました。
撮影：オサダコウジ
『アントニオ猪木を探して』10月6日公開
出演:
アントニオ猪木
アビッド・ハルーン 有田哲平 海野翔太 オカダ・カズチカ 神田伯山
棚橋弘至 原悦生 藤波辰爾 藤原喜明 安田顕
番家天嵩 田口隆祐 大里菜桜 藤本静 山﨑光 新谷ゆづみ 徳井優 後藤洋央紀 菅原大吉
<ナレーション> 福山雅治
主題歌「炎のファイター〜Carry on the fighting spirit〜」(福山雅治)
監督:和田圭介 三原光尋 製作:「アントニオ猪木をさがして」製作委員会
写真：原 悦生
(C)2023 「アントニオ猪木をさがして」製作委員会
