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二宮和也、『ブラックペアン』の飽き飽きするワンパターン展開に自ら言及



 嵐の二宮和也が主演を務める連続テレビドラマ『ブラックペアン』(TBS系)の第5話が5月20日に放送され、平均視聴率は前回から0.3ポイント増の13.4%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)だった。



 同ドラマは医師で作家の海堂尊氏の『ブラックペアン1988』(講談社)が原作となっている。小説では世良雅志(竹内涼真)が主人公で、佐伯清剛(内野聖陽)や渡海征司郎(二宮)、高階権太(小泉孝太郎)らが取り巻く東城大学医学部付属病院で世良が医師として成長する姿が描かれているが、ドラマでは渡海が主人公となり、内容も大幅に改変されている。



 前回、高階が書いた最新医療器具「スナイプ」に関する論文で帝華大学病院の西崎啓介教授(市川猿之助)がインパクトファクター(医学誌などに論文が引用されることで業績評価の指標となること)を得ることになり、日本外科学会理事長選をめぐる佐伯との対決にひとまず決着がついたかと思われた。しかし、第5話では論文がいったん取り下げられることになり、再び佐伯が有利な状況に。



 理由は、スナイプ手術を受けた少女・島野小春(稲垣来泉)の心臓中核部に、スナイプ手術が原因と思われる感染が見つかったからだ。現段階で、彼女を救うには帝華大学病院が持っている内視鏡下手術支援ロボット「ダーウィン」で再手術を行うしかない。



 一方、スナイプ論文の執筆者である高階は「最高権威者」として西崎を選んだことで、東城大学内での居場所を失い、小春の担当医師からも外されていた。そして、代わりに担当医になった渡海は薬物治療に切り替え、治験薬である造血剤の投与を続けていた。



 もう何も失うものがなくなった高階は西崎に頭を下げて、東城大にダーウィンを貸し出してもらえるようにお願いする。しかし、その条件として帝華大の松岡仁(音尾琢真)が執刀医を務めることに。手術当日、西崎や日本外科ジャーナル編集長の池永英人(加藤浩次)、そして佐伯を筆頭に多数の医療関係者がモニターで見守るなか、松岡によるダーウィン手術が始まる。



 しかし、言葉の端々におごりが見て取れた松岡は、当然のように機械と子どもの体のサイズをまったく考えていなかった。その結果、装置のアーム同士がぶつかって動かせないという危機的状況に陥ってしまう。


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そして、そのまま動かせば心臓が裂けて死に至る……というときに渡海が颯爽と登場する。



 もはや、ここまでの流れは視聴者の誰もが予想していたであろう。結局、渡海はすぐにアームを抜き、ダーウィンを使わずに手術を成功させる。これにはインターネット上の視聴者からも「最終的に開胸手術するなら、最初からそうすればいいのに」「唯一の方法だったはずのダーウィンなのに、結局は必要なかった?」などとあきれる声が多数出ている。



●もはや医療ドラマとしては失敗作?



 また、渡海はこのような事態を想定して薬物治療を行い、自己血貯血までしていたにもかかわらず、それをほかの医師に伝えていなかったことに対しても疑問が残る。今回は珍しく「俺なら」ではなく「東城大ならできるんだよ!」と誇らしげに言っていたが、それなら想定外の事態に備える準備として、ほかの医師にも伝えておくのが自然だろう。結局のところ「俺がいないとダメだろ」的な慢心が見て取れたのには、心底残念だ。



 脚本的には「チーム東城大」のすごさを示したかったのだろうが、ここは“手術チーム”としてライバル同士でありながらも、医療技術を提供する帝華大と患者の命を預かっている立場の東城大がひとつにならなければならない状況だったはずだ。こんなふうにチームワークが最悪だから、簡単な機械操作のミスや執刀医のミスが相次ぎ、患者の命を危険にさらすことになってしまうのだ。



 素人目にもわかるような失敗を繰り返すなど、もはや医療ドラマとしては失敗作としか言いようがない。毎回触れているが、「ハプニングが起こるたびに渡海が登場して手術を成功に導く」というワンパターンにはもうウンザリなのだが、それ以前にお粗末すぎる内容にはあきれてものが言えない。



 二宮は、毎週日曜の22時から放送されているラジオ番組『bay storm』(bayfm)のパーソナリティを務めているが、20日の放送では同ドラマについて「ハプニングがあってどうにもならないときじゃないと出ていかないから」と、ワンパターン化している設定に自ら言及していた。もしかしたら、二宮自身もお決まりの流れにウンザリしているのかもしれない。



 そろそろ後半戦に突入するが、一体、このドラマのゴールはどこにあるのだろうか。

(文=絢友ヨシカ/ライター)


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