夢を叶えられなかった元アイドルのアラサ―女性と、自分を彼女の”恋人だと信じて疑わない猫を中心に創造性溢れる人間ドラマを描いた『猫は抱くもの』。現在大ヒット上映中です。
本作で、主人公・沙織(沢尻エリカ)の相手役で、自分を主人公の恋人だと思い込む、ロシアンブルーの猫・良男(吉沢亮)の相棒となる猫の「キイロ」を演じたのがコムアイさん。音楽ユニット「水曜日のカンパネラ」の歌唱を担当し、音楽以外でもCM・ドラマ出演で注目されています。
出演のみならず、劇伴、劇中歌を担当しているコムアイさんに映画について、猫について色々とお話を伺いました。
――本作で映画初出演となりましたが、オファーを受けてすぐに出演を決められたのですか?
コムアイ:犬童監督が手紙をくださったのですが、すごく自分の事を分かってくれている内容だったんです。なので台本も読まずに出演を決めちゃいました。
――それはそれは! 監督はコムアイさんのパーソナリティな部分もよく観察されていたのでしょうね。
コムアイ:そうだと思います。嬉しかったです。お芝居というのは経験が無かったのですが、手紙に「猫の柔軟なところを表現してほしい」って書いてあって、私も柔軟な生き方をする方だと思っているので、そのまま演じてみようと思いました。生き方が猫っぽい、「キイロ」っぽいのかなって。
――その後、ストーリーを読んでみてどんな感想を抱きましたか?
コムアイ:脚本を読んだだけでは、分からない部分が多かったんです。他の出演者の皆さんも言っていたけど、編集が終わって完成した映像を見て「あのシーンはこうなったんだ!」って分かる感じ。
――確かに、鑑賞後の感想が人によって全然違う映画だと思いました。
コムアイ:そうなんですよね。観た後も色々と謎が残るのですが、監督はそれで良いと思っているんだと思います。物語の結末がどうこうではなくて、「感情がどう動いたのか」を重要に思って作られたお話だと。
――この不思議な余韻が残る作品に、さらに魅力をそえているのが、水曜日のカンパネラによる劇伴です。
コムアイ:キイロ役としての出演が先に決まっていて、劇伴は後から監督がオファーしてくれたんです。実は一年くらい前からずっと「映画に歌を書きたいな」って思っていたので「この人、なんで気づいたのかな」って(笑)。
――念願叶ったわけですね!
コムアイ:嬉しかったです。映画の音楽は物語がベースにあって、「ここにこれが欲しい」という必要なピースがわかるからやりやすいなと思いました。音で寄り添いすぎないように調整して、わざと合わない音を入れたりするのも面白かったし、それを複雑にやるのが映画音楽なのだなあって思いました。と、いいつつ、歌を作る以外のこと、効果音や全体の劇伴は、zAkさんとケンモチさんにほぼやっていただいて、私はスタジオで遊んでただけなんですけど(笑)。
――劇中歌『キイロの歌』も素晴らしい楽曲でした。
コムアイ:ありがとうございます。難しかったです。普段楽曲を制作する時は、どんなものが出来上がるのかが先にヴィジュアルで見えるんですけど、この曲はそこまでなかなか到達しなくて。この曲のイメージは、それぞれの個人的なドラマからだんだん引いてきて宇宙に繋がっていく感じ。最後には宇宙からそれぞれを眺めている様なイメージで作りました。
――なるほど。その「宇宙に繋がっていく感じ」を踏まえた上で、もう一度映画を観たいです! コムアイさんも猫がお好きとのことですが、この映画って猫に無理がある描写をしていない所がいいですよね。
コムアイ:そうですよね、実際に現場でも「良男待ち」「キイロ待ち」って瞬間が結構ありました。猫たちに自然にまかせている感じ。監督がすごく猫好きだから大切にしているんだなと思いました。映画の出演が決まった時、この映画に出ればたくさんの猫と触れ合えると思ったのですが、よく考えたら私が猫を演じるので、あまり猫と一緒にいる時間が無くて。そこは残念でした(笑)。
――そう言われることも多いと思いますが、コムアイさんご自身も猫っぽいですよね。
コムアイ:確かに時々言われます。猫好きなので嬉しい! 昔から猫が好きだったけど、一緒に暮らすタイミングが無くて、そうしたら私の恋人が猫を飼っていて、今はよく触れ合っています。毛がふわふわの猫なんですけど、お風呂に入れるとシュッと細くなってしまうところとか、本当に可愛いですよね(笑)。急に情けない姿になってしまって、そこがすごく愛しい。
――私も猫を飼っているのでよく分かります(笑)。ぜひ水曜日のカンパネラの猫曲も楽しみにしております! 今日はありがとうございました。
(撮影:wosa)
『猫は抱くもの』
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