ブドウ糖は一般的に、集中力を高めてくれる“脳のエネルギー源”と言われています。
勉強や仕事時のエネルギー補給にブドウ糖を配合した商品なんかも見かけますが、実際のところその効果は検証されているのでしょうか?
調べてみると、さまざまな食品および食品素材の健康機能について研究している森永製菓が、ブドウ糖含有ゼリー飲料を摂取することで、認知機能の一部を改善する効果を発見したとする論文を発表していました(「薬理と治療(2020年48巻7月号)」に掲載)。
実はこれまで、ブドウ糖摂取による認知機能への影響については世界中でさまざまな研究がなされてきましたが、ゼリー飲料に含有されたブドウ糖を摂取した場合にも同様の効果が得られるのかについては検証されていなかったといいます。
「実行機能」と「運動速度」スコアが改善
研究の方法は、20~39歳の健康な男女16名を対象に、朝食を抜いた状態でブドウ糖30gを 含有するラムネ風味ゼリー飲料(ブドウ糖含有ゼリー飲料)、およびブドウ糖を抜いたラムネ風味ゼリー飲料(プラセボゼリー飲料)を、日を変えて摂取してもらい、その15分後に認知機能を測定するコンピューターテスト「Cognitrax(コグニトラックス)」を実施するというもの。
「Cognitrax」は米国のCNS Vital Signs社が開発した認知機能検査技術。検査目的により選択可能な10種類のテストを提供し、記憶力・注意力・処理速度・実行機能など広範囲の認知機能領域をミリ秒単位で高精度に測定することができます。
途中辞退や測定トラブル等でテストを正しくできなかった4名を除いた12名の結果を調べたところ、テスト前にブドウ糖含有ゼリー飲料を摂取した時は、プラセボゼリー飲料を摂取した時と比較して認知機能の一部である「実行機能」と「運動速度」の標準化スコアが有意に改善されたと判明。
この結果を受け、森永製菓は「このことから、ブドウ糖含有ゼリー飲料を摂取すると、一時的に認知機能が改善すると考えられました」と結論づけています。
この結果を、例えば勉強に置きかえると、段取りよく問題を処理したり、回答を素早く書いたりする能力が一時的に上がるということかもしれません。今回の研究はその効果まで保証するものではありませんが、ゲンを担ぎたくなるのが受験生や周囲の人の心理というもの。これからの受験シーズンに向け、受験生をサポートするアイテムとして注目を集めるかもしれません。
なお、同社では「ブドウ糖は脳における重要なエネルギー源ですが、WHOの『成人及び子どものための糖類の摂取に関するガイドライン』において肥満やう蝕の原因となる糖類の過剰摂取が勧告されています。ブドウ糖を含有した食品を摂取する際には、食生活の栄養バランスを考慮することが大切です。また、血糖値に問題のある方はご注意ください」と注意を呼び掛けており、「この結果は健康な成人における研究であり、高齢の方、認知機能に障害をもつ方などにただちにあてはめることはできないと考えています。また本研究はブトウ糖入りゼリー飲料を飲む量と認知機能の関係を検討したものではありません」としています。
―― 表現する人、つくる人応援メディア 『ガジェット通信(GetNews)』<研究概要>
実施時期:2020年1~2月
対象者:20~39歳の健常な男女16名(最終解析対象者女性12名)
試験食品:ブドウ糖30gを含有するラムネ風味ゼリー飲料(ブドウ糖含有ゼリー飲料)
対照食品:ブドウ糖を抜いたラムネ風味ゼリー飲料(プラセボゼリー飲料)
試験期間:単回摂取
試験方法:ランダム化プラセボ対照二重盲検クロスオーバー比較試験
試験項目:Cognitraxによる認知機能スコア