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黒船によってもたらされたゾンビと、侍・力士・忍者が戦う! そんなコンセプトを持ったローグライクアクションが、『Ed-0: Zombie Uprising』。4月4日からSteamでの早期アクセスがスタートしたタイトルだ。
人によっては、このコンセプトを聞いただけで性癖に刺さることだろう。筆者もそんな一人。もちろん、早期アクセスされるや否やダウンロード、プレイした。是非ともそのティープな内容について、このレビューでお伝えしたい。
黒船がもたらしたゾンビと戦うローグライクアクション
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『Ed-0: Zombie Uprising』は、ゾンビと戦うPC向けローグライクアクションゲーム。
ゾンビものもローグライクアクションも様々な作品が存在する中、江戸時代を舞台に侍・力士・忍者が戦う……というコンセプトが独特。このコンセプトからいかにもB級ホラー的な香りが漂っていることは、わかる人ならわかるだろう。そして、わかるのであれば筆者のように、性癖に刺さらずにはいられないハズ!
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詳しい背景ストーリーを見れば、ますます性癖が刺激されるというもの。背景ストーリーによると、そもそもゾンビが生まれた原因というのが、ゾンビ産業革命! ……いい意味で知能指数の低いこのワードセンスが素晴らしい。
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ゾンビ産業革命によって世界にゾンビが蔓延する中、我らが日本は鎖国によって外交を閉ざしていたおかげで、平穏を保っていた。だがそんな平穏を乱したのが、黒船。開国によって、とうとう日本も文明開化……ではなくゾンビ化の波が押し寄せてしまった。
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この非常事態に立ち向かうのが、侍・力士・忍者。彼らは単に強者というのみならず、「存美者(ぞんびもの)」としての能力を有している。「存美者」とは、たとえ死んだとしても転生することができるという存在だ。
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個人的にはこのストーリー、100点満点。オーダーメイドかと思うほど、筆者の趣味と一致した内容だ。そしてこのストーリーがどんなゲームシステムになっているのかというと、ローグライクアクションに死にゲー要素を加えたシステム。
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舞台はランダムに構築されたダンジョン。ダンジョン内のフロアは鳥居によってつながっており、敵を倒しながら次のフロアを目指していく。
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ダンジョンでのトラップや敵への対抗手段となるのが、ドロップアイテム。その中でも中心となっているのが、「秘伝書」と「お守り」だ。
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「秘伝書」は、使用することでスキルを習得したり、スキルをレベルアップすることができる。スキルによって通常技を大きく上回る攻撃が可能となるため、攻撃の要といっていいアイテムだ。
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一方、防御の要となるのが「お守り」。装備することによって、体力(HP)を増やしたり、状態異常を防いだりが可能だ。
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このほか、HP回復用の消費アイテムなども存在している。その中で重要なのが食べ物だろう。
本作には「満腹度」の概念が存在しており、時間経過とともに減少していく。「満腹度」がゼロになるとHPが減っていくため、ある程度行動したら食べ物を食べなければならない。
と同時に、フロアを延々探索し続けるのではなく、ある程度のところで見切りをつけ、先に進む判断が求められる。とはいえ、探索しなければ食べ物も見つからないので、この判断がなかなか難しい。
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アイテム類の出現はもちろんランダム。常に望みのアイテムを獲得できるとは限らない。
このため、プレイの度に状況が大きく変わる。満足なスキル、アイテムがない状態でどうゾンビに対処するのか? 臨機応変な対応が求められるわけだ。
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もしHPがゼロになったらゲームオーバー。プレイヤーが操る「存美者」たちは、転生能力を持っているため、命を落としても拠点となる「久久村(くくむら)」から何度でも再挑戦できる。ただし、ダンジョンで得た「秘伝書」や「お守り」といったアイテム類は失ってしまう。
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一方、お金や「徳」は引き継ぐことが可能。お金は、「久久村」内でのアイテム購入に使えるほか、道場に寄付することでプレイヤーのパラメーターアップが行える。
また、「徳」は「神木の加護」の装備枠をアップするために使う。
「神木の加護」は、装備することでアイテムの所持数を増やしたり、徳の獲得量を増やしたりといった効果が発動する要素。各「神木の加護」に応じた条件を達成することで獲得でき、装備することで効果が発動する。いわば、パッシブスキルだ。
装備枠が増えればその分多くの効果を発動でき、攻略が有利になっていく。
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ダンジョンへの挑戦を繰り返しお金や「徳」を獲得すれば、少しずつではあってもキャラクターを強化していくことができる。それによって、着実に以前より先のフロアへ進めるようになっていく……。
ローグライクの持つこの醍醐味は、本作もしっかり味わわせてくれる。
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死にゲー要素はまだ理不尽さあり!? 正式リリースまでの改善に期待
本作はローグライクアクションであると同時に、死にゲー要素を持っている。この要素を担うのは、もちろんゾンビたちだ。
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本作のゾンビは非常にタフ。
ゾンビに対する主な攻撃手段は、ボタン連打でコンボになる通常攻撃と、チャージが可能な強攻撃、そしてスキル攻撃。このうち最も強力なのはスキル攻撃だが、ゲーム開始直後だと、スキル攻撃を使っても一撃でゾンビを倒すことは難しい。
もちろん、通常攻撃のコンボを1セット、フルにヒットさせても同様。倒すためには、通常攻撃のコンボや、強攻撃、スキル攻撃を織り交ぜて複数セットの攻撃をヒットさせなければならない。
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このため重要になるのが、ガードや回避といった防御系のアクション。敵の攻撃が当たる瞬間ガードすることで敵の攻撃をはじいたり、回避によって間合いを離したりして、ゾンビの隙に攻撃を当てていく。
ただ、厄介なのがゾンビの数。めちゃくちゃ大量に出現するのだ。
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ゾンビといえば、数で押してくるのがおなじみのパターン。本作のゾンビたちも、このパターンにのっとって数で押して来る。
このため、一般的なローグライクアクションのように「敵と遭遇したら倒す」だけでなく、時には「逃げる」ことも重要。もちろん、こうした判断を誤ると、「死ぬ」ことになる。
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このあたりのプレイ感は、ローグライクというより、サバイバルホラーに近い。個人的には、ゾンビをフィーチャーした作品として好ましいプレイ感……なのだが、現行バージョンだと、少々理不尽に感じる部分があった。
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理不尽に感じた部分を説明する前に改めて触れておくと、本作は現在早期アクセス版としてリリースされている。これは、プレイヤーの意見を収集しながら正式リリースを目指すバージョンのこと。つまり完成版ではなく、その分お得な金額で購入することができる。
このため、ゲームのバランスは完全に整っているわけではないし、不具合などもあるのが織り込んでおかないといけない。運営側はこうした部分を今後の正式リリースに向けて改善していくわけだ。
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これを踏まえた上で、筆者が現行バージョンで改善をお願いしたいのは、視野の狭さ。どうも本作はカメラ位置に不具合を持っているようで、敵への注視を行っていると、視野がどんどん狭くなっていく。ただ、この不具合がなくとも、筆者的には、本作の視野がやや狭く感じてしまう。
本作において視野の狭さが何を生むのかというと、背後や横など、意図しない場所からの攻撃。
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死にゲーなんだから、意図しない場所から攻撃があってもいいんじゃないの? むしろそれを「覚える」ことで克服するのでは……? そう思った人もいるかもしれない。
確かに一般的な死にゲーには、意図しない場所から攻撃を受けるというシチュエーションが多く存在する。初めて体験した際に死ぬ可能性が高い、いわゆる「初見殺し」。こういった状況を「覚える」ことで乗り越えるのが一般的な死にゲーの前提だ。
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ただ本作の場合、ローグライク要素と融合しているため、マップの形状も敵の配置もランダムで変化する。このため、シチュエーションを覚えて対応することはできない。
なので、意図しない場所からの攻撃が、理不尽に感じてしまうのだ。
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ただ、一方で、意図しない場所にゾンビがいることは、本作の持つホラーテイストに繋がっているように感じている。というのも、本作のゾンビは怖い。ホラーに耐性のある筆者からみても、怖い。
これは、和の風景に、和装のゾンビという取り合わせが新鮮だからだろう。和テイストのゾンビといえば、PlayStation2のサバイバルホラー『SIREN(サイレン)』があるが、時代が異なるため、『SIREN』とはまた一味違う……それでいて、日本なので身近さを感じる独特な怖さだ。
このホラーテイストは本作の魅力だと思う。
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なので、単純に視野を広げてゾンビの配置を確認しやすくするというのは対策にならないだろう。視野については現行のままで、主人公の死角にいるゾンビが攻撃する際には、攻撃より1テンポ早めでゾンビの音がするなど、「プレイヤーが知覚し、対応するための修正」が必要なように思う。
ただもちろん、視野が狭まっていくという不具合は別件として修正してもらいたい点だ。
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こうした改善、修正希望をコミュニティに投稿し、さらなるブラッシュアップを期待するのが、本作のような早期アクセス版の醍醐味なのだ。基礎となるローグライクアクションの部分は現時点でも充分によくできているので、死にゲー要素のバランスが正式リリースに向けてどう変わっていくのかを楽しみにしたい。
なお、プレイヤーキャラクターは侍・力士・忍者が用意されているが、早期リリース版で実装されているのは侍・力士の2種。また、プレイ可能なマップはステージ3までとなっている。
こうした点を踏まえた上で、本作の世界観に魅力を感じる人は、早期リリース版をプレイする価値があるだろう。侍・力士VS和ゾンビという独特な世界観を、正式リリースに先駆け一足早く味わってみてほしい。
文/田中一広