家も、家族も、故郷も、ISに奪われた男たちが命をかけてゲリラ戦を仕掛ける最前線を描く衝撃の戦争アクションドラマ。『ワールド・ウォーZ』『キングダム 見えざる敵』などの脚本を手がけてきたマシュー・マイケル・カーナハンが監督を務める『モスル~あるSWAT部隊の戦い~』が本日より公開となりました。
アメリカの雑誌「ザ・ニューヨーカー」に掲載され、全米で大きな話題となった事実に基づいた記事をベースとし、ルッソ兄弟が、どうしても世界に知らしめなければと映画化権を取得。自ら設立した製作会社で、プロデュースしたという本作。マシュー・マイケル・カーナハン監督が本作で伝えたかったこととは?お話を伺いました。
ーー本作は実話をベースにしており、その内容に驚かされました。実話を扱うというリアリティと、一本の映画にするというバランスが難しかったのではないかと感じました。
良い質問をありがとう。映画の前半で、街から逃げようとしている市民たちにISが銃撃を行うシーンがあります。あのシーンはとても苦労しました。そのシーンの撮影をする際にミリタリーアドバイザーが動画を見せてくれたのですが、それはISISが笑いながら人を銃殺している動画だったりとか、未だに思い出して辛くなる様な映像ばかりでした。実際に子供も被害にあっていたりして酷いものでした。
その悲惨さを伝えるために、映画でもリアルな描写を心がけようとしたのですが、長回しのシーンであったり撮影が難しく、あそこのシーンだけで数日かかってしまいました。撮影地の皆さんがとても親切で食事やお茶を出してしまったりして、そのおかげもあって撮りきることが出来たんだけどね。
ーー実際のビデオをご覧になったということで、マシューさんはもちろん、作り手たちも心にダメージを負ってしまいますね。聞いているだけでとてもショッキングでした。
本当だね。ここでは言えない様な動画や写真もたくさん見たし、本当に争いの酷さを知ることとなったよ。何より僕が願うのは、この争いによって辛い想いをした方に、心の平穏がはやく訪れてくれることなんだ。
ーー本当にこの映画でこの事実を知ることが出来て良かったです。
僕自身もアメリカ出身で、アメリカに暮らしているのに「ザ・ニューヨーカー」の記事を見るまで知らなかったんだ。イラク戦争がはじまった時は僕が高校生の頃で、今48歳になったのだけど、これまでずっと争いは続いているんだ。そのことに対して本当に無知だったと思う。反省したんだ。それがこの映画を作った一番の気持ちなんだ。この争いによって迫害を受けたり傷を負ったたくさんの人たちがいて、その人たち全員と話すことは難しいのだけど、映画によって世界中の人たちに普遍的な想いを伝えることが、この作品にとって一番重要なことだと思ったんだ。
ーー本作のプロデュースには、アンソニー&ジョー・ルッソさんが携われていますね。
彼らとの映画制作は全く新しい体験で、すごく良い経験になったよ。この映画はイラク戦争やISISというすごく難しいテーマを持っていて、普通のハリウッドのスタジオだったら責任を負ってくれない作品だと思う。それを、アンソニーとジョーがお金を投じて映画を作らせてくれて。本当に感謝をしています。彼らは僕に「一切の妥協をするな。自分の信じることをとことん追求してほしい」と言ってくれて。僕も全力でアプローチすることが出来たんだ。実は今、また彼らと一緒に2つのプロジェクトを進めているよ。
ーーまた、皆さんがタッグを組んだ作品を拝見できること楽しみにしております。今日はありがとうございました!
【『モスル~あるSWAT部隊の戦い~』ストーリー】物語の舞台は、かつては文化の中心だったが、長引く紛争で今ではすっかり荒廃したイラク第2の都市モスル。この地で働く21歳の新人警察官カーワは、ISIS(イスラム過激派組織)に襲われたところを、あるSWAT部隊に救われる。部隊を率いるジャーセム少佐は、カーワをその場でSWATの一員に徴兵する。彼がISISに身内を殺されたという、入隊条件を満たしていたからだ。彼らは10数名の元警察官で編成された特殊部隊で、本部からの命令を無視して独自の戦闘を行っていた。
彼らを繋ぐ使命は秘密で、カーワにも明かされない。やがて手段を選ばない激烈な戦闘で仲間を失っていく中、絶望的な状況に直面する。それでも部隊は、ISISの要塞へと向かう決断をするのだが──。
監督:マシュー・マイケル・カーナハン
プロデューサー:アンソニー&ジョー・ルッソ
出演:スヘール・ダッバーシ、アダム・ベッサ、イスハーク・エリヤス、クタイバ・アブデル=ハック、アフマド・ガーネム
原題:MOSUL/2019年/アメリカ/カラー/102分/シネスコ/5.1ch/映倫G
配給:ポニーキャニオン
公式ホームページ:mosul-movie.jp
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