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『アイの歌声を聴かせて』ポンコツAIのお芝居&歌唱が話題 土屋太鳳インタビュー「自分の作品で泣いたのは初めてでした」


ポンコツ“AI”とクラスメイトが織りなす、爽やかな友情と絆に包まれたエンターテインメントフィルム 『アイの歌声を聴かせて』が大ヒット上映中です。

監督は「イヴの時間」、『サカサマのパテマ』などで海外からも注目を集め、アニメーションの新たな可能性を切り拓いている吉浦康裕。 自身が得意とする「AI」と「人間」の関係というテーマを、高校生の少年少女たちが織りなす瑞々しい群像劇という形で描写し、圧倒的な エンターテインメントフィルムとして仕上げています。

主人公・シオンを土屋太鳳が演じ、多彩な楽曲たちをエモーショナルに歌い上げます。また、もうひとりのヒロインである サトミを福原遥、幼馴染のトウマを工藤阿須加が演じ、小松未可子、興津和幸、日野聡に加え、大原さやか、浜田賢二、津田健次郎ら 実力派声優が集結。今回は土屋太鳳さんにお話を伺いました!

ーー本作大変楽しく拝見させていただきました。土屋さんの声のお芝居が素敵でしたが、どんな所を意識されましたか?

私が演じたシオンはAIなんですけど、人間にそっくりだから表情とか本当にリアルなんですよね。「どこまで人間っぽくするのか」ということは、ギリギリまで考えながらやっていて。私としては最後の最後で、やっとシオンが人間として生きる瞬間を作れていたら良いなと思っていました。

AIと人間の言葉の出し方は何が違うかって、人は息をするけど、AIは呼吸がないんです。なので、序盤のセリフでは、抑揚はあるけど最後の語尾は切るっていうのを意識して、終盤のセリフでは、呼吸を入れてセリフを言うことを意識しながらやっていました。

ーーすごく細かく演じられているのですね。

うーん…私ができるのはそれくらいというか…(笑)。私自身も声のお仕事をしている方々に感動をもらっていましたし、私の弟(土屋神葉さん)も声のお仕事をしているので、大変さ、難しさを近くで見ている部分があります。なので、私ができることは、この作品を作った監督の心だったり、仮の声、仮の歌を入れてくれた人たちの心を理解した上で(シオンを)生きることなのかなって思って演じていました。

ーー素敵です(笑)。具体的に練習をするというよりは、共に時間を過ごすという感じですか?

そうですね。結果、発声練習になっちゃいます。アニメの吹き替えというのは「だって普通、こんな短さでこの長さの言葉を言わないじゃん!」みたいなのが出てくるので、声優さんって本当にすごいなと思います。

ーー先ほど、土屋さんご自身も、声優さんがやられている作品に勇気をもらっているとおっしゃっていましたが、印象に残っている作品は?

今は弟が出ているものがすごく好きになります、アニメとか。昔は「となりのトトロ」とか、「クレヨンしんちゃん」とか大好きでした。「嵐を呼ぶ アッパレ!戦国大合戦」は本当に泣きました。

ーー完成された作品をご覧になって、いかがでしたか?

今まで、自分の作品を初号試写会で観た時のことは、緊張であまり覚えてないんですよ。今回も心臓バクバクしながら観ましたし、自分の歌声が始まると「うわあああ!」ってなったりしましたけど…自分の作品で泣いたのは初めてでした。

今まで、どの作品も反省しか出てこなくて。「うわあ。私はなんてしたことをしたんだ」って思うようなことが多かったんですけど。この映画は、音楽の力と人が描いた表情、「あ、監督はこう表現したかったんだよな」ってものが、ギュっと詰まった作品になっていたので。自分にとって、とても大切な作品だと感じました。

ーーそれは、土屋さんにとって珍しい感情でした?

珍しいです。常に自分の表情が出ちゃうので反省ばかりなんですけど今回は「そうしたかったんだな」っていう表情が出来ていて。観ていて本当に切ないし暖かいし、感動しました。

ーー歌を歌うということもプレッシャーだったのではないかと思います。

そうですね。(プレッシャーは)感じましたね。まず、「私で良いのだろうか」っていうところから始まって。音域が高かったので、そこに持っていくのが難しかったんですよね。ちょうどミュージカルと重なっちゃって。で、本番2週間前に喉に結節を作っちゃって…。1週間、台詞も喋れない、声も出しちゃいけない、歌っちゃいけない状況になって…。

これで、歌まで録ったら本番に臨めないし、良い歌も取れないってなった時に、ダメ元で「ミュージカルが終わってから録らせてていただけないですか?」とお願いしたら、「ギリギリ間に合うので大丈夫です」と言ってもらえたのでありがたかったです。

今思えば、シオンちゃんが人としての呼吸ができた時、私も一緒に人としての声が出たと。「あ、声ってこういう風に出すんだ」って「声は息の上に乗っかっているんだな」っていうのを理解できたので、また違う気持ちで歌えました。最後、シオンちゃんに背中を押してもらえたのかなと思います。

ーーこの作品を通して得たものや学んだことは、なんでしたか?

「人のためにやる」とか「誰かを守るために行動すること」は、やっぱり素敵なことなんだなと。誰かを守る→幸せではなくて、それが、ふんわり重なることで良いんだなと。ふんわりが幸せなんだなと。「→」はいらないなと感じました。ふんわり誰かのためにというのが、幸せなのかなと思います。

ーー土屋さんが演じられたシオンは、すごく明るくて人を幸せにするために頑張るキャラクターですよね。友達が落ち込んだりした時に、土屋さんだったら、どうしますか?

私だったら話を聞きます。大体、聞いて欲しいじゃないですか。どうして欲しいっていう解決策でも、まずは共感してほしいと思うんです。なので、私は徹底的に聞くっていうスタンスに回るんですけど。

そのあとに、「ちょっとしたら、どっか行こうよ」とか「ごはん、美味しいの食べようよ」とか言ったり。あまり自分がアドバイスしすぎても…ね(笑)って感じだから。でも、シオンみたいに歌で元気づけられる、寄り添えるのは才能なので「良いな」って思いますね。

ーー土屋さんが高校生の時に、シオンの様にちょっと変わったお友達っていらっしゃいましたか?

私、女子校だったので、しかも体育大付属だから皆サバサバしていて。シオンちゃんの様に、こんな可愛い子がいたら、みんな「可愛いね」って言ってると思います。こんな可愛い子、いなかったなぁ…(笑)。でも、変わっている子はたくさんいました。ずっとオナラしている子とか(笑)女子校ならではの。それに対して私が「止めてよ!」って怒るっていう(笑)。

ーー先ほどの、「友達の励まし方」もそうですが、土屋さんは聞き上手ですよね。

本当ですか!ありがとうございます。大事だなと思うのは、相手が辛かった時を聞くことですかね。「どんな気持ちだったの?」とか、「今はどうなの?」とか。結局、見えない未来と、忘れられない過去に縛られて生きてるじゃないですか。だから、「自分もこうだよ」って寄り添って共感する部分を作れたら良いなと思っています。

ーー土屋さんでも未来が不安になることがありますか?

常に未来は不安で「どうしたら良いんだろう」って思いながら生きてます。今、自分がやっていることが(未来に)繋がっているのかなっていう。「これだけ踏ん張ってるけど、ちゃんと幸せになれるのかな?」って思う時もあります。ただ、目の前にいる人とは、楽しくありたいっていうのは常にあるので、不安になりすぎないように。

ーー土屋さんにとって、疲れた時の癒しは何でしょうか?

家族の前で泣くことです(笑)。いきなり泣き出すので「どうしたの?」って言われるんですけど。でも、癒しというか…。でも、みんなそんなようなものですよね(笑)?

姉も私に釣られてよく一緒に泣いています(笑)。ミュージカルの千秋楽も、(ステージから)姉が見えたんですよ。私が泣く前に姉が泣いているから…。でも、嬉しいなと思います。

ーー本当に優しいファミリーですよね。

そうですね。「大切」の仕方も大人になって変わってくるじゃないですか。昔だったら言えば良いけど、今度は回収するまで責任を取らないといけない、家族でも。対「人」としてだから。そこが、今は大事かなと感じます。

ーー今日は映画についてから、ご家族の話まで、素敵なお話をありがとうございました!

撮影:周二郎

【動画】映画『アイの歌声を聴かせて』予告編
https://www.youtube.com/watch?v=9h8NqlENtI0

(C)吉浦康裕・BNArts/アイ歌製作委員会

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