現在放送中の連続テレビ小説『舞いあがれ!』。いよいよ明日21日から、福原遥が登場する。すでに大学生となった舞(福原)がお目見えするとのことだが、幼少期を演じてきた子役・浅田芭路との別れに名残惜しさを感じる視聴者も多いだろう。
思えば、その評判の良さは、前作『ちむどんどん』とは真逆の経過を辿っている。
物語の展開、キャラクター造形、伏線の張り方全てにおいて真逆
“ちむどんどん”は、悪い意味で裏切られっぱなしの全125話だった。比嘉家の借金を減らすため、親戚のもとへ預けられるはずだった暢子(稲垣来泉)が土壇場になって“沖縄残留”を決めたあたりから雲行きがおかしくなり、その後成長した暢子が黒島結菜にバトンタッチした後も、「食べることが大好き」=「料理を作る」の必然性も曖昧なまま進み、地元の食品メーカーの就職が決まりかけたと想いきや、その人事担当者の前で「東京に行って料理人になります」と宣言するなど、「ちゃぶ台」(死語)をひっくり返したくなる展開が続いた。
一方、“舞いあがれ!”は、空を飛ぶことに憧れを抱くヒロイン・舞(浅田)の“空への憧れの芽生え”を丁寧に描いている。五島で見た「ばらもん凧」、初めて乗った飛行機、そして父・浩太(高橋克典)も、かつて飛行機を作るという夢を持っていたなど、その動機づけに無理がない。また、五島に住む祖母・祥子(高畑淳子)と2人の生活に入るまでの経緯も、うまく描いていた。
応援したくなるかどうか
“ちむどんどん”では、兄・賢秀(竜星涼)をダメな人格に仕立てて物語を進ませようとしたものの、他の登場人物もなかなか共感しにくいキャラクターだっただけに総崩れ。個人的に、誰一人として心から応援したいキャストはいなかった。ただ、歌子(上白石萌歌)をなぜあれだけ最後まで「発熱キャラ」に仕立てるのか、不憫でならなかった。上白石本人としては、どう思っていたのだろうか聞いてみたいところだ。
“ちむどんどん”では、そんな兄を溺愛する母・優子(仲間由紀恵)にも、視聴者から疑問の声が上がっていた。ひょっとすると、兄と、他の暢子ら姉妹は血がつなががっておらず、何かワケありなのではと勘繰ることもあったが、そんなことは一切なく、“兄びいき”の理由は、ただ一点、「賢秀はホントは優しい子」のみだった。
一方、“舞いあがれ!”は、浩太にしても、その妻で舞の母・めぐみ(永作博美)にしても、一生懸命さが視聴者の感動を呼ぶ。ただ1点、兄で、東大志望の長男・悠人(海老塚幸穏)と浩太との関係には、若干ざらつくものがあるくらいだが。
舞を取り巻く周りの登場人物も、それぞれ魅力的で応援したくなる。いすれにしても「これぞ朝ドラ」という作品が帰って来た。毎日、気持ちの良い朝を迎えられるにあたり、そこには『ちむどんどん』ロスの感情など1ミリたりともないのが本音である。
(執筆者: genkanaketara)