『ベイビーカートビッチ』(ヒーローズコミックス)や『真・三湖伝説 妖 AYAKASHI』(DeNA)の苺野しずくさん(@studio15heart)が、知人の姪が漫画家になりたくて高校を辞めたという話をツイート。さまざまな漫画家やクリエイターが反応するなど注目を集めています。
知人の姪っ子さんが
漫画家になりたいのでそれ一本に集中したいから
…って理由で高校をやめちゃって
しずく応援してあげてよってゆわれまして
「それは応援できないわ」って即答しちゃった
(おこって電話切られっちゃった)—苺野しずく (@studio15heart) 2019年6月2日
知人の姪っ子さんが
漫画家になりたいのでそれ一本に集中したいから
…って理由で高校をやめちゃって
しずく応援してあげてよってゆわれまして
「それは応援できないわ」って即答しちゃった
(おこって電話切られっちゃった)
「退路を自ら断つのは絶対止めたほうが良い」「フリーの創作化を目指すなら最低限まともに生きていける生活を保持できる
まともな人間になっておきましょう」と持論を展開し、「完全には他人ではない人に対してプロの漫画家が”応援する”という意味を分かってくれてない人が多いのがつらい」と吐露していた苺野さんのツイートには、平野耕太さんや山本貴嗣さんも言及しています。
ツイッターで回ってきた、漫画家目指すから高校辞めた姪っ子さんの話、
本気でデビュー目指すなら辞めずに
在学中のままの方がいいと思う
「現役女子高生漫画家」と「若手女性漫画家」だと
出版社も編集部も書店もメディアも扱いがダンチだとおもうんですよ—平野耕太 (@hiranokohta) 2019年6月4日
ツイッターで回ってきた、漫画家目指すから高校辞めた姪っ子さんの話、
本気でデビュー目指すなら辞めずに
在学中のままの方がいいと思う
「現役女子高生漫画家」と「若手女性漫画家」だと
出版社も編集部も書店もメディアも扱いがダンチだとおもうんですよ
苺野先生は「やめろ」とおっしゃったんじゃなく「応援できない」っておっしゃっただけなのに、それで怒って電話切るとは身勝手というかなんともお気の毒です。私も賛成はしかねますね。
—山本貴嗣 (@atsuji_yamamoto) 2019年6月3日
苺野先生は「やめろ」とおっしゃったんじゃなく「応援できない」っておっしゃっただけなのに、それで怒って電話切るとは身勝手というかなんともお気の毒です。私も賛成はしかねますね。
『少年マガジンエッジ』(講談社)で『童貞絶滅列島』を連載している川崎順平さん(@tokyonuenue)は、自身の同人誌に掲載したエッセイ漫画『高校で漫画家デビューした奴の末路』を公開。「高校デビュー」のその後について考えさせられる内容となっています。
高校で漫画家デビューした奴の末路 (1/4) pic.twitter.com/EoeexUoIjz
—川崎順平🌈『童貞絶滅列島』連載中 (@tokyonuenue) 2019年6月4日
高校三年生の時、母に「漫画家になりたいならさっさと賞に応募しなさい」と言われて、受験の前に『ヤングマガジン』の月間新人漫画賞に応募し受賞。程なく担当編集と作った漫画も入選し、読み切りや連載も掲載に。「大学を辞めて東京に出たい」と親に電話しますが……。
「『マンガボックス』で連載してた漫画が振るわず、その悔しさや遣る瀬無さをエッセイ漫画に描いて『Twitter』にアップして、評判だったのがきっかけ」だという同人誌『死期のエッセイ』の前日譚的な話だというこの漫画。
「大学を出るのは約束だったでしょう!」と大反対され、結局大学に残る選択をして、月刊連載終了後はネームが通らなくなり、怠惰な学生生活に流されてしまいます。ところが、バイト中に担当から「まだ漫画やりたいなら東京に来い。アシスタント先を紹介する」との電話が。大学卒業後に上京します。ただ、先生の連載が終わり、貯金が尽き、日雇いバイトをしながらネームを描くという厳しい状況に……。
同時期にデビューして大きく成長した人たちとの比較で「すっかり取り残されてしまった」と述懐し、「失敗した」「あの日勇気を出して東京に飛び出しておけばよかった!」と涙を流して後悔した川崎さんですが、その後にコミケにブース参加をする時には「まあ何ぞ失敗してただろうな」と冷静に自己分析します。
「本当に才能があったら連載成功させてるわ」「中退したらしたでどうせ大学ぐらい出ておけばよかったと後悔してたことだろう」と思いますが、母に連載を打ち切られた時に「高校の頃、賞に応募させたが受賞するとは思わなかった」「あれは失敗だった」と言われたことは「まだ勝手に判定するなってーの」と否定。「最後尾だけれど走り続ける」という決意を込めています。
苺野さんのツイートについての見解を川崎さんに訪ねたところ、「学校での経験は後々漫画を描く上でも役に立つし、辞めたのはもったいないなという意見は他の漫画家さんと同じです」といいつつも、「ただ、もう既に辞めてしまった上で、“応援して”が具体的に業界内のコネクションを紹介して、という場合は、その人のちゃんと漫画として描き上げた完成品を見て判断すると思います。ただコネクションで何とかなる業界でもないので、応援するにも限界がありますし、最終的には自分の実力や運、タイミング次第です」とのこと。
さらに川崎さんは「過去の選択で後悔することがあったとしてもそれはまやかしです。どの選択も最終的に良い結末に収束ることを信じつつ、今ある現状でベストを尽くしてください。酸いも甘いも、挫折した経験も全て漫画の材料にしてサバイブしましょう!」と漫画家志望の人にメッセージを寄せてくれました。
SNSで作品の反応が数字で分かる時代ですが、クリエイターとして成功して生活が成り立つかどうかは別の問題。とはいえ、作品を作り続けるために何が必要か、自分自身で考え抜くことが大事なのではないでしょうか。
『童貞絶滅列島』(少年マガジンエッジ公式サイト)
http://magazine-edge.jp/contents/doteizetsumetsu.html [リンク]
―― やわらかニュースサイト 『ガジェット通信(GetNews)』