セコム、AGC、ディー・エヌ・エー、NTTドコモは共同で、AIを活用した警備や受付業務が可能な“バーチャル警備システム”の試作機を開発。セコム本社で開かれた記者発表会にて、「2020年の発売に向けて実用化を進めている」と明かしました。
AI搭載のバーチャル警備システムを開発
このたびのバーチャル警備システムは、AGCが開発した大画面ミラーディスプレイ上に3Dモデルの等身大バーチャル警備員を表示し、警戒監視、受付・案内などの業務を提供するもの。
バーチャル警備員がとらえた映像や周辺状況はリアルタイムで契約施設内の監視卓に送信され、必要時には常駐警備員が対応することを想定。効率的な人員配置と運用コストの低減を可能にするとしています。
バーチャル警備員はディー・エヌ・エーがキャラクターデザインを担当。男性キャラクター「衛(まもる)」と女性キャラクター「愛(あい)」の2人を用途に応じて使い分けることができます。
なお、NTTドコモは5Gに関する技術と情報を提供し、将来的にはセコムの遠隔監視センターで複数の契約先の監視を行うことも視野に入れているとのこと。
セコムの中山泰男代表取締役社長は、日本社会の人手不足に触れ、「警備業においては有効求人倍率が約9倍に達している」と、セキュリティの需要と供給がアンマッチとなっている現状を説明。
一方で、AI、IoT、音声認識、5Gといったテクノロジーの進化が、「有人施設の顧客対応も想定したバーチャル警備システムを可能にした」と、開発の背景を明かしました。
デモンストレーションを実施
発表会ではバーチャル警備システムのデモンストレーションが行われ、ミラーディスプレイに映し出された「衛」が様々な状況を想定した警備・受付対応を披露。
周囲に異常がないか目を光らせ、お客が来訪すると「いらっしゃいませ。ご用件をどうぞ」と挨拶。用件に応じて担当者に連絡したり、通す先の場所を案内したりしていました。
事前に登録されたVIP来訪者に対しては、「お待ちしていました、〇〇様。担当者に連絡しましたので、ロビーでお待ちください」と特別な対応を見せる場面も。
また、フルフェイスヘルメットをかぶった来訪者に声をかける、子どもや車いすの来訪者が近づいた場合にはしゃがんで目線を合わせる、お客が荷物を置き忘れたら呼び止める、といった対応も確認できました。
バーチャル警備システムは2019年初夏からセコム本社ビルの1階で価値検証を開始し、2020年に販売・運用を開始する予定。セコムによると、バーチャル警備員の導入にあたっては、通常の常駐警備員の配置と比べて安価に抑えられる想定だとしています。
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