セブン-イレブンやイトーヨーカドーなどで使える電子マネー「nanaco」がApple Payに対応。サービス開始となった10月21日にオンライン発表会が開催されました。
発表会にはセブン&アイグループホールディングス傘下で、「nanaco」を運営するセブン・カードサービスから、代表取締役社長の水落辰也氏と、執行役員で電子マネー事業本部長の神谷智行氏が登壇。今回のApple Pay対応の背景や具体的なサービス内容について説明がありました。
水落氏によると、2021年8月現在のnanaco会員数は約7400万人、利用可能店舗数は約80万店となっており、2020年1月のデータと比較すると会員数で約7%、利用可能店舗数で約28%も増加。これはコロナ禍によって、非接触で支払いできるキャッシュレス決済への安心感が大きく影響したと考えられ、「利用者の増加にともない、Apple Payでも使えるようになってほしいという声を多くの方々からいただくようになりました」ということが、今回のApple Pay対応の背景としてあったそうです。
続いて神谷氏からサービス内容について説明があり、Apple Payに対応したメリットとして、4つの大きなポイントが挙げられました。
1点目は発行が手軽になったこと。いつでもアプリ上で新規発行ができ、既に虹色デザインのカードを利用している人であれば、残高やポイントをそのまま移行させることも可能。なお、利用中のnanacoをセブン&アイグループのアプリと連携させている場合は、新たに発行されるnanaco番号で登録し直す必要があります。
2点目はクレジットカードを使って、アプリ上でチャージができること。Android(おサイフケータイ)の「nanacoモバイル」でも、一部のクレジットカードを使えばアプリ上でチャージは可能でしたが、Apple PayのnanacoではすべてのMastercard、JCB、アメリカン・エキスプレスのクレジットカードでチャージが可能になっています。
3点目は生体認証によるセキュリティの向上。これまでは紛失や盗難に遭った場合、第三者に利用されてしまう可能性がありましたが、Apple Payのnanacoは決済時やチャージ時にTouch IDによる指紋認証またはFace IDによる顔認証が必要になるため、不正利用されるリスクが大きく軽減されました。
4点目はアプリ上で「nanacoポイント」を電子マネーに交換できること。こちらもAndroidのnanacoモバイルでは、すでにアプリ上でのポイント交換に対応していましたが、Apple Payでも同様にアプリ上で手続きが可能になっています。
「より使いやすく、安全安心な手段として、継続してご利用いただけるものとなっており、お客様に満足していただけるものと自負しております」と、今回のApple Pay対応に自信を見せた神谷氏。今後はApple Pay対応を記念したキャンペーンも展開予定とのことです。
Apple Payのnanacoを利用するには、iPhone 8、iPhone SE(第2世代)以降の機種で、iOS 15以上へのアップデートが必要。Apple WatchではSeries 3以降の機種で、watchOS 8以上へのアップデートが必要となります。
nanacoはセブン&アイグループの店舗や通販サイトのオムニ7のほか、マクドナルドや吉野家などグループ外の店舗でも利用可能。nanacoで決済をすると、通常200円につき1ポイントが貯まり、セブン−イレブンでエシカルプロジェクトのシールが貼られた消費期限間近の商品を購入した際は5%のポイントが貯まります。貯まったポイントは1ポイント=1円として電子マネーに交換できるほか、ANAのマイルなどにも交換可能です。
なお、イオングループの電子マネーであるWAONでも、Apple Payへの対応が10月21日からスタート。スマホ1台で複数の決済方法を使い分けることが、今後のトレンドとなっていきそうです。
Apple Payのnanaco 【公式サイト】
https://www.nanaco-net.jp/app/
取材・文/田中宏