どうもどうも、特殊犯罪アナリスト兼裏社会ライターの丸野裕行です!
最近、テレビ出演が多くなってきておりまして、全然取材に出かけていないのですが、やっぱり裏社会への潜入取材をしているとおかしな取材対象者にぶち当たることが非常に多いんです。全然取材にならないので、まったく困ってしまいます。
僕が取材する対象者っていうのは、ヤクザやマフィア、半グレ、その道のプロ、売春婦、詩集売り、セクシー女優、俳優、芸人、売人などなど多岐に渡るわけですが、へんな人がやっぱり多いです。今回は、私が出会ったちょっとおかしな取材対象者のお話をしてみたいと思います!
電波系のヤクザはすごかった
まずは一人目なんですが、これがヤクザでですね。部屋住み(※修業期間に本部事務所で雑用を行うこと)で極道の修行をしていた24歳の若者なんですが、この子が電波系の男の子でして。
親分の部屋に公安からの殺人光線が発射されているとか、組を訪れたお客さんのスーツのジャケットに録音ができる糸が縫い込まれているとか言って暴れるらしいんですよ。
で、兄貴分の人が「話を聞いて、何とかしてくれ」と逆に取材の依頼があったんです。で、事務所にあてがわれている彼の部屋に入ると、部屋のいたるところにアルミホイルが敷き詰めてあって、正直ビビりました。
一応何でこんなことをやっているのかと話を聞くと……。
「透明の犬を連れた役人が、私とこの国を滅ぼしにやってきて……」
「国家的巨大ボール紙の手先とその末裔が……」
という謎の話を懇々とされて、うんうんと頷いていると、彼の話の何が正しくて、何が間違っているのかが全然わからなくなってくるんですよね。
それ以上話をしていると、こっちまでおかしくなってくるので、そのまま話し続ける彼の元をお暇(いとま)しました。
大量の上履きを集めている男
二人目は、事件にもなったんですが自宅に大量の上履きを収集している男でした。
知っているネタ元から、「上履きマニアの男がいる」と聞きつけたので、自宅を訪問してみると、家の中がもう上履きの館みたいになっているんでよね。
お気に入りの高そうなRolandのスピーカーの下敷きに上履きがあって、もう上履きなのか下履きなのかすらわからなくなっちゃって。
「なんでこんなに上履きばかり集めているんですか?」と聞くと、彼は「上履きの臭いが好きなんです」と答えました。
「それは女の子のということですか?」
「いえ、どっちもです……」
何、恥ずかしそうに照れてんねん! なんやこいつ!
「これは盗んできてるんですか?」
「い、いえ、そんなことは……ありません」
で、これが事件に発展してしまったと。部屋に入ったときのあの一斉に襲ってくる上履きの臭いは今でも忘れられませんね。
お尻を狙ってくる偽装結婚ブローカー
三人目は、日本人との偽装結婚を斡旋するブローカーだったんですけども、戸籍を貸してくれる日本人男性と、日本の国籍が欲しいという女の人を橋渡しする役目を担っているんです彼らは。
で、その取材に向かったんですが、50がらみの男性でして、結構ガッチリとした人で。
個室の居酒屋で落ち合って、出会って言葉を交わすや否や、「じっくり話を聞かせてあげたい」とホテルを予約しはじめたんです。
仕方がないので、ホテルに一緒に入って、取材をしはじめると、偽装結婚の費用としては300~400万円が相場だとか、2~3年の契約でブローカーは50~100万円の手数料をもらうとか、福建省のマフィアとつながっているとか、いろいろとネタは小出しにしてくれるんですけど、
「シャワーは浴びなくていいの?」とか「ライターって肩がこるんじゃないの? マッサージしてあげようか?」
とかすごくベッドへ誘おうとするんですね。
すると……彼が「すごく顔が好み」だと打ち明けてきました。そこからは刑務所に入っていた話をされて、女は汚らわしくて、男はいいみたいな話をしてきて……。
僕はその気がないので断ると、「淋しい」と言っていきなり泣き出す始末。いい歳をした50がらみの中年オヤジが福建省のマフィアとつながりがあるのにも関わらず、ベソかくってどういうことなのって感じでした。いやはや、恐ろしや。
腹が立ったから灯油をまく男
一番厄介だったのが、《駅のホームで叫んでいるおっさんは一体何が言いたいのか?》という企画の延長で、近所の人に嫌われているゴミ屋敷の住人の主張を記事にしようと思ったんですが、大阪にあるゴミ屋敷の70代のオヤジの元を訪ねました。
訪ねていくと、やっぱり立て板に水という感じで追い出されまして、手土産を持参して次の日に出直したんです。
そしたら、「まぁ上がれ」と。
家の中は、すごくゴミがひしめき合っていまして、「まぁ座れ」といわれたところも、どの間取りのどの場所なのかが全然わからない。
まずは生い立ちから聞き出して、いろいろと話をしようと思っていると、手土産の中身が八ツ橋だったのが気に入らなかったらしく、激昂!
「くんのぉぉぉぉぉぉ! ワシが八ツ橋を恨んでいること知っとんのんかぁぁぁ!」
と言いながら、ペットボトルの中の液体を撒きだすんですよ。八ッ橋と何があったのか知る由もないんですが、床や周辺のゴミから立ち上るのは灯油の臭い。ヤ、ヤバイな、これはちょっとでも引火したら即焼死じゃないか……となりまして。
そのときにちょうど役所の人を連れ立って、この屋敷の近隣住民がやってきたんですが、またまたこのオヤジが怒鳴りはじめました。
「ワシの家やから、ワシの勝手にさせぇぇぇぇぇ!」
と再び灯油を撒きはじめます。さすがにお役所の人も怖がって退散したんですが、思いっきり振りかぶって灯油を撒いたオヤジは、頭から灯油を浴びてしまって、苦悶していました。
「灯油が目に入ったよぉ~! 帰れぇぇぇぇ! もうワシは寝る!」
って自分でやっておいて、逆ギレして、こっちに当たり散らすんですから、こちとら踏んだり蹴ったりですよ。
とまぁ、こんなムチャな取材ばかりしている私ですが、これからもケガがないように頑張っていきたいと思います。
(C)写真AC
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