BLACKPINKをはじめとするアーティストがワールドツアーを成功させ、欧米の音楽フェスのヘッドライナーを務めるKPOPなど、映画や音楽・ファッションなどの分野でアジア圏を超えて世界中で広く話題となっている韓国カルチャー。
そんな韓国のポップカルチャーを取り上げた企画展がロンドンの有名美術館ヴィクトリア&アルバート博物館(通称:V&A)で、長期間開催中。イギリスでの、韓国に関する初の大規模な展示となる「Hallyu」展を紹介する。
企画展のタイトルにもなっている「Hallyu」は日本語でも同じ意味で使われている中国語の「韓流」から。解説にも「Korean Wave」という意味だと記載されており、企画展では韓国のポップカルチャーの起源から現在に至るまでの「波」という意味でも使用されていた。
韓国ドラマ
韓国カルチャーを語る上で外せないのが韓国ドラマ。日本でも当時韓国ドラマ旋風を巻き起こした『冬のソナタ』(02)、『梨泰院クラス』(20)など韓国発のデジタルコミック「ウェブトゥーン」が原作の作品などの展示が並ぶ。韓国ドラマが世界にどのように“発見”されてきたのか、そのきっかけとなった作品たちが紹介されていた。
『冬のソナタ』の日本版パッケージとグッズ。韓国ドラマの日本進出は、韓国カルチャーに大きな影響を与えたとのこと。
『梨泰院クラス』など、ウェブトゥーン発の作品たち。
『イカゲーム』(21)はそのアイコニックなファッションの観点からも注目されていた。
韓国映画
2019年には、ポン・ジュノ監督の『パラサイト 半地下の家族』が史上初の英語以外の作品としてアカデミー賞作品賞を受賞。そのほかにも日本で公開を控えている『別れる決心』(23)のパク・チャヌク監督の『オールド・ボーイ』(03)『お嬢さん』(16)や、イ・チャンドク監督の『バーニング 劇場版』(18)、キム・ボラ監督の『はちどり』(18)など数々の作品が世界的に評価されている韓国映画。本展示では特にこれらの映画のデザイン性がフューチャーされていた。
『ペパーミントキャンディ』(1999)日本でも注目のポスター製作会社・プロパガンダによるポスターを展示。
低予算でありながら、さまざまな角度からの撮影を試みているホン・サンス監督のアートワークを紹介。左上から下に向かって『女は男の未来だ』(04)、『夜の浜辺でひとり』(16)、『ソニはご機嫌ななめ』(13)、『それから』(17)。
韓国内の階級差を描いた『パラサイト 半地下の家族』のポスターを展示。かの有名なトイレのシーンのセットも再現。
KPOP
現在の韓流を語るには欠かせないKPOP。ソーシャルメディアやファンコミュニティとの繋がり、ダンスパフォーマンスなど独自の形で成長を遂げた巨大なカルチャーとして展示されていた。
KPOPカルチャーにおいてファンダムの力は現象となるほど絶大。ファンコミュニティを作り出すアイテムとしてペンライトの効果は大きい。
13歳で日本デビューしたBOAをきっかけに、KPOPは日本の音楽市場へ進出。日本への進出はグローバルな展開への先駆けだった。
KPOPアーティストたちは、ファッション界に進出したりメッセージの発信するインフルエンサーとなったり、その影響力を利用した活動にも言及。
KPOPにおけるファッション。仮想世界とリンクしている世界観を持つ「aespa」、韓国の伝統的な要素を取り入れた「BLACKPINK」、ファッションアイコンとして注目を集めるG-DRAGONのファッションを紹介。
このほかにも、韓国の美容やファッションなどについての展示も多数あり、現在の韓国カルチャーが網羅されている。また、戦後の復興からどのようにポップカルチャーが生まれてきたのかなど歴史的観点からも紹介されており、まさに韓流の起源から現在の「波」を感じることができる企画展となっている。
(執筆者: waiwai)