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映画『ピノキオ』正直ジョン役・とろサーモン村田インタビュー「ずっと半笑いであることを意識」「漫才のスタンスと役者業の共通点」


これまで、美しいメロディーと共に数々の名曲を世に贈りだしてきたディズニー。その中でも全世界の誰もが必ず一度は耳にした事のある珠玉の名曲「星に願いを( When You Wish Upon a Star )」を生んだ名作アニメーション『ピノキオ』 が実写映画化。 ディズニーが魅力あふれるキャラクターと映像美、珠玉の名曲で魅了するファンタジックな作品 『ピノキオ』がDisney+(ディズニープラス)にて独占配信中です。

本作で、ピノキオを悪の道に誘い込むキツネ「正直ジョン」の日本語吹替を担当した、お笑い芸人とろサーモンの村田秀亮さんにお話を伺いました。

「ずっと半笑いであること」を意識したアフレコ

――今回、正直ジョン役に抜擢された時のお気持ちは? キャスト決定の時のニュースでは「ドッキリだと思った」というコメントもありました。

ここ何年間の中いただいてきた声の仕事の中で一番大きな仕事ですし、最高に嬉しかったですね。最初は信じられなかったんですが、ドッキリにしては、ようわからんですよね(笑)。「ピノキオの仕事、入りましたよ」っていう。いざ現場に行ってみて、「あ、ほんまなんや」と実感が湧いてきました。

――周りからも反響が大きかったのではないでしょうか?

めちゃめちゃ言われます! 情報解禁のタイミングで、インスタやTwitterで告知したら、芸人の先輩、後輩、昔のマネージャーからも連絡が来ましたね。「すごいよ!」ってね。20代の時に、めちゃくちゃ喧嘩して別れた子からも「ピノキオ出んの?すごいね!」って来ました(笑)。こんなに素晴らしいお仕事をいただけることに感謝しかないですわ。

――アフレコはいかがでしたか?

ナレーションの仕事はこれまでも何度かやっていたんですけど全くやり方が違いましたね。歌を撮ったことがない中で、特にあんなハッピーな歌というのは初体験だったので楽しかったです。

(歌の)先生にも、すごく褒めてもらって。だんだん気分も乗ってくるから、より声に伸びも出てきて、めっちゃ楽しかったです。だから、歌を撮り終わってからも、しばらく家で歌っていましたね。車の中でも歌いながら。

――村田さんが演じられた「正直ジョン」というキャラクターへの印象はいかがですか?

しっかり詐欺師だな、と感じました。ああいう人、ほんまにおってね。大体、よう喋る人の横に無口な舎弟みたいな二人組で。正直ジョンとギデオンは狐と猫ですけど、歌舞伎町にはあの感じで黒服着た人間たくさんいますよね(笑)。

――喋る人と無口な舎弟の組み合わせ…分かります(笑)。どういう声で演じようとアプローチしましたか?

意識していたのは、ずっと半笑いであることですかね。ちょっと笑うと声も笑うじゃないですか。こいつ、「口に出すことと、思っていること全然違うやろ」という。ああいう虚言癖がある人って平気で嘘をつけるじゃないですか。

歌のパートで「素敵な商売〜♪」というところがあるんですけど、「“こいつをこの劇団に入れたら、お金が入ってくるぞ”っていう気持ちで歌ってください」と先生に言われて。そしたら「素敵な商売〜」じゃなくて「素敵な商売〜♪」って、ほくそ笑んで言ってしまうので。

――面白いですね。歌の聞こえ方も、そこにこめる感情で全く変わってくるというか。

そうそう、気持ちで全然変わるんだなと。皆さんもカラオケで歌を歌うことってあると思うんですけど、そこで気持ちを入れるって、なかなかないじゃないですか。正直ジョンの場合は「こいつを騙してやろう」という気持ちをリズムに乗せているので、その意識でここまで違うんだなと勉強になりました。

『ピノキオ』には全ての世代に通じるメッセージがある

――作品をご覧になっていかがでしたか?

ピノキオがあの短期間で人生を深く経験をしていってる感じがすごく面白かったです。生きていたら色んな大変なこともありますけど、努力とか人の優しさとか感謝で、成長していくんだなっていう。どの時代にも通じるメッセージがあると思いました。

――好きなシーンはありますか?

遊園地でみんなが堕落していくじゃないですか。誘惑に負けて堕落していって、動物に変わりますよね。めちゃくちゃ怖い。

――分かります。『ピノキオ』ってシンプルで子供も楽しめるお話ですが、大人が得る教訓も多いですよね。

そうなんですよね。本当に。生きていたら、甘い蜜の方に行きがちじゃないですか。でも、行き過ぎると堕落していって自分自身が破綻していく…。それが怖いシーンですけれど、あそこから乗り越えて生きていく姿も描かれている所が素晴らしかったです。

――村田さんは元々ディズニー作品がお好きでしたか?

めっちゃ観てますよ!『塔の上のラプンツェル』好きです。ディズニーの作品は、ストーリーやキャラクターはもちろん、音楽がすごく良いので。元気が出ますよね。あと、実写版の「アラジン」の主演の方いるじゃないですか(メナ・マスード)。あの人に、めっちゃ似てるって言われてました。

――ソックリですね(笑)。日に焼けたらアラジンそのものです!

いつかあの格好をしてみたいと思います(笑)。『トイ・ストーリー』シリーズは、好きすぎて映画が公開されたら全部観に行っています。あんだけいっぱいキャラクター出てくるんだから「誰か一人くらい、やらせてくれないかな?」って思っていましたけどね(笑)。

――『トイ・ストーリー4』では、チョコレートプラネットのお2人がダッキー&バニーを担当されていますね。

あれ、悔しかったな。唐沢(寿明)さんと所ジョージさんが、ずっとウッディとバズをやってますもんね。素晴らしいキャスティングの中にチョコプラが…! だから今は、チョコプラに対して、「ざまあみろ」と言ってあげたいですね。「こちとら、ピノキオだぞ」と。歴史が違うねん!って。さっき調べたら最初の映画が公開されたのが1940年って書いてましたよ。

漫才も「初めて聞いたかのような演技」をしないといけない

――村田さんをはじめ、芸人さんって、お芝居や吹き替えがお上手な方が多いですよね。

僕はともかく、本当にお上手な人が多いと思います。漫才も何回も何回も練習しながら、「初めて聞いたかのような演技」をしないといけないから、対応力があるのかもしれないですね。機会があれば今後もどんどん声の仕事に挑戦していきたいです。

――今後はどんな役を演じてみたいですか?

僕はハッピーで明るい性格ではないので、暗い役はフィットすると思うんですよ。正直ジョンはニヒルですけど、僕より全然明るいんですけど。もっと暗くて、ジメジメしている様な…。ホラー作品もやってみたいですね。

――私、舞台「裏切りの街」の村田さんの演技もすごく好きなので。実写のお芝居も楽しみにしております。

観てくださったんですね! 役者さんに対して偉そうに言えないですけど、セリフは自分の言葉じゃないから、当てられたセリフで、どれだけ自分を出せるかという世界ですよね。お笑いの世界やったら、前に前に行って個性を見せないといけないんですけど、役者の世界って極力、自分を消しながら役柄を演じる。

自分が「とろサーモン」として、ずっとやってきたことは、相方を前に出すということで。お膳立てとして、ちょっと後ろにいるようにしてたんですよ。なので自分を消すお芝居と似ている部分もあるのかなって。そんな分析したことないですけど(笑)。

――漫才師としての立ち位置と、お芝居での立ち位置の共通点、すごく面白いです。

それこそ、「裏切りの街」で演じたキャラクターは自分にめちゃくちゃぴったりだなって。何を考えているかわからないし、サイコパスなキャラクターで。やればやるほど楽しくなっていました。観ていただいた方の反応もめっちゃ良かったから、とても印象に残っている作品です。

――本作での正直ジョンの役も、皆さんすごく楽しんでくださると思います。私もこれからの村田さんのお芝居楽しみにしております。今日は楽しいお話をありがとうございました!

実写映画『ピノキオ』はディズニープラスにて独占配信中。

(C)2022 Disney and related entities

撮影:オサダコウジ

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